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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成23ワ9722損害賠償等請求事件 判例 特許権
関連ワード 著作物性 /  創作性 /  著作者 /  アイデア /  表現方法 /  翻案 /  複製物 /  同一性 /  職務著作 /  共同著作物 /  著作者人格権 /  同一性保持権 /  著作権の譲渡 /  著作権侵害 /  差止 /  損害賠償 / 
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事件 平成 21年 (ワ) 3102号 著作権侵害差止等請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 大阪地方裁判所 
判決言渡日 2012/01/12
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
判例全文
判例全文
平成24年1月12日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

本訴 平成21年(ワ)第3102号 著作権侵害差止等請求事件

反訴 平成22年(ワ)第2324号 損害賠償請求事件

口頭弁論終結日 平成23年10月11日

判 決

本訴原告・反訴被告 株式会社ヴァズインク

(以下「原告」という。)

同訴訟代理人弁護士 近 藤 剛 史

同 武 田 大 輔

本訴被告・反訴原告 プラスアイ シー オー

株式会社

(以下「被告プラスアイ」という。)

本 訴 被 告 福 助 株 式 会 社

(以下「被告福助」という。)

上記2名訴訟代理人弁護士 木 村 雅 史

同復代理人弁護士 黒 田 泰 子

主 文

1 原告及び被告プラスアイの請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は,原告に生じた費用の3分の2と被告プラスアイに生じた費用

の4分の3と被告福助に生じた費用の全部を原告の負担とし,その余を被告

プラスアイの負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 当事者の求めた裁判

1 原告




1
(本訴請求1)

(1) 被告らは,別紙デザイン画目録記載のデザイン画(以下「本件デザイン

画」という。)について,複製,翻案してはならない。

(2) 被告らは,原告に対し,別紙ホームページ目録記載のホームページ上に,

別紙謝罪広告目録記載の体裁及び内容の謝罪広告を3か月間掲載せよ。

(3) 被告らは,原告に対し,連帯して2356万5396円及びこれに対す

る,被告プラスアイについては平成21年3月24日から,被告福助につ

いては同月22日から,各支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。

(本訴請求2:(3)の被告プラスアイに対する請求との選択的請求1)

(4) 被告プラスアイは,原告に対し,1521万8274円及びこれに対す

る平成21年3月24日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払

え。

(本訴請求3:(3)の被告プラスアイに対する請求との選択的請求2)

(5) 被告プラスアイは,原告に対し,1015万9250円及びこれに対す

る平成21年3月24日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払

え。

(本訴共通)

(6) 訴訟費用は,被告らの負担とする。

(7) 仮執行宣言

(反訴請求)

(8) 被告プラスアイの反訴請求を棄却する。

(9) 反訴費用は,被告プラスアイの負担とする。

2 被告ら

(本訴共通)

(1) 原告の請求をいずれも棄却する。

(2) 訴訟費用は,原告の負担とする。



2
3 被告プラスアイ

(反訴請求)

(1) 原告は,被告プラスアイに対し,443万6230円及びこれに対する

平成22年2月23日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。

(2) 反訴費用は,原告の負担とする。

(3) 仮執行宣言

第2 事案の概要

1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)

(1) 当事者

原告は,販売促進に関する情報・資料の収集・企画及び販売,店頭広告

等の企画,設計,施工等を業務とする会社である。

被告プラスアイは,各種企業に対する販売促進活動の診断及び総合指導,

会社・業務案内,チラシ,パンフレット,ホームページ等企画,制作,印

刷等を業務とする会社である。

被告福助は,衣料繊維製品の製造加工ならびに売買,装身具・履物類及

び皮革製品の製造ならびに売買等を業務とする会社である。

(2) 被告福助の販促ツールの制作,製造

被告プラスアイは,被告福助から,女性用ストッキング等の販促ツール

(展示会や店頭において,商品を陳列する際に,商品を紹介,宣伝するた

めのポスターやトップボードなど,販売促進用に使用するものである。 の


制作,製造(印刷)を請け負っていた。

被告プラスアイは,上記販促ツールのうち07AWツール(2007年

秋冬用の販促ツール)について,制作を訴外ミヤビデザインに,印刷を訴

外有限会社エスアート(以下「エスアート」という。)に,印刷の管理業務

を訴外メインカラー(P1が担当)に,それぞれ請け負わせた。

さらに,被告プラスアイは,引き続き,08SSツール(2008年春



3
夏用の販促ツール)及び08AWツール(2008年秋冬用の販促ツール)

の制作,製造についても請け負うこととなった。

(3) 08SSツール

ア 原告に対する発注

被告プラスアイは,08SSツールの制作をミヤビデザイン以外の業

者に請け負わせることを検討していた。

被告プラスアイは,原告に対し,被告福助とは別の依頼者の案件につ

いて販促ツールの制作を請け負わせていたことから,上記08SSツー

ルの制作についても原告に請け負わせることを考え,平成19年7月,

8月ころから,交渉を始め,その結果,原告が,これを請け負うことと

なった。

イ 原告による印刷管理

なお,07AWツールで印刷管理業務を行ったP1が,08SSツー

ルでは行うことができなくなったことから,被告プラスアイは, (印
製造

刷)についても原告に請け負わせることとし,実際の印刷業務について

は,07AWツールに引き続き,エスアートに請け負わせることとした

(原告は,印刷管理業務を行うこととなる。 。


その後,原告の希望により,08SSツールのうち f-ing コレクショ

ン,f-ing モテスト(ストッキングの商品名),f-ing モテレギ(レギンス

の商品名)の製造については,エスアートではなく,訴外株式会社イワ

モト(以下「イワモト」という。)に請け負わせることとなった。

ウ 08SSツールの制作,製造代金の交渉

被告プラスアイとしては,08SSツールについても,07AWツー

ルと同等の予算で制作,製造することを考えていた。

原告が被告プラスアイから請け負った別の案件では,対価のうち1

3%の利益を取得していたので,当初は,その程度の利益を取得させる



4
契約内容とすることが予定されていた。

ところが,08SSツールの予算が膨らみ,07AWツールの際の予

算額を大幅に超えることとなったため,経費を圧縮する必要が生じ,原

告と被告プラスアイは,製造費(印刷費)のコストダウンの協議を続け

た。

原告と被告プラスアイは,平成19年12月ころ,製造費のうち8%

を原告が取得できるよう価格交渉をしていたところ,原告からの要望に

より,同月30日,08SSツールの制作,製造についての契約書(甲

11)を作成し,制作費,製造費の合計額として,2910万8730

円が明記された。

エ 納品

原告は,その後,08SSツールの制作を完了し,エスアート及びイ

ワモト(実際の印刷は別の業者が行った。)において印刷し,これを被告

プラスアイに納入し,被告プラスアイは,被告福助に納入した。

なお,08SSツールの代金は,最終的に,制作費として1050万

円(1122万9500円から協力金72万9500円を控除した金額)

と,製造費として2047万0664円が支払われた(甲9の1・2)。

(4) 08AWツール

ア 原告に対する発注

被告プラスアイは,被告福助の08AWツールについても,原告に請

け負わせることとなり,制作費の見積書の提出を求め,原告は,平成2

0年1月31日,制作費の見積書を提出した(乙6)。

被告プラスアイは,原告に対し,上記見積りを前提として,08AW

ツールの制作を発注した。

イ 本件画像データの制作

原告は,被告プラスアイから提供を受けたデータをもとに,被告らと



5
協議を重ねながら,次の販促ツールについてラフ案(本件デザイン画)

を制作した(甲7。なお,本件デザイン画のデータを「本件画像データ」

という。 。


エステサポート

スタイリング満足

f-ing コレクション

f-ing モテスト・モテレギ

ウ 製造についての見積依頼

被告プラスアイは,原告に対し,08AWツールの製造費についても,

見積書を提出するよう求めたが,原告は,なかなか見積書を提出せず,

平成20年3月28日になって,ようやく,製造費についての見積書(乙

8:単価を記載したもの)を提出した。

一方,被告プラスアイは,平成20年3月25日までに,訴外昌和印

刷株式会社(以下「昌和印刷」という。)に対して,08AWツールの製

造費の見積りをさせたところ(乙9の1・2),原告の提出した上記見積

書より低額であったため,原告に対し,見積りの詳細を明らかにするよ

う依頼するとともに,印刷業者として昌和印刷を使用することを提案し

た。

しかし,原告は,見積りの詳細を明らかにせず,また,印刷業者とし

て昌和印刷を使用することを拒否した。

エ 製造についての発注をしないことの通告

被告プラスアイは,原告に対し,平成20年5月27日,08AWツー

ルについては,ラフ案の制作までで,版下作成以降の作業の発注をしな

い旨通告した(甲23,乙12)。

オ 本件画像データの交付

原告は,被告プラスアイに対し,本件画像データを交付し,被告プラ



6
スアイは,平成20年8月11日までに,上記データ作成までの費用と

して226万5500円を支払った。

(5) 被告らによる本件画像データの使用

被告プラスアイは,原告から受領した本件画像データを使用し,昌和印

刷に対し印刷を依頼し,印刷された完成品を被告福助に納入した。

被告福助は,自己の商品を扱う店舗において,上記印刷物である販促ツー

ルを設置し,使用した。

2 当事者の請求

(本訴請求1)

原告は,被告らが,本件デザイン画の著作権や同一性保持権を侵害してい

るとして,被告らに対し,著作権に基づき,本件デザイン画の複製,翻案

差止めと,著作者人格権に基づき,謝罪広告を求め,著作権侵害を理由に,

2356万5396円の損害賠償及びこれに対する年5%の割合による遅

延損害金の支払を求めている。

(本訴請求2)

