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事件 平成 30年 (ワ) 19731号 発信者情報開示請求事件
5
原告A
同 訴訟代理人弁護士大熊裕司
被告ソフ トバンク株式 会社 10
同 訴訟代理人弁護士五十嵐敦
同 稲葉大輔
同 近藤翔太
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2019/02/28
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
主文 15 1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
請求
主文同旨20 第2 事案の概要 本件は,原告が,自身の両脚を撮影した2枚の写真について著作権及び著作者 人格権を有するところ,氏名不詳者により,インターネット上の電子掲示板に, 当該2枚の写真を複製した画像のアップロード先であるURLが無断で投稿され たことにより,原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び著作者人格権(同一25 性保持権)が侵害されたことが明らかであると主張して,特定電気通信役務提供 者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ 1 責任制限法」という。)4条1項の開示関係役務提供者である被告に対し,同項 に基づき,その保有する発信者情報の開示を求める事案である。
1 前提事実(証拠(枝番を付さないものは全ての枝番を含む。以下同じ。)を 掲げない事実は当事者間に争いがない。) 5 (1) 当事者 原告は,「B」という芸名で活動する女性である。(甲1,2,3の1, 10) 被告は,インターネット接続サービスの提供を含む電気通信事業を営む株 式会社であり,プロバイダ責任制限法4条1項の開示関係役務提供者に当た10 る。(弁論の全趣旨) (2) 原告による写真の撮影 原告は,平成30年3月頃,別紙写真目録1及び2のとおり,自身の両脚 をスマートフォンにより写真撮影した(以下,同目録1の写真を「本件写真 1」と,同目録2の写真を「本件写真2」といい,併せて「本件写真」とい15 うことがある。)。(甲8ないし10) (3) 本件画像の投稿 ア 別紙投稿画像目録記載の画像(以下「本件画像」という。)は,平成3 0年3月22日午後11時53分41秒に,「up@vpic(省略)」宛てに メール送信され,URL(URLは省略)(以下「本件画像URL」とい20 う。 上にアップロードされた ) (以下「本件画像アップロード」という。 。
) (甲3の1,5,11ないし13) イ 本件画像URLは,同日午後11時54分46秒に,被告の提供するイ ンターネット接続サービスを利用して,「V系初代たぬきの掲示板」のス レッドタイトル「(省略)」(閲 覧 用 U R L :( U R L は 省 略 ))(以25 下「本件掲示板」という。)に投稿された(以下「本件投稿」という。)。
(甲3,5,6) 2 2 争点 本件投稿による原告の権利侵害の明白性 (1) 本件写真の著作物性の有無(争点1) (2) 公衆送信権複製権侵害の成否(争点2) 5 (3) 同一性保持権侵害の成否(争点3) 3 争点に関する当事者の主張 (1) 争点1(本件写真の著作物性の有無) (原告の主張) 本件写真1は,自宅内で白いマット上に素足で座っている原告の太ももか10 ら爪先までの部分が写っており,内股にして足を曲げた状態で足の爪には赤 いマニキュアが塗られていて,右太ももの内側に左の手のひらを添えたカラ ー写真である。
本件写真2は,自宅内の床上に素足で座っている原告の太ももから爪先ま での部分(及びショートパンツの一部)が写っており,足先には白いスリッ15 パを履いており,右太ももの内側に左の手のひらを添えたカラー写真である。
原告は,ダイエットで自分の足が細くなったことを記録するために本件写 真2を撮影したが,その後,転んで足にあざができたのでそれを記録するた めに同じようなポーズで本件写真1を撮影した。
このように,原告は,本件写真1及び2の撮影に当たり,被写体の選択や20 配置,シャッターチャンスの捕捉,アングル,構図等に工夫を加えて撮影し ており,撮影者の思想・感情が創作的に表現されているから,本件写真1及 び2は写真の著作物として著作物性が認められる。