原告は,被告プラスアイが,08AWツールの製造にかかる契約を途中解

除したことに伴い,解除による原告の損害(契約が継続された場合の得べか

りし利益)を賠償する義務があるとして,被告プラスアイに対して,152

1万8274円の損害賠償及びこれに対する年5%の割合による遅延損害

金の支払を求めている。

(本訴請求3)

原告は,仮に,本訴請求2が認められない(08AWツールの製造契約の

成立が認められなかった場合)としても,被告プラスアイが,08AWツー

ルの製造契約が締結されないかも知れないことについての説明を怠ったた

め,原告は08AWツールの製造契約も締結されると信じ,不要なディスカ

ウントをしたとして,被告プラスアイに対して,契約締結上の過失に基づき,



7
1015万9250円の損害賠償及びこれに対する年5%の割合による遅

延損害金の支払を求めている。

(反訴請求)

被告プラスアイは,原告に対し,原告が虚偽の利益率を報告し,不当に高

額な製造費を支払わせたなどとして,付随義務違反や二次下請禁止義務違反

などを理由とする債務不履行(選択的請求1),又は,虚偽の利益率を報告

したことなどを理由とする不法行為(選択的請求2)に基づき,443万6

230円の損害賠償及びこれに対する年5%の割合による遅延損害金の支

払を求めている。

3 争 点

(1) 本訴請求1(著作権侵害に基づく損害賠償請求等)

ア 本件デザイン画の著作物性,著作権の帰属(争点1−1)

著作権の譲渡,使用許諾の有無(争点1−2)

著作権侵害による損害(争点1−3)

著作者人格権の侵害(争点1−4)

(2) 本訴請求2(民法641条の解除に伴う損害賠償請求)

ア 民法641条に基づく解除の成否(争点2−1)

イ 解除による損害(争点2−2)

(3) 本訴請求3(契約締結上の過失に基づく損害賠償請求)

ア 契約締結上の過失の有無(争点3−1)

イ 契約不成立による損害(争点3−2)

(4) 反訴請求1(08SSツールにおける原告の債務不履行に基づく損害賠

償請求)

ア 原告の債務不履行の有無(争点4−1)

イ 原告の債務不履行による損害(争点4−2)

(5) 反訴請求2(08SSツールにおける原告の不法行為に基づく損害賠償



8
請求)

ア 原告の不法行為(08SSツールの利益率に関する虚偽報告)の有無

(争点5−1)

イ 原告の不法行為による損害(争点5−2)

第3 争点に関する当事者の主張

1 争点1(著作権侵害に基づく損害賠償請求等)

1−1 争点1−1(本件デザイン画の著作物性,著作権の帰属)

【原告の主張】

(1) 著作物性

本件デザイン画は,写真,背景の色や文字について,創作者である原告

が,商品のイメージ,アイデア,コンセプト等に合わせて,独自の発想に

基づいてデザイン(各パーツのデザインやフォント選択なども含む。 ,レ


イアウト(図形などが重なる部分の処理なども含む。 , (グラデーショ
) 配色

ンなどを含む。 ,仕上げ作業(バランスやトーンの統一なども含む。
) )等を

行って制作したものであり,創作者たる原告の思想や感情を創作的に表現

した絵画(著作権法10条1項4号)ないし図表(同項6号)などに例示

されるデザインの著作物であるということができる(甲4)。

よって,本件デザイン画は著作物である。

(2) 著作権の帰属

本件デザイン画は,原告が被告プラスアイからの依頼を受け,原告の代

表者であるP2が,その職務として作成したものであるから,職務著作

して,本件デザイン画の著作権は原告に帰属する。

【被告らの主張】

(1) 著作物性

本件デザイン画は,原告がレイアウト作業を行ったものに過ぎず,少な

くとも原告の「思想または感情を創作的に表現したもの」には当たらない。



9
また,本件デザイン画は,大量生産を予定する被告福助の商品(女性用ス

トッキング等)の販促ツールとして作成されたものであるから,販促ツー

ルを見る者(消費者)がその形象に現れた美的創作性を鑑賞することは考

えられず,「美術の範囲」にも属さない。したがって,本件デザイン画は,

著作権法2条1項1号の著作物とはいえない。

(2) 著作権の帰属(予備的主張1)

本件デザイン画が著作物であったとしても,同デザイン画におけるロゴ

マーク,写真,パッケージデザイン,文字列の配置には,被告福助に著作

権が発生している。

原告代表者のP2が行った作業はレイアウトだけであり,レイアウト

ルールを策定したのは被告らである。

また,08AWツールにかかる本件デザイン画の表現方法についても,

被告らが決定し,これを原告に伝え,指示し,これらに基づいて本件デザ

イン画が作成された。

したがって,原告代表者のP2の独創性が発揮される場面はなく,P2

著作者ではないから,原告に著作権は発生しない。

(3) 共同著作(予備的主張2)

また,仮に,原告に本件デザイン画の著作権が帰属するとしても,本件

デザイン画は被告らとの共同著作物であり,しかも,原告の寄与率は5%

程度である。したがって,著作権法64条1項の適用はなく,被告らは,

原告の承諾なく,本件デザイン画の複製,翻案をすることができる。

1−2 争点1−2(著作権の譲渡,使用許諾の有無)

【被告らの主張】

(1) 仮に,原告が本件デザイン画について著作権を有していたとしても,次

のとおり,原告は,被告らに対し,上記著作権を譲渡し,又は本件デザイ

ン画の複製,翻案の許諾をした。



10
(2) 著作権の譲渡

原告が,被告プラスアイに対し,平成20年5月26日,本件デザイン

画の画像データ(PDFファイル形式のもの)を納品したことによって,

原告は,被告らに対し,本件デザイン画の著作権を譲渡した。

PDFファイルを使用したのは,原告と被告らとでは異なるPC環境を

使用していたため,異なるPC環境の下でも,正確な表示のできるPDF

ファイルを使用したにすぎない。

また,被告プラスアイが原告に対し支払った226万5500円は,本

件デザイン画の対価として妥当な金額である。08SSツールと比較して

低額なのは,数量が少ないためである。

(3) 複製,翻案の許諾

原告が,被告プラスアイに対し,平成20年5月26日,本件デザイン

画の画像データ(PDFファイル形式のもの)を納品したことによって,

原告は,被告らに対し,本件デザイン画の複製,翻案を許諾した。

【原告の主張】

(1) 本件デザイン画の著作権を譲渡していないこと

次の事情によると,原告が被告らに対し,本件デザイン画の著作権を譲

渡したとはいえない。

ア 原告が提供したファイルの形式

原告は,被告プラスアイに対し,本件デザイン画をPDFファイルの

形式で提案・提供しているが,デザインの提案をしたに過ぎず,本件デ

ザイン画の著作権を譲渡したわけではない。原告がデザイン画等の著作

権をデータで譲渡する場合は,イラストレータファイル(アドビ社の画

像ファイル形式であり,修正を加えることができる。 にて交付している。


イ 08SSツールの制作費との比較

08SSツールの制作費は1122万9500円であったが,原告が,



11
被告プラスアイから受領した08AWツールの制作費は,その20.1%

である226万5500円である。

08AWツールの本来の制作費は974万9750円であり(甲1

6:1242万4750円から版下データ作成費267万5000円を

控除したもの) 上記226万5500円は,
, 08AWツールのイメージ,

アイデア,コンセプトについて提案するための作業に対する対価であり,

本件デザイン画の著作権譲渡の対価ではない。

原告は,被告プラスアイに対し,その旨を述べた上で,上記金額を請

求し,その支払を受けた。

ウ 08SSツールについて作成された契約書(甲11)から推測される

08AWツールの契約内容

08SSツールについて作成された契約書(甲11)は,複製物の売

買,使用許諾という形をとっており,著作権の譲渡を前提としていない。

08AWツールも同様の契約内容であった。

(2) 本件デザイン画の使用を許諾していないこと

前記(1)ア,イの事情によると,原告が被告らに対し,本件デザイン画

の使用を許諾したとはいえない。

(3) 制作と製造が一体となった契約であること

08AWツールにおいても,08SSツールと同様,制作と製造が一体

となった契約であった。

後述するとおり(後記2),08AWツールでは,被告プラスアイが仕事

の完成前に契約を解除したのである。原告は,製造についても請け負って

いると信頼していたのであって,被告プラスアイが,その信頼を裏切り,

原告の制作の成果である本件デザイン画の使用をすることは許されない。

1−3 争点1−3(著作権侵害による損害)

【原告の主張】



12
(1) 被告らが本件デザイン画を使用したことにより,原告は,次のとおり,

得べかりし利益を失うという損害を被った。

(2) 得べかりし制作費

08AWツールの制作費は,08SSツールの制作費を基準に算定する

と1242万4750円であり,08AWツールの制作において,原告の

得べかりし利益は,既払金226万5500円を控除した1015万92

50円となる。

(3) 得べかりし製造費

08AWツールの製造数は,07AWツールの製造数から推計すると1

万5681個である。08SSツールの製造数は6905個であり,製造

費は1794万5480円(前提事実(3)エの一部である。)であるから,

08AWツールの製造費は4073万6239円と推計される。

〔計算式〕17,945,480×(15,681÷6,905)=40,736,239

また,08SSツールの製造費のうち原告の利益率は29.7%であるか

ら,原告は,08AWツールの製造において,少なくとも28%の利益を

得ることができた。

したがって,08AWツールの製造において,原告の得べかりし利益は,

1140万6146円と推計される。

〔計算式〕40,736,239×0.28=11,406,146

(4) 弁護士費用

上記損害の賠償請求の提訴にかかる弁護士費用は,少なくとも200万

円である。

(5) 合計

本件デザイン画の著作権侵害による損害合計は2356万5396円と

なる。

〔計算式〕10,159,250+11,406,146+2,000,000=23,565,396



13
【被告らの主張】

(1) 原告の主張をいずれも否認する。

(2) 08AWツールの制作費

08AWツールの制作費は226万5500円であり,全て既払いであ

る。

(3) 08AWツールの製造費

被告プラスアイは,08AWツールの製造を昌和印刷に依頼したが,製

造点数は4844個,製造費は1185万1000円であった。

1−4 争点1−4(著作者人格権の侵害)

【原告の主張】

被告らが,本件デザイン画を複製,翻案した行為(前提事実(5))は,本

件デザイン画についての原告の著作者人格権同一性保持権)を侵害するも

のである。

よって,原告は,被告らに対し,謝罪広告の掲載を求める。

【被告らの主張】

前記1−1【被告らの主張】のとおり,本件デザイン画は著作物ではない

ので,著作者人格権も発生せず,その侵害もない。

仮に,原告に同一性保持権があるとしても,被告らの行為は,やむを得な

い改変に当たる。

2 争点2(民法641条の解除に伴う損害賠償請求)

2−1 争点2−1(民法641条に基づく解除の成否)

【原告の主張】

(1) 08AWツールにかかる契約(以下「08AWツール契約」といい,0

8SSツールにかかる契約を「08SSツール契約」という。)は,次のと

おり,08AWツールの制作だけでなく,08AWツールの製造(印刷)

も含む,一体のものであった。



14
ア 08SSツール契約との対比

08AWツールは,08SSツールの継続案件であった。08SSツー

ル契約は,制作と製造が一体となったものであり,これに引き続き行わ

れた08AWツールの作業についても,特段の合意のない限り,08S

Sツールと同様,制作と製造が一体となった契約として締結された。

なお,08SSツール契約が,制作と製造が一体となった契約である

ことは,契約書(甲11)の記載からも明らかである。

イ 一部履行に着手したこと

一方,原告は,平成20年1月7日から,08AWツールのうちエス

テサポートに関する製造を開始している。

また,原告は,08AWツールのうち f-ing モテスト・モテレギにつ

いても,制作段階から,製造に向けた作業に着手していた。

さらに,制作段階で使用する画像データは低解像度のもので足りるが,

原告は,平成19年12月26日,実データ(原寸大での印刷を行うた

めの高解像度の画像)を受け取っていた。

これらの事実から,原告が,08AWツールの製造についても請け負

う旨の契約が成立していたといえる。

ウ 制作費をディスカウントしたこと

原告は,08AWツールの制作費について,08SSツールの制作費

用に比べ,80%減のディスカウントをしたが,これは,08AWツー

ル契約が,制作だけでなく,製造も含んでいるからである。

エ 見積りが確定していないこと

たしかに,被告プラスアイが08AWツール契約を解除した時点で,

製造費の見積りは確定していなかった。しかし,見積りの確定の有無と

契約の成否には関係がない。

(2) 08AWツール契約の解除



15
被告プラスアイは,原告から,本件デザイン画の画像データ(ラフ案)

を受け取ると,08AWツールの製造費の調整を放棄し,08AWツール

契約を一方的に解除した。

08AWツール契約は請負契約であるから,注文主である被告プラスア

イは,仕事が完成しない間は,上記契約をいつでも解除することが可能で

あるが,民法641条に基づき,原告に対し,解除に伴う損害を賠償すべ

きである。

【被告プラスアイの主張】

(1) 08AWツールの製造にかかる契約の不存在

08AWツール契約は,08AWツールの制作にかかる請負契約であり,

製造(印刷)を含んではいなかった。被告プラスアイは,原告に対し,製

造を発注しない旨通告しただけのことであり,製造にかかる契約を解除し

たわけではない。

すなわち,原告と被告プラスアイは,平成20年1月31日,原告が制

作の見積書(乙6)を提出したことにより,08AWツールの制作につい

て契約を締結したが,製造についての契約を締結した事実はない。

なお,原告の主張に対する反論は次のとおりである。

ア 08SSツール契約との対比

たしかに,08SSツールでは,制作と製造について契約を締結し,

これを1本の契約書(甲11)にまとめている。しかし,上記契約書は,

あくまで08AWツールとは別の08SSツールについてのものであり,

しかも,上記契約書は,契約が成立した後,事後的に作成されたもので

ある。

イ 一部履行に着手したとの主張について

原告の主張は,提訴後2年も経過した後の主張であり信用できない。

そもそも,印刷作業は1か月あれば間に合うものであり,原告が主張



16
する時期に,製版作業に着手するということはありえない。

ウ 制作費のディスカウントについて

08AWツールの制作費の見積りをする時点では,製造によって見込

まれる利益は全く未知数であり,制作それ自体において自己の採算が合

うように,原告自身において考慮すべきである。

(1)のとおり,08SS
また,後記3−1【被告プラスアイの主張】

ツールと比較した08AWツールの制作費のディスカウント率は20%

に過ぎない。

エ 見積りが未確定であること

被告福助用の販促ツールの制作及び製造については,個別の見積りを

経て受注(契約)がなされるので,十分な受注が得られなければ製造を

行わない(発注されない)ものもある。

原告は,平成20年3月28日,見積書を提出したが,あまりに高額

であったため,被告プラスアイは,被告福助に参考単価として提示する

ことができず,見積りの詳細を検討し,参考単価を下げる必要があった

が,2か月にわたって,原告が製造費についての見積りの詳細を明らか

にしなかった。

(2) 08AWツールの製造を原告に発注しなかった事情

前記(1)エのとおり,08AWツールの製造では,被告福助の予算に合

致することが前提であったが,原告が,被告福助営業部に提示できないよ

うな高額の製造費の見積書を提出したため,被告プラスアイは,原告に対

し,製造費の見積りの詳細を明らかにするよう再三要求した。

それにもかかわらず,原告は,2か月にわたり無視したため,被告プラ

スアイは,原告が製造を受注する意思がないものと判断し,当初の予定を

変更し,別の業者に製造(印刷)を発注することにし,08AWツール契

約を解除した。



17
(3) 債務不履行による解除

仮に,08AWツール契約が,制作と製造を一体としたものであったと

しても,被告プラスアイのした解除は,次のとおり,債務不履行を理由と

する解除であって,民法641条に基づく解除にはなり得ない。

すなわち,08AWツールの制作にかかる版下作成の履行期は平成20

年5月末であったにもかかわらず,原告は,版下データを引き渡さないば

かりか,同年5月26日,印刷作業に必要となるイラストレータデータの

引渡を拒絶した。

(4) 08AWツール契約の解除

なお,上記(1)のとおり,08AWツール契約は,制作に関する契約で

あるが,上記契約は,被告プラスアイによって,平成20年5月27日,

原告の債務不履行を理由に解除された。

仮に,原告に債務不履行がなかったとしても,同月27日,原告からの

契約内容に関する照会のメールに被告プラスアイが回答したことにより,

上記契約は合意解除された。

2−2 争点2−2(解除による損害)

【原告の主張】

被告プラスアイは,08AWツール契約を途中解除したが,民法641条

に基づき被告プラスアイが賠償すべき損害は,次のとおりである。

(1) 制作費のディスカウント分(得べかりし利益その1)

本来,08AWツールの制作費は,1242万4750円であり,既払

いの226万5500円を控除した残額1015万9250円を得ること

ができたはずである。

〔計算式〕12,424,750−2,265,500=10,159,250

(2) 製造費(得べかりし利益その2)

08AWツールの製造費は,07AWツール,08SSツールの実績な



18
どから,少なくとも2304万9177円が見込まれ,原告は,08AW

ツール契約が解除されなければ,原告の通常の利益率28%(前記1−3

【原告の主張】(3))を乗じた645万3769円の利益を得ることがで

きた。

〔計算式〕23,049,177×0.28=6,453,769

(3) まとめ

被告プラスアイが08AWツール契約を解除したことにより,原告は,

上記利益を得ることができなくなり,1661万3019円の損害を被っ

た。

〔計算式〕10,159,250+6,453,769=16,613,019

原告が被告プラスアイに対し請求する1521万8274円は,上記損

害の一部である。

【被告プラスアイの主張】

争う。

原告は,製造(版下作成作業)を行っておらず,損害は発生していない。

原告に何らかの損害が発生したというのであれば,制作に関する見積書(乙

6)によって算定されるべきであるが,上記見積書の対価である226万5

500円は支払済みである。

3 争点3(契約締結上の過失に基づく損害賠償請求)

3−1 争点3−1(契約締結上の過失の有無)

【原告の主張】

仮に,08AWツール契約が,08AWツールの制作のみで,製造を含ま

ないものであったとしても,次のとおり,被告プラスアイは,契約締結上の

過失により生じた原告の損害を賠償すべきである。

(1) 不要なディスカウント

原告は,平成19年12月6日から平成20年1月16日ころまでに,



19
本件デザイン画の制作を開始したが,そのころから,製造についても契約

の締結に向けた交渉に入っていた。

原告は,08AWツール契約締結以前,上記契約が制作と製造を一括し

た制作物供給型の請負契約ではなく,制作と製造が個々に独立した契約で

あることについて,被告プラスアイから全く説明を受けておらず,製造ま

で一体となった契約であり,製造についても請け負うことができると考え

ていた。

このため,原告は,08AWツールの制作費について,前年比80%減

のディスカウントを行った。

(2) 故意・過失

契約当事者は,取引の相手方に不測の損害を与えないよう信義則上注意

を与える必要がある。すなわち,契約交渉が一定の段階に達すると,一方

的に契約を打ち切ってはならない義務,相手方の安全に配慮するべき義務

など,契約に付随する義務が生じる。

被告プラスアイは,原告が,08AWツールの制作だけでなく,製造も

受注できることを期待して,制作費のディスカウント(08SSツールに

比して80%減のディスカウント)を行っていたことを知悉していた。し

たがって,制作と製造が別契約であるため,制作費をディスカウントして

も,製造を発注されない場合は,ディスカウントした分の利益を確保する

ことができないことを説明すべきであった。

それにもかかわらず,被告プラスアイは,これらの説明をしないまま,

製造についての契約を締結することなく,原告に隠れて見積りをとってい

た昌和印刷に発注し,原告の利益を侵害した。

【被告プラスアイの主張】

(1) ディスカウントの有無,割合

原告は,08AWツールの制作費について,08SSツールの制作費に



20
比べ,80%減のディスカウントをしたと主張するが,もともと,08S

Sツールの制作費が高額に過ぎた上,1アイテム当たりの単価を比較する

と,08AWツールは,08SSツールの制作費と比較して20%減少し

たに過ぎなかった。

しかも,08AWツールは08SSツールを踏襲する部分が多いため,

安価に制作することが可能であった。

(2) 08AWツールの製造を原告に発注しなかった事情

前記2−1【被告プラスアイの主張】(2)と同じ

(3) 故意・過失

上記(1),(2)の経緯からすると,被告プラスアイに故意・過失はなく,

むしろ,製造についての契約締結に至らなかったのは,2か月間にわたり,

コストダウン協議の予定を無視し,再三の要求にもかかわらず,製造につ

いての見積りの詳細を明らかにしなかった原告にある。

3−2 争点3−2(契約不成立による損害)