(被告の主張) 著作物とは,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学25 術,美術又は音楽の範囲に属するもの」をいうが(著作権法2条1項1号), 写真が著作物と認められるためには,被写体の選択,構図,カメラアングル 3 の設定,シャッターチャンスの捕捉,絞り,明るさ等において撮影者の個性 が現れていること,すなわち創作性が認められることが必要である。しかし ながら,本件写真は,人物の脚のみを被写体とし,その構図も脚を中心に据 えるという極めてありふれたものである。また,カメラアングルについても, 5 撮影者が自らの脚全体を撮影する際に一般的に用いられる,座って撮影する というありふれた方法で撮影されたにすぎない。その他,本件写真には撮影 者の個性が現れていると認められる部分は全く存在しない。
したがって,本件写真には著作物の要件である創作性は認められず,そも そも本件写真は著作物であることが明らかであるとはいえない。
10 (2) 争点2(公衆送信権複製権侵害の成否) (原告の主張) ア 本質的特徴を感得できること 本件投稿をした者は,平成30年3月22日,本件写真を複製し,公衆 送信した。
15 本件画像は,本件写真1及び2を結合した写真であるところ,本件画像 の左側の写真は,白いマット上に素足で座っている女性の太ももから爪先 までの部分が写っており,内股にして足を曲げた状態で足の爪には赤いマ ニキュアが塗られていることが覚知できる。また,本件画像の右側の写真 は,床上に素足で座っている女性の太ももから爪先までの部分(及びショ20 ートパンツの一部)が写っており,足先には白いスリッパを履いているこ とが覚知できる。
なお,本件画像は,スマートフォンで閲覧可能であり,「ピンチアウト」 (二本の指の間を広げるように動かすことで,画面表示を拡大すること) によって,本件画像を拡大して閲覧することが可能であり,そのような閲25 覧方法によると,印刷した画像(甲3の2)に比べて,より一層,本件写 4 真1及び2の表現の本質的特徴が本件画像に反映されていることを覚知で きる。
以上のことから,本件画像には,本件写真1及び2の表現の本質的特徴 が利用されているといえる。
5 イ 本件画像アップロードと本件投稿の関係 (ア) 「たぬピク」とは,V系初代たぬきの掲示板,V系こたぬき掲示板等 のV系専用のアップローダーであり,本件掲示板等に画像を投稿するに あたっては「たぬピク」を使用する必要がある(甲12,13)。本件 掲示板に画像を投稿する場合は,「up@vpic(省略)」宛てに画像を添10 付したメールを送信すると,公開用URLが送信したメールアドレス宛 てに送信される(甲11)。そして,当該公開用URLを投稿すること で,本件掲示板へ画像を投稿することができる。原告は,本件写真を「た ぬピク」に送信することを一切許諾していないのであるから,上記の行 為は,原告の公衆送信権を侵害する。
15 そして,「たぬピク」に本件画像がメール送信された1分05秒後に 本件投稿がされているところ,本件画像URLは,「たぬピク」に本件 画像を送信したメールアドレス宛てに送信されるのであるから,上記1 分05秒の間に,本件画像アップロードをした者以外の者が本件画像U RLを入手して,本件投稿をすることは通常考えられず,本件画像アッ20 プロードをした者と本件投稿をした者は同一人物であることは明らかで ある。
(イ) たぬき掲示板では,「たぬピク」のURLが投稿された場合,URL を掲載するのではなく,当該画像自体が掲載される仕組みになっており (甲11),本件投稿をスマートフォンで表示すると,甲3の2のよう25 に,本件画像がそのまま表示される。すなわち,本件掲示板では,リン ク先のURLが記載され,当該URLをクリックするとリンク先のウェ 5 ブサイト(画像)が表示されるハイパー・リンクではなく,インライン リンクが設定されている。したがって,このような「たぬピク」のシス テムからも,本件投稿は本件画像のデータを投稿したものであり,本件 投稿がURLを記載したにすぎないとか,リンクを設定したにすぎない 5 ので著作権侵害が成立しないとの反論は成り立たず,本件投稿により, 複製権侵害,公衆送信権侵害が成立する。
なお,「たぬピク」はパソコン非対応なので,甲3の1で表示されて いる本件投稿にはURLのみが記載されているようにみえるにすぎない が,本件投稿に投稿されたURLをクリックしても,パソコンでは「た10 ぬピク」の画像は閲覧できない。このことからも,本件投稿がリンクを 設定したものとはいえない。
(ウ) 仮に,本件アップロードをした者と本件投稿をした者が同一人物でな かったとしても,本件画像URLを受信してから約1分後に本件記事が 投稿されていることから,両者が全く無関係の者同士ということは考え15 られず,本件投稿をした者は,少なくとも「たぬピク」に本件画像を送 信した者と共同して(意思を通じて),原告の公衆送信権を侵害したこ とは明らかである。