【原告の主張】

原告は,前記3−1【原告の主張】(1)のとおり,不要なディスカウント

を行い,その結果,1015万9250円の損害を被った(金額の算定につ

いては,前記1−3【原告の主張】(2)と同じ)。

なお,上記損害は,履行利益に相当する損害ではなく,製造にかかる契約

を受注することができると信頼したことにより,不要なディスカウントを

行った結果発生したものであるから,信頼利益に相当する損害である。

【被告プラスアイの主張】

争う。

なお,ディスカウント分は前記3−1【被告プラスアイの主張】(1)のと

おり,08SSツールと比較して20%減に過ぎない。

4 争点4(08SSツールにおける原告の債務不履行に基づく損害賠償請求)



21
4−1 争点4−1(原告の債務不履行の有無)

【被告プラスアイの主張】

次のとおり,原告は,債務の本旨を履行せず,又は付随義務違反の行為を

した。

(1) 印刷管理費の約定,報告義務違反

前提事実(3)イのとおり,被告プラスアイは,原告に対し,平成19年

11月ころ,08SSツール作成について,印刷工程の管理業務(仕入原

価を適正化するための調整業務及び納期管理業務)を委託し,原告の管理

業務の報酬は,製造費(印刷費)全体のうち13%と定められた。

したがって,原告は,印刷原価及び原告の利益率について,被告プラス

アイに対し報告すべき付随義務を負っていた。

それにもかかわらず,原告は,被告プラスアイに対し,原告の印刷管理

費の割合を報告せず,製造費のうち29.7%を印刷管理費として取得した。

(2) 二次下請の禁止義務違反

被告プラスアイは,08SSツールの印刷業者をエスアートと指定して

いた。しかし,原告が,
「日本全国でイワモト以外にできない加工方法をさ

せるためにイワモトを使いたい」と申し出たために,イワモトを印刷業者

として用いることを容認した。したがって,イワモト以外に印刷業務をさ

せることは許されなかった。

それにもかかわらず,原告は,イワモトが印刷業務を第三者に請け負わ

せることを許し,その結果,被告プラスアイから請け負った印刷工程管理

業務を無断でイワモトに下請けさせ,イワモトに下請代金のうち15%の

利益を取得させた。

(3) わざと価格調整を遅らせて,高い金額で受注させたこと

原告は,08SSツールの製造費の見積りを納期直前まで提出せず,さ

らに,イワモト下請分について,被告プラスアイがコストダウンのため業



22
者を変更して見積りすることを依頼したが(乙34),これを無視して,十

分な価格調整の時間を奪った上,納期間際の平成19年12月26日に

なって最終見積を提出した(甲55の16,乙35の3枚目,乙42)。

(4) 梱包発送費,追加製造費の騙取

原告は,梱包発送費や追加製造費を実費として請求しながら,これを下

請に支出させ,自らはこれを利益として取得した。原告の上記行為は,本

件印刷工程管理業務の義務の不履行又は付随義務違反というべきものであ

る。

【原告の主張】

(1) 印刷管理費の約定,報告義務の有無

08SSツールについて,原告は,被告プラスアイとの間で,印刷工程

の管理を含む契約を締結したが,原告の取得すべき印刷管理費の額につい

てまで合意したわけではない。

したがって,原告の取得する印刷管理費の額を被告プラスアイに対し報

告する義務もない。

なお,原告は,被告プラスアイに対して,平成19年12月26日,最

終価格を提示した。これによると,原告の利益率は約8.26%であった。

この価格提示をもとに,08SSツールにおける販促ツールの製造価格が

確定し,同月30日,08SSツールの契約書(甲11)が作成された。

原告は,08SSツールの契約が締結された後の平成20年1月31日,

イワモトらとの間で,価格交渉を行った。その営業努力の結果,原告の取

得する管理費の割合(利益率)が上昇したにすぎない。

(2) 二次下請禁止義務

そもそも,二次下請禁止の特約はなかった。

(3) 価格調整を遅らせたか否か

原告は,平成19年12月30日の契約書作成まで,できるかぎりの交



23
渉を行っており,価格調整を故意に遅らせた事実はない。

(4) 梱包発送費,追加製造費

上記(1)のとおり,利益率についての合意はなく,原告の取得すべき制

作費及び印刷管理費は,契約書(甲11)によって定まる。

4−2 争点4−2(原告の債務不履行による損害)

【被告プラスアイの主張】

08SSツールにおける本来の製造原価は1265万0862円である。

製造費(印刷費)のうち13%を原告の印刷管理費とすると,原告が被告

プラスアイに対し請求できる製造費は1454万1221円となる。

〔計算式〕12,650,862÷(1−0.13)=14,541,221

原告は,被告プラスアイに対し,1899万5870円を請求し,被告

プラスアイは上記金額を支払ったのであるから,被告プラスアイは上記の

差額445万4649円の損害を被った。

被告プラスアイが原告に対し請求する443万6230円は,上記損害

の一部である。

【原告の主張】

争う。

08SSツールの最終的な発注者は被告福助であって,被告プラスアイ

は,08SSツールの制作,製造を請け負っている立場にある。したがっ

て,被告プラスアイには,その報酬を超えて損害が発生することはない。

5 争点5(08SSツールにおける原告の不法行為に基づく損害賠償請求)

5−1 争点5−1(虚偽報告の有無)

【被告プラスアイの主張】

前記4−1【被告プラスアイの主張】と同じ

すなわち,被告プラスアイは,原告に対し,08SSツールについて,

印刷工程の管理業務を請け負わせ,原告が,製造費のうち13%を管理費



24
として取得する旨合意した。

しかし,原告は,自己の取得する管理費は製造費のうち8%であると虚

偽の事実を述べ,実際には,製造費のうち29.7%を取得し,また,被告

プラスアイに無断でイワモトに印刷管理業務を下請させ,印刷代金のうち

15%を取得させ,さらに,梱包発送費,追加製造費名目で,被告プラス

アイに支出させた費用を騙取した。

【原告の主張】

前記4−1【原告の主張】と同じ

すなわち,08SSツールについて,原告と被告プラスアイとの間で,

印刷管理業務の費用について合意があったわけではなく,原告が被告プラ

スアイに対し,印刷管理費の額を報告する義務もない。

また,二次下請の禁止の特約もなかった。

イワモトが印刷代金のうち15%を取得することについて,被告プラス

アイの承諾を得なければならない根拠もない。

そうすると,原告の取得する印刷管理費は製造費のうち8%であり,そ

の旨通知したことは虚偽ではない。

5−2 争点5−2(原告の不法行為による損害)

【被告プラスアイの主張】

前記4−2【被告プラスアイの主張】と同じ

【原告の主張】

前記4−2【原告の主張】と同じ

第4 当裁判所の判断

1 紛争を巡る経緯

前提事実,証拠(甲4,70,71,乙82,83,87,証人P3,同

P4,同P1,原告代表者本人,被告プラスアイ代表者本人,後掲のもの)

及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。



25
(1) 当事者

前提事実(1)のとおり。

(2) 被告福助の販促ツールの制作,製造についての経緯

被告プラスアイは,被告福助から,女性用ストッキング等の販促ツール

の制作,製造を請け負っていた。

被告プラスアイは,上記販促ツールのうち07AWツールの制作をミヤ

ビデザインに,印刷についてはエスアートに請け負わせ,印刷の管理業務

については,P1に依頼した。

被告プラスアイは,引き続き,08SSツール及び08AWツールにつ

いても請け負うこととなった。

(3) 08SSツール

ア 原告に対する発注

被告プラスアイは,ミヤビデザインとの取引について支障があると考

え,08SSツールのいくつかについては,別の業者に請け負わせるこ

とを検討していた。

被告プラスアイは,被告福助とは別の依頼者の案件について,原告に

対し,販促ツールの制作を発注していたことから,上記08SSツール

の制作を原告に請け負わせることを考え,平成19年7月,8月ころか

ら,交渉した結果,原告がこれを請け負うこととなった。

イ 原告による印刷管理

07AWツールでは,エスアートが印刷業務を行い,これを株式会社

メインカラーが管理し,同社に在籍していたP1が担当していたが,0

8SSツールでは,引き続きエスアートが印刷業務を行うことになって

いたものの,P1がメインカラーから独立し,印刷管理業務を担当する

ことが困難となった。

このため,被告プラスアイは,平成19年9月ないし10月ころ,原



26
告に対し,08SSツールの製造についても請け負わせることとした(乙

82,87)。

ウ 08SSツールの内容

販促ツールは,商品毎に制作,製造され,08SSツールでは,エス

テサポート,スタイリング満足,f-ing コレクション,f-ing モテスト,

f-ing モテレギなどの商品に関するものであった(甲9の1)。

エ 原告の予定利益と見積書の提出依頼

被告プラスアイとしては,08SSツールについても,07AWツー

ルと同等の予算で制作,製造することを考えていた。そこで,被告プラ

スアイは,上記アの交渉の際,原告に対し,07AW製造実績(製造数

と単価)の一覧表を見せて,08SSの予算も同じ程度にする必要があ

ると伝えた。

被告プラスアイとしては,製造単価が高すぎると,被告福助からの発

注が少なくなる可能性もあるため,適正な価格調整をするため,早期の

見積りが必要であると考え,原告に対し,見積書を提出するよう,再三

にわたって説明していた。

その一方で,被告プラスアイは,原告が,それまでに担当した案件で

13%の利益を取得していたので,当初は,その程度の利益を取得させ

る契約内容とすることを予定していた(乙71,乙72の1〜3)。

オ 印刷業者の変更

当初,08SSツールの製造(印刷)では,07AWツールと同様,

エスアートが印刷業務を行うことが予定されていたが(原告は,印刷管

理業務を行うこととなる。 ,原告が,08SSツールのうち,f-ing のコ


レクション,モテスト,モテレギについては,エスアートではできない

印刷手法を使用したいので,その技術を有するイワモトに請け負わせた

いと申し出た。このため,被告プラスアイは,原告に対し,見積書を提



27
出するよう指示した(乙82)。

カ 見積書の提出

被告プラスアイは,原告に対し,平成19年10月19日ころ,概数

でよいから見積書を提出するよう,電子メールで伝え(乙46の1 2)
・ ,

その後も提出の依頼を続けた(乙47)。

それにもかかわらず,原告は,なかなか見積書を提出しようとはせず,

製造開始予定の1か月前である,同年12月4日ころになってようやく

見積書を提出した(甲55の1,甲57,乙48,乙49の1〜10,

乙58の1〜18,乙82)。

キ コストダウンの要請

原告が提出した見積書に従うと,08SSツールの予算は,単価にし

て07AWツールの単価の2倍以上となり,07AWツールの費用を大

幅に超えることとなったため,被告プラスアイとしては,被告福助に提

示することができず,経費を圧縮する必要があると考え,原告との間で,

コストダウンの協議を始めた(甲19,甲55の2〜18,甲60,乙

37,乙51,52,乙53の1・2,乙54〜56,乙57の1〜4,

乙59の1・2,乙60,61,63〜68)。

コストダウンに関する協議の中で,被告プラスアイは,イワモトに請

け負わす予定であった印刷業務を再びエスアートに戻すよう指示したが,

原告は,これに応じなかった(乙34,35,82,被告プラスアイ代

表者本人12頁以下)。

原告は,平成19年12月27日,被告プラスアイに対し,08SS

ツール(エスアートが関与しないもの)の最終的な見積表を提出した(甲

55の17) その際,
。 原告が製造費のうち取得する利益の割合は約8%

であると説明した。

これに対し,被告プラスアイは,納期が迫るに至り,被告福助が了承



28
できる代金に抑えるため,自己の取得する利益を抑えることとし,原告

に対しても同様の努力を要請した(甲19)。

ク 契約書(甲11)の作成

原告は,被告プラスアイから度重なるコストダウンの要請を受けるに

至り,請負代金を確定させておく必要があると考え,被告プラスアイに

対し,契約書を作成するよう求めた(甲55の16,乙42) その結果,


原告と被告プラスアイは,平成19年12月30日,08SSツールに

ついて,契約書(甲11)を作成し,被告プラスアイの従業員であるP

4が上記契約書の代金について連帯保証する旨の覚書を原告に差し入れ

た(甲11)。

上記契約書には,08SSツールの請負代金合計として2910万

8730円と記載されていた。平成20年1月13日付の見積書(甲9

の1)によると,上記代金の内訳は,制作費が1050万円(1122

万9500円から協力費を控除した金額で,消費税を除く。 ,製造費が


1681万3250円(消費税を除く。 ,差額の残金は諸経費であるこ


とがわかる。

なお,被告プラスアイ代表者のP5は,上記契約書の金額欄は後日記

載されたと述べるが(被告プラスアイ代表者本人21頁) 仮に上記供述


どおりであったとしても,遅くとも,上記見積書(甲9の1)が提出さ

れたころまでには記入されたと認めることができる。また,上記契約書

作成の動機が上述したところにあることには変わりないというべきであ

る。

ケ 製造の開始

原告は,08SSツールの制作を終了し,製造に着手したが,イワモ

トが印刷する予定のものについては,実際には,イワモトではなく,イ

ワモトから下請した大興トップス株式会社が印刷をした(甲61。イワ



29
モトは,印刷管理をしたことになる。 。


コ 双方の認識

被告プラスアイとしては,製造費については,原告の取得分が製造費

のうち8%となるよう,コスト削減に協力してもらったと認識していた。

一方,原告は,08SSツールの製品を納品すれば,上記契約書(甲

11)の合意通りの代金を受領できると認識していた。

サ 納品と支払(原告の取得した利益)

原告は,平成20年2月末ころまでに,08SSツールの印刷を終え,

これを被告プラスアイに納入し,被告プラスアイは,被告福助に納入し

た(甲9の2)。

一方,前記クのとおり,原告と被告プラスアイは,上記契約書(甲1

1)を作成し,08SSツールの制作費について1050万円,製造費

について1681万3250円(いずれも消費税を除く。 と合意したが,


実際に製造を終えた後,原告は,被告プラスアイから,製造費として2

047万0664円の支払を受けた(甲9の2)。

ところで,イワモトから原告に対する請求額は940万9281円(甲

20の1)であり,エスアートからの請求額は498万7500円(甲

20の2)であり,原告は,製造費として支払を受けた上記2047万

0664円との差額607万3883円を取得した。その割合は,製造

費全体の29.7%となるが,被告プラスアイは,本訴が提起されるまで,

上記割合を知らなかった。

〔計算式〕(20,470,664−9,409,281−4,987,500)=6,073,883

6,073,883÷20,470,664=0.297

(4) 08AWツール

ア 原告に対する発注

被告プラスアイとしては,08SSツールの発注に際し,予算を大き



30
く超えたことから,08AWツールでは,08SSツールの予算額より

下げる必要があった。しかし,新たな業者に依頼をするより,引き続き

原告に依頼した方が,コストを抑えることができると考え,そのまま原

告に依頼した。

イ 08AWツールの制作費の見積り

もっとも,08SSツールが予定した予算を超えたため,被告プラス

アイや被告福助としては,08AWツールについて,08SSツールで

要した費用と同程度の予算では発注できないという認識でいた。

このため,被告プラスアイは,原告に対し,イワモトを使用すること

はしない旨,予め伝えるとともに,とりあえず,制作と製造を分け,制

作についての見積書を提出するよう依頼した。

原告は,平成20年1月31日,制作費の単価についての詳細な見積

書(乙6)を提出した(乙39)。

被告プラスアイとしては,上記見積りに異議はなく,原告は,08A

Wツールの制作作業を開始した。

ウ 08AWツールの制作過程

平成19年12月末ころ,被告福助の担当者と被告プラスアイとの間

において,08AWツールのうち,翌年3月5日の展示会が予定されて

いるエステサポートとスタイリング満足の販促ツールの打合せが行われ

た(乙83)。

その後,被告プラスアイは,被告福助や原告との間で,打合せを重ね,

これに従い,原告において08AWツールの制作を行い,平成20年2

月末ころまでには,版下データの作成を残し,制作の作業を終えた(乙

1〜4,14,15,証人P4)。

原告が制作した08AWツールは,次の商品に関するものであった。

エステサポート



31
スタイリング満足

f-ing コレクション

f-ing モテスト

f-ing モテレギ

エ 08AWツールの製造の発注

被告プラスアイとしては,製造についても,新たな印刷業者に依頼す

るより,引き続き,原告に印刷管理を行わせる方がコスト的には有利と

考えた。

このため,被告プラスアイは,原告に対し,08AWツールの製造費

の見積書を速やかに提出するよう依頼するとともに,自らも,昌和印刷

に対し,相見積りをするよう依頼した。

原告は,平成20年3月28日に08AWツールの製造費の見積書を

提出したが(乙8) その金額は,
, 昌和印刷の提出した見積書(乙9の1・

2)の金額と比べ極めて高かった。

このため,被告プラスアイは,原告に対し,上記見積りの詳細を明ら

かにするよう求めたが,原告は,「数量を教えてくれないと出せない。」

と返答し,基準となるようなものの提出もなかった。

オ 相互の不信感

原告は,製造費のコストダウンを要求する被告プラスアイの態度に対

し,支払が確実になされるかについて不安を感じ,被告プラスアイに対

し,資金繰りを開示するよう要請した上,個人保証をつけるよう依頼し

た(乙10)。

一方,被告プラスアイとしては,08SSツールと同様,製造費が膨

らむおそれを感じ,このまま原告に印刷管理業務を委託していると,0

8SSツールの際と同様,予算を超過してしまうと判断し,原告に対し,

平成20年5月27日,08AWツールについては,ラフ案の制作まで



32
で,版下作成以降の作業の発注をしない旨通告した(甲23,乙12)。

その間,原告は,平成20年5月26日,08AWツールの制作の見

積書(甲12)を提出した(甲54)。上記見積書の金額(請求額)は2

26万5500円であり,提出時点までに既に終了した作業(ラフ案の

制作までで,版下入稿データの提供を含まない。)に対する金額である。

カ 引渡の拒否

被告プラスアイは,原告に対し,08AWツールの製造(印刷)を発

注しない旨伝えたところ,原告は,当初,交付できるデータの内容を特

定するメールを送付した(乙5)。

しばらくした後,原告は,被告プラスアイに対し,08AWツールの

データを引き渡さないと述べたが,結局,次のとおり,平成20年5月

16日分までの制作分を引き渡した(甲4)。

エステサポート 4点

スタイリング満足 10点

f-ing コレクション 2点

f-ing モテスト 5点

f-ing モテレギ 3点(合計24点)

(5) 複製禁止の通告

原告は,被告プラスアイに対し,平成20年6月27日付の書面(甲8)

により,同年5月に送付した08AWツールに関する本件デザイン画につ

いての著作権が原告にあると認識していること,及び原告の許諾なく,複

製等を行うことはできない旨を通告した。

2 本訴請求1(著作権侵害に基づく損害賠償請求等)について

(1) 原告の行った作業

08AWツールの制作作業について,もう少し詳しくみると,次の過程

を経て作業が行われたことが認められる(乙83,証人P4)。



33
ア 販促ツールの作成過程(乙87)

被告福助において,販促ツールの作成過程は,次のようなものであっ

た。すなわち,販促ツールの作成過程は,制作過程と製造過程とからなっ

ており,制作過程は,さらに企画,制作(レイアウト),版下データの作

成に分かれ,製造過程は,製版,印刷,加工(印刷した紙の表面にフィ

ルムを貼ったり,型抜きをしたりして完成させる作業)に分かれる。

イ 08AWツールの企画

平成19年12月末ころ,被告プラスアイと被告福助との間で,エス

テサポートとスタイリング満足の販促ツールの打合せが行われた。

次に,平成20年1月22日,被告プラスアイが作成,提出した08

AWツールについての企画書(乙18)に基づき,被告プラスアイと被

告福助との間で,f-ing コレクションの POP 仕様が提案され,企画書ど

おり実施することが決められた。

その後,被告プラスアイから,原告に対し,後記ウのとおり,被告福

助との間で打ち合わされた販促ツールのレイアウトの概要等が指示され

た。

ウ 08AWツールのラフ案(本件デザイン画)の提供

原告は,次のとおり,08AWツールにおいて,それぞれの商品類型

の販促ツールの制作を行い,被告プラスアイに対し,ラフ案を提供した。

(ア) エステサポートについてのラフ案の提供

原告は,平成20年1月16日から同年2月15日までの間,被告

福助から提供を受けたデータ(モデルの写真)を加工し,これを用い

たラフ案を複数回にわたり提供した(甲7,24〜26,28,29)。

その間,原告と被告らとの間で意見が交換され,被告らの指示に従っ

て,修正が施された(乙1)。

(イ) スタイリング満足についてのラフ案の提供



34
原告は,上記(ア)と同様に,平成20年1月16日から同年2月1

9日までの間,被告福助から提供を受けたデータ(モデルの写真)を

加工し,これを用いたラフ案を複数回にわたり提供した(甲7,30〜

32,甲33,34の各1・2,甲35)。

その間,原告と被告らとの間で意見が交換され,被告らの指示に従っ

て,修正が施された(乙2)。

(ウ) f-ing コレクションについてのラフ案の提供

原告は,上記(ア)と同様に,平成20年2月13日から,被告らか

ら提供を受けた企画書やデータをもとに,ラフ案を数回にわたり提供

した(甲7,甲36の1〜4,甲38〜44,49,乙7)。

その間,原告と被告らとの間で意見が交換され,被告らの指示に従っ

て,修正が施された(甲37,乙3,14,15,18,24,乙2

5の1・2,乙44)。

(エ) f-ing モテスト・モテレギについてのラフ案の提供

原告は,f-ing モテスト・モテレギのイメージマップ(甲45)を制

作,提供した上,上記(ア)と同様,平成20年4月12日ころから,

被告福助から提供を受けたデータ(モデルの写真)を加工し,これを

用いたラフ案を数回にわたり提供した(甲47の1〜4,甲48の1〜

5)。

これに先立ち,原告は,08SSツールで用いたデータを使用して,

モデルの撮影について意見を述べたり,被告らからの指示に従って修

正を施したりした(甲46の1・2,乙4,16,26,45)。

(2) 著作物性

ア 原告は,本件デザイン画について,これらは著作物性を有し,これを

創作したのは原告の従業員であるから,原告に本件デザイン画にかかる

著作権が帰属すると主張する。



35
また,原告は,本件デザイン画の著作物性の根拠について,写真,背

景の色や文字を,商品のイメージ,アイデア,コンセプト等に合わせて,

独自の発想に基づいてデザイン,レイアウト,配色,仕上げ作業等を行っ

て制作したことを理由として述べる。

しかし,商品イメージやキャッチフレーズ,モデルの写真などの素材

は,被告らから提供されたものであって,原告が制作過程において行っ

た作業(製造過程における作業を除く。)は,デザイン,レイアウト(素

材のレイアウト),配色,仕上げの各作業に過ぎず,本件デザイン画に著

作物性を認めることはできない。

イ これをもう少し詳しく述べると,次のとおりである。

(ア) エステサポート,スタイリング満足について

原告は,エステサポートに関する08AWツールのデザインポイン

トとして, ブランド名を強調し,
@ 棚に飾った際に見やすい位置にし

たこと,A デニール数(繊維の太さ)を見やすい位置にしたこと,B

部分的にマットニス仕上げを使用するなどして,上質感を出したこと,

C さらには,透明感や品質(締め付け感)を演出するほか,いろいろ

な画像処理を施したことなどを挙げる。

また,スタイリング満足に関する08AWツールのデザインポイン

トについても,上記@,Aのほか,D Rラインに擬似的に銀色に見え

る処理をするなどして,高級感を出したこと, 脚が美しく見えるよ
E

う写真の角度を調整したことなどを挙げる。

しかし,これらはいずれも,もっぱら顧客の注意を引き,購入意欲

を喚起するために,被告らから提供された素材をどのようにレイアウ

トしたかということや,仕上がりに高級感を持たせるためにいかなる

処理をしたかをいうものに過ぎない。また,レイアウト自体は,他の

同種の販促ツールと比べ,特徴的なものがあるとはいえない。



36
さらに,本件デザイン画において,いかなる思想や感情が表現され

ているのか,どの点をもって,これが美術の範囲に属するといえるの

か,明らかとはいえない。

しかも,これらの商品についての08AWツールにおける企画は被

告らが立案したものであり,上記各商品にかかる08AWツールに使

用した写真は被告らが原告に対し提供したものであり,パッケージデ

ザインやロゴなども,いずれも被告らが原告に提供したものである(前

記2(1))。

以上によると,本件各デザイン画のうちエステサポート,スタイリ

ング満足に関する部分の作成に際し,原告の行った作業の結果につい

て,著作物性を認めることのできる表現部分があるとはいえず(原告

が主張する上記デザインポイントを,著作権を理由に原告に独占させ

るべき表現方法ということはできない。 ,他に著作物性を認めること


のできる表現部分の主張,立証はない。

(イ) f-ing コレクションについて

原告は,f-ing コレクションに関する08AWツールのデザインポイ

ントとして, 上質感を加えた表現と,
@ 豊富な商品群のコーディネー

トの楽しさの表現, 見やすく,
A ロンドンの地下鉄路線図を使用した

こと,ロゴに金ホットスタンプを用いて立体感を出し,高級感を演出

したこと, コーディネート Book をプラスチック製のリングファイ
B

ルで取り付け,インデックス機能も取り付けたことなどを挙げる。

しかし,これらも上記(ア)と同様,いずれも顧客の注意を引き,購

入意欲を喚起するために,被告らから提供された素材をどのようにレ

イアウトし,見やすさを工夫したかをいうものに過ぎない。

他に,本件デザイン画のうち f-ing コレクションに関する部分の作

成に際し,原告の行った作業の結果について,著作物性を認めること



37
のできる表現部分の主張,立証はない。

(ウ) f-ing モテスト・モテレギについて

原告は,f-ing モテスト・モテレギに関する08AWツールのデザイ

ンポイントとして, モデルの年齢やエレガントかつキュート,
@ それ

でいて大人の装いが着こなせるイメージを考慮し,グランドカラーと

して落ち着いて華やかな色を選び,モデルの年齢を意識した「等身大」

のイメージを表現することとしたこと,モテストについては, 秋冬
A

感を演出するためにマスタードイエローとボルドーレッドをテーマカ

ラーとしたこと, ブラックやゴールドの帯を用いたり,
B 星のモチー

フを用いたりすることで,訴求点を演出し, 無駄なデザイン要素や
C

色目を省くことにより,上質な大人っぽさを表現し, 売り場での可
D

視性を考慮し,モテレギについては,上記Cのほか,E 秋冬感を演出

するためシルバーとスノーホワイトをテーマカラーとしたこと, モ
F

テストに比べ,カジュアル用であることを考慮し,結晶のモチーフを

用いることとしたことなどを挙げる。

しかし,これらも上記(ア)と同様,いずれも顧客の注意を引き,購

入意欲を喚起するために,被告らから提供された素材をどのようにレ

イアウトし,テーマカラーやモチーフの選択をしたかをいうものに過

ぎない。

他に,本件デザイン画のうち f-ing モテスト・モテレギに関する部

分の作成に際し,原告の行った作業の結果について,著作物性を認め

ることのできる表現部分の主張,立証はない。

ウ 被告らの指示

そもそも,本件デザイン画は,原告と被告らとの間の契約関係に基づ

き,被告福助の販促ツールとして制作されたものであるから,原告は,

本件デザイン画を制作するに当たっては,契約上の義務として,被告プ



38
ラスアイ及び被告福助の指示に,当然に従わなければならないものであ

ることが明らかである。現に,前記(1)のとおり,原告は,被告らの指

示に従って本件デザイン画を制作している。

これらのことからすれば,原告は,被告らの指示に従って本件デザイ

ン画を制作しなければならず,少なくとも被告らの意向に反して創作性

を発揮することはおよそ許されない関係にあったものといえる。

エ まとめ

以上によると,本件デザイン画に著作物性を認めることはできず,仮

に,素材の中に著作物性を認めることのできるものがあるとしても,原

告の作業によって,新たな創作がされたと認めることはできない。

したがって,原告は,本件デザイン画について,著作権を有している

とはいえない。

(3) 著作権の譲渡,複製等の許諾

被告らは,仮に,本件デザイン画が著作物と認められるとしても,原告

から著作権の譲渡を受けたか,複製等の許諾を得ていると主張するところ,

念のために,上記主張について検討しておくこととする。

著作権の譲渡

著作権の譲渡を認めるに足りる証拠はないというべきである。

被告らは,著作権の譲渡を受けたと解するべき事情として,本件デザ

イン画の画像データの納品を受けたことを挙げるが,これは,著作物の

複製等を許諾した場合の事情とも解することができ,これのみをもって,

著作権譲渡を認めることはできない。

イ 著作物の複製等の許諾

被告らは,07AWツールでは,ミヤビデザインに制作させ,販促ツー

ルのデータの交付を受け,これをエスアートに印刷させ,販促ツールの

デザイン画を複製している。しかし,これらの印刷に際し,別途,ミヤ



39
ビデザインに金銭を支払ったり,明示の許諾を受けたりしたことを示す

証拠はない。

そうすると,被告プラスアイとミヤビデザインとが締結した07AW

ツールの制作にかかる契約では,販促ツールの製造(複製)は当然の前

提となっていたことが窺える。

そして,08SSツールは,制作と製造を共に原告が担当したため,

もともと,許諾行為が予定されていないが(複製行為については,製造

契約に基づき,原告が行うことになる。 ,08AWツールでは,07A


Wツールと同様,制作と製造は別の者が担当するところ,販促ツールの

データについても,07AWツールと同様,被告らが,これを使用して,

複製等をすることは当然の前提となっていたと解するべきである。

そもそも,前記(2)のとおり,原告は,被告らの指示に従って本件デ

ザイン画を制作しなければならず,少なくとも被告らの意向に反して創

作性を発揮することは許されない関係にあったものである。そうすると,

原告と被告らとの間では,原告が,少なくとも被告らに対しては,本件

デザイン画について著作物性を主張したり,著作権を行使したりしない

合意があったものということもできる。

なお,前記1(5)のとおり,原告は,本件デザイン画のデータを被告

プラスアイに交付するに当たり,複製等の禁止を伝えている。

しかし,既に,08AWツールについて,上記のとおり,提供したデー

タを使用して複製等することが当然の前提となっている合意が成立して

いる以上,これに従って,本件デザイン画の画像データを交付した場合,

同データを使用して,本件デザイン画を複製等することを拒むことはで

きないというべきである。

原告としては,複製等を回避するために,上記画像データの交付をし

なければ,08AWツール契約(制作)について,履行遅滞による債務



40
不履行の責任を負うことになると考える。

(4) 著作者人格権の成否

上記(2)のとおりであるから,本件デザイン画について著作者人格権

発生することもないというべきである。

また,上記(3)で述べた事情からすると,仮に,本件デザイン画につい

て著作権及び著作者人格権が発生したとしても,被告らにおいて,本件デ

ザイン画の複製だけでなく,翻案も許諾されていたと解する以上,同一性

保持権を行使することは予定されていなかったということができる。

3 本訴請求2(民法641条の解除に伴う損害賠償請求)について

(1) 原告は,08AWツールの製造にかかる契約が締結され,これを被告プ

ラスアイが解除(民法641条)したと主張する。

しかし,08AWツールの制作については請負契約が成立しているが,

同ツールの製造については,原告と被告プラスアイの間に,請負契約が締

結されたとは認められず,したがって,その解除を認めることもできない。

(2) すなわち,前記1(2)のとおり,07AWツールでは,制作と製造は別

の業者が行っていた。08SSツールで,原告が制作だけでなく,製造(印

刷)を請け負うに至ったのは,前記1(3)イのとおり,07AWツールの

印刷管理を行っていたP1が関与できないという事情があったからで,制

作を請け負った業者が,製造についても請け負うとは限らないというべき

である。

しかも,前記1(3)のとおり,被告プラスアイとしては,08SSツー

ルの製造に際し,07AWツールの予算と同程度に抑えようとしたにもか

かわらず,08SSツールの製造費が,予算を大幅に超えた。このため,

被告プラスアイとしては,08AWツールの製造に当たっては,予算を超

えないように,他の業者に対しても相見積りを出させ,製造を担当させる

業者の選定を慎重に進めていた。その結果,前記1(4)のとおり,被告プ



41
ラスアイは,見積りの詳細を説明しようとしない原告に対し,このまま納

期の関係から他の業者へ発注することが困難になってから,高い製造費を

請求されては困ると考え,相見積りをさせていた昌和印刷に製造を発注す

ることとしたのであって,被告プラスアイが08AWツールの製造を原告

に対し発注したと認めるに足りる証拠はない。

(3) 原告の主張について

ア 08SSツール契約との対比

原告は,08SSツール契約については制作と製造が一体であったこ

とから,08SSツールの継続案件である08AWツール契約も,制作

と製造が一体となった契約であると主張する。

しかし,前記(2)で述べたとおり,07AWツールでは,制作と製造

は別の業者が請け負ったこと(前記1(2)) 08SSツールにおいても,


制作と製造を同一の業者が行うことが当然に予定されていたわけではな

く,同一の業者が行うこととなったのは,印刷管理を担当していたP1

が,08SSツールでは担当することができなかったことによる。

また,08AWツールでは,08SSツールで作成した契約書(甲1

1)のような契約書が作成された事実はなく,また,原告が08AWツー

ルの製造を請け負うことを明示的に示す合意を認める証拠もない。

イ 一部の履行着手

原告は,製造の一部を履行していたことから,08AWツールの製造

にかかる請負契約が成立していたと主張する。

しかし,製造の一部履行を認めるに足りる証拠はなく,また,仮に,

履行の一部に着手していたとしても,直ちに,08AWツールの製造に

かかる請負契約の締結を認めることはできない。そもそも,一部の履行

着手があったとする原告の主張は,本訴提起後2年以上も経過してから

提出された原告代表者の陳述書において突如述べられたものであって,



42
それ自体,相当に疑わしいものというべきである。

なお,前記1(4)ウのとおり,展示会用の販促ツールについては,平

成20年3月の時点で製造されているはずであるが,誰が製造したかは

不明である(甲12には上記製造にかかる費用の請求はされていない。 。


いずれにしても,上記展示会のための販促ツールの製造が,残りの製造

についての契約の成否を決定づけるものとはいえない。

ウ 制作費のディスカウントについて

原告は,08AWツールの制作費を08SSツールに比べディスカウ

ントしており,その理由は,08AWツール契約が制作だけでなく,製

造を含んでいたからであると主張する。

しかし,その単価を比較すると,ディスカウント率は原告の主張する

ほど大きくはないと考えられる(甲9の1・2,乙6)。たしかに,制作

費の総額は低くなっているが,その理由は,08AWツールでは,08

SSツールに比べ,アイテム数を減らしたことによるものであり,単価

自体に大きな違いはない(内容が同一でないため,正確な比較は困難で

あるが,上記見積書の単価を比較すると,デザインレイアウトの単価が

低くなっているほかは,それほど大きな違いは見られない。なお,アイ

テム数を減らしたのは,予算を抑えるためであったことが推測される。 。


しかも,08SSツールの継続案件であるからこそ,08AWツール

の制作については,08SSツールの際のノウハウを活かすことができ,

制作時間等を短縮できることから,単価を下げることは,むしろ,当然

のことと考えられていたことが窺え(だからこそ,被告プラスアイは,

これを期待して,原告に制作を請け負わせたと考えられる。 ,原告が,


単価を下げたことにより,特別な見返りを期待していたとはいえない。

仮に,原告が,何らかの見返りを期待していたとしても,それは期待

に過ぎず,08AWツールの製造にかかる契約締結の成立を根拠付ける



43
ものとはならない。

4 本訴請求3(契約締結上の過失に基づく損害賠償請求)について

(1) 原告は,08AWツール契約は,製造も一体となった契約であると考え,

08AWツールの制作費を前年比80%減のディスカウントをしたもので

あり,被告プラスアイは,そのことを知悉していたのであるから,被告プ

ラスアイとしては,08AWツール契約が制作にかかるものであって,製

造を含まないことを説明し,ディスカウントが製造契約の締結に影響がな

いことを説明すべきであったと主張する。

たしかに,原告は,08AWツールについて,製造についても請け負う

ことができると期待していたと認めることはできるが,前記1(4)オのと

おり,被告プラスアイが08AWツールについて,原告に製造を発注しな

かった理由は,原告が製造費の見積りの詳細を明らかにしなかったことに

よるものであり,契約締結上の過失が被告プラスアイにあったと認めるこ

とはできない。

(2) たしかに,前記1(4)エのとおり,原告が,08AWツールの製造につ

いても,これを請け負うことを期待していただけでなく,被告プラスアイ

も,これを予定していたことが認められる。

それにもかかわらず,被告プラスアイが,08AWツールの製造を原告

でなく,他の業者に請け負わせることとしたのは,前記3(2)のとおり,

被告プラスアイとしては,08SSツールの製造費が予算を大幅に超えた

ため,08AWツールの製造に当たっては,予算を超えないようにする必

要があったところ,原告が見積りの詳細を明らかにしなかったことによる

ものである。被告プラスアイにとって,契約締結を見送らざるを得なかっ

た事情があったというべきである。

また,上述したとおり,原告や被告プラスアイが,08AWツールの製

造を原告が請け負うことについて期待や予定をしていたとしても,被告プ



44
ラスアイに,原告の上記期待を保護しなければならない義務が生じるとは

いえない。

(3) 不要なディスカウントの有無について

原告は,被告プラスアイが,08AWツール契約が製造を含まないこと

を説明しなかったことにより,不要なディスカウントをしたと主張する。

しかし,前記3(3)ウのとおり,ディスカウント率は大きくなく,しか

も,継続案件であるため,前回の単価を下回ることは当然のことと考えら

れていた(だから,被告プラスアイは,原告に再び発注することとした。 。


また,原告が08AWツールの制作費をディスカウントすることによっ

て,08AWツールの製造についての発注を期待していたからといって,

被告プラスアイが,その期待に必ず応えなければならないわけでもない。

したがって,08AWツールの制作費の見積りの内容をもって,契約締

結上の過失の成否に影響を及ぼす事情とみることはできない。

5 反訴請求1(08SSツールにおける原告の債務不履行に基づく損害賠償

請求)について

(1) 被告プラスアイは,原告が,利益率についての報告義務を怠り,また,

二次下請の禁止義務に違反して,二次下請を用いたことにより,損害を被っ

たと主張する。

たしかに,前記1(3)のとおり,当初,原告は,08SSツールの製造

費のうち13%の利益を取得することが予定され,その後,コストダウン

の要請があり,原告から約8%の利益を取得することになる見込みが示さ

れたが,実際には,29.7%の利益を取得していたことが認められる。

(2) 報告義務違反の有無について

被告プラスアイは,原告が,08SSツール契約上の債務として,被告

プラスアイに対する報告義務を負う根拠として,印刷管理費の約定があっ

たと主張する。



45
たしかに,前記1(3)エのとおり,08SSツール契約において,製造

費のうち13%を原告の利益とすることが予定されていたことが認められ

るが,13%とする旨の合意が成立したわけではない(その後,コストダ

ウン交渉が頻繁に行われている。 。


しかも,その後,前記1(3)クのとおり,原告と被告プラスアイは,平

成19年12月30日,契約書(甲11)を作成し,制作費及び製造費を

確定させた(金額が後日記載されたとしても,前述したとおり,遅くとも

平成20年1月13日ころまでには記載されたと認められる。 。


そして,前記1(3)サ及び証拠(甲20の1・2)によると,最終的に

原告の利益率が確定したのは,上記契約書作成の後,下請業者からの請求

額が確定したと考えられる同年2月ころであったと認められる。

以上によると,原告に,被告プラスアイに対して,利益率を報告する義

務を認めることは困難である。そもそも,代金額について合意をした後に

経費を削減した結果,当初よりも高い利益率を得られたからといって,そ

のことを契約の相手方に報告する義務があるとまでは言い難い。

(3) 二次下請の禁止

被告プラスアイは,08SSツール契約において,二次下請の禁止が合

意されていた旨主張する。

たしかに,前記1(3)オのとおり,原告は,08SSツールの印刷業者

をエスアートからイワモトに変更するに際し,イワモト以外にできない加

工方法をさせるためであると説明した。

しかし,イワモトが請け負った印刷業務を,さらに他の業者に下請に出

すこと自体を禁止するものとまでいうことはできないと考える(イワモト

の実際に行った管理業務がどのようなものであったかは不明であるが,管

理業務の内容によっては,上記説明と矛盾するものとはいえない。 。


(4) 価格調整を遅らせたか否か



46
被告プラスアイは,原告がわざと価格調整を遅らせて,高い金額で受注

させたと主張する。

しかし,前記1(3)カ,キのとおり,原告は,08SSツールの製造費

の見積りを放置していたわけではなく,被告プラスアイとコストダウンの

協議を行っており,これに伴って,イワモトらとの価格交渉も行っていた

ことが推認される。

その後,平成19年12月30日に契約書を作成し,本件08SSツー

ル契約の代金を確定させたものであるところ,故意に価格調整を遅らせた

ということはできない(前記1(3)クのとおり,原告としては,むしろ,

度重なるコストダウンの要請に対し,不信感を募らせていた結果,契約書

の作成や連帯保証の覚書の差し入れを要請するに至ったと考えられる。 。


(5) 梱包発送費,追加製造費

被告プラスアイは,原告が,梱包発送費や追加製造費を実費として請求

しながら,下請に負担させて,自らこれを利益として取得していると主張

する。

たしかに,これが望ましい行為ということはできないものの,上記(2)

で検討した経緯からすると,上記行為が被告プラスアイに対する関係で債

務不履行に当たるとまでいうことは困難である。

(6) まとめ

以上のとおり,被告プラスアイが主張する事由をもって,08SSツー

ル契約上の債務不履行を認めることはできない。

6 反訴請求2(08SSツールにおける原告の不法行為に基づく損害賠償

求)について

被告プラスアイは,原告が,08SSツールについて,虚偽の製造費を報

告したことなどにより,被告プラスアイに損害を与えたと主張する。

しかし,前記5のとおり,原告に,08SSツールの製造費についての報



47
告義務を認めることはできず,また,二次下請禁止の特約や,梱包発送費等

の名目で費用を騙取したと認めることもできない。

第5 結 論

以上のとおり,原告の本訴請求1ないし3,被告プラスアイの反訴請求1,

2は理由がないから,いずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第26民事部



裁 判 長 裁 判 官 山 田 陽 三




裁 判 官 達 野 ゆ き




裁 判 官 西 田 昌 吾




48
(別紙)

デザイン画目録
フクスケ 2008AW 販促物 ラフ制作リスト

1.エステサポート
1. エステサポート

整理
NO. 商品名 デザイン画の内容 形状
番号

エステサポート トップボー 後記画像写し右上 2 列幅アイキャッ
001 80D
ド 番号001のとおり チャー

エステサポート トップボー 後記画像写し右上 2 列幅アイキャッ
002 40D
ド 番号002のとおり チャー

エステサポート トップボー 後記画像写し右上 3 列幅アイキャッ
003 80D
ド 番号003のとおり チャー

エステサポート トップボー 後記画像写し右上 3 列幅アイキャッ
004 40D
ド 番号004のとおり チャー

2.スタイリング満足
2.スタイリング満足
スタイリング

スタイリング満足レギンス 後記画像写し右上 1 列幅アイキャッ
005 C-17 60D
トップボード 番号005のとおり チャー

スタイリング満足レギンス 後記画像写し右上 1 列幅アイキャッ
006 C-18 80D
トップボード 番号006のとおり チャー

スタイリング満足ハイソック 後記画像写し右上 1 列幅アイキャッ
007 C-19 60D
ス トップボード 番号007のとおり チャー

スタイリング満足ハイソック 後記画像写し右上 1 列幅アイキャッ
008 C-20 80D
ス トップボード 番号008のとおり チャー

スタイリング満足タイツ 後記画像写し右上 2 列幅アイキャッ
009 D-9 25D
トップボード 番号009のとおり チャー




49
スタイリング満足タイツ 後記画像写し右上 2 列幅アイキャッ
010 D-10 40D
トップボード 番号010のとおり チャー

スタイリング満足タイツ 後記画像写し右上 2 列幅アイキャッ
011 D-11 60D
トップボード 番号011のとおり チャー

スタイリング満足タイツ 後記画像写し右上 2 列幅アイキャッ
012 D-12 80D
トップボード 番号012のとおり チャー

スタイリング満足タイツ 後記画像写し右上 2 列幅アイキャッ
013 D-13 110D
トップボード 番号013のとおり チャー

スタイリング満足タイツ 後記画像写し右上 3 列幅アイキャッ
014 E-8 80D
トップボード 番号014のとおり チャー

3.Fing コレクション

コレクション 3 尺用(W880mm)トップ 後記画像写し右上
015 fing-13
ボード/ひな壇・フック式共通 番号015のとおり

コレクション スタイル BOOK (単品 フッ 後記画像写し右上
016 fing-15
クリング付) 番号016のとおり

4.Fing モテスト

後記画像写し右上
017 fing-1 モテスト ポスター A1 サイズ
番号017のとおり

モテスト ひな壇用ライナー 後記画像写し右上
018 fing-3
(W880mm)用 番号018のとおり

モテスト 3 尺用(W880mm)トップボー 後記画像写し右上
019 fing-5
ド/ひな壇・フック式共通 番号019のとおり

モテスト 4 段用フック式対応タイプ 後記画像写し右上
020 fing-7
(什器内 POP) 番号020のとおり




50
モテスト 2 段用フック式対応タイプ 後記画像写し右上
021 fing-9
(什器内 POP) 番号021のとおり

5.Fing モテストレギンス( モテレギ)
モテストレギンス(モテレギ)

後記画像写し右上
022 fing-4 モテレギ ポスター A1 サイズ
番号022のとおり

モテレギ 3 尺用(W880mm)トップ 後記画像写し右上
023 fing-16
ボード/ひな壇・フック式共通 番号023のとおり

モテレギ 4 段用フック式対応タイプ 後記画像写し右上
024 fing-20
(什器内 POP) 番号024のとおり




<後記画像写しについては省略>




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(別紙)

ホームページ目録


被告プラスアイシーオー株式会社



ドメイン名 <省略>

のドメイン名及びそのサブドメイン名に表示されるホームページ




被告福助株式会社



ドメイン名 <省略>

のドメイン名及びそのサブドメイン名に表示されるホームページ




52
(別紙)

謝罪広告目録


当社らは、貴社の著作物である「福助08AW デザイン」につき、貴社に無断

で複製、翻案し、あたかも当社らの著作物かのように説明を行って頒布し、貴社

の著作権、著作者人格権を侵害し、貴社に多大な御迷惑をお掛けしたことを、こ

こに謝罪し、あわせて今後再びこのような行為を行わないことを誓います。



平成 年 月 日



大阪市<以下略>

プラスアイシーオー株式会社

代表取締役 P5

東京都渋谷区<以下略>

福助株式会社

代表取締役 P6



株式会社ヴァズインク 殿




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