したがって,仮に,本件投稿をした者に公衆送信権侵害が成立しない としても,公衆送信権侵害の幇助が成立する。
20 (被告の主張) ア 本質的特徴を感得できないこと 本件画像は,本件写真を他の写真と合わせて一つの小さい画像として掲 載しているにすぎず,本件写真を利用していると思われる部分の大きさは かなり小さく,画像も不鮮明となっている(甲3の2,訴状別紙対比表)。
25 したがって,本件画像における本件写真と思われる写真が表示されている 部分からは,本件写真の全体の構成がかろうじて認識できるにすぎず,一 6 般的には創作性の根拠となり得る本件写真の表現形式が全く再現されてい ないため,一般人が通常の注意力をもって見た場合に,本件画像が,本件 写真の本質的特徴を感得できるものであるとは到底いえない。
イ 本件画像アップロードと本件投稿の関係 5 (ア) まず,原告も認めるとおり(甲10),本件掲示板に画像を投稿する には,「たぬピク」というシステムを使って画像をアップロードする仕 組みとなっているところ,本件投稿においてはURLのみが記載され(甲 3の1) 本件投稿に記載されたURL先のファイルのアップロードは, , 本件投稿に使用されたIPアドレスとは異なるIPアドレスを使用して10 なされたと考えられる(甲5)。そして,本件投稿は,アップロードさ れた本件画像ファイルのURLを転記したにすぎず,当該画像ファイル そのものを投稿したものではないから,そもそも本件投稿によって著作 権侵害は成立し得ない。
すなわち,本件投稿をした者は,本件掲示板に本件画像URLを記載15 したまでであり,文字データにすぎないURLが流通するのみで権利侵 害が生じるとはいえない。本件投稿をした者は,単に同人が確認したU RL先の画像ファイルの存在とその所在を示すためにそのURLの記載 をしたにすぎず,URLを投稿することによってURL先の画像ファイ ルの内容を公開しているわけではないと考えるのが経験則に合致する。
20 また,URL先を訪れるか否かの選択は,個々のインターネットユーザ ーにより異なるのであり,URLをクリックすることによってコンピュ ータウイルス等に感染するおそれがあることも考慮すれば,個々のユー ザーが安易にこれをクリックするとは考えられない。これらを踏まえる と,本件投稿をした者は本件投稿において単にリンクを設定しただけに25 すぎず,ユーザーが当該リンク部分をクリックすることでURL先サイ トを開くことができるからといって,当該リンク先の表現内容を本件投 7 稿の表現内容と認定することはできない。よって,本件投稿は原告の権 利を侵害していない。
なお,本件画像アップロード(甲5の4の投稿)においては,「up@v pic(省略)」に対して,本件画像を添付したメールが送信されたにすぎ 5 ず,事実上,いまだ本件画像のデータの所在(URL)は公衆に対して 明らかにされていない。そのため,本件画像アップロード,すなわち, 「up@vpic(省略)」に宛てて本件画像を添付したメールを送信しただけ では,自動的に,公衆によって直接受信されることを目的とした送信を 行える状況にあるとはいえず,公衆送信権侵害に該当しない。
10 (イ) 本件画像アップロードと本件投稿では,異なるIPアドレスが使用さ れていることは明らかであるところ,原告の主張は,同一人物が本件画 像アップロードと本件投稿を行ったと考えられると主張するものである が,そもそも異なるIPアドレスが利用されており,本件画像アップロ ードと本件投稿の時間差が約1分存在する以上,同一人物によってなさ15 れたと考えるのが合理的であるとはいえない。また,万が一,同一人物 であることが推認されたとしても,本件投稿により原告に対する権利侵 害が発生しているといえるかという点との関連性は明らかでない。
(ウ) 本件画像アップロードは公衆送信権侵害には当たらないから,本件投 稿が公衆送信権侵害の幇助に該当するとはいえない。仮に,本件画像ア20 ップロードが公衆送信権侵害であると考える場合であっても,本件投稿 が本件画像アップロードによる送信可能化,自動公衆送信行為自体を容 易にしたとはいい難い。特に,リンクは,コンテンツをシェアし拡散す るためのインターネットにおける必要不可欠な技術であり,その社会的 影響の大きさに鑑みれば,安易に拡大的な解釈がされるべきではない。
25 よって,本件投稿が公衆送信権侵害の幇助であることは明らかではない。
(3) 争点3(同一性保持権侵害の成否) 8 (原告の主張) 本件画像は,本来別々の著作物である本件写真1及び2を合成して一つの 写真にしたものであり,その結果,本件写真1及び2にある原告の右太もも の内側に左の手のひらを添えた部分が切れて表示されていない。よって,本 5 件投稿は,原告の同一性保持権を侵害(幇助を含む。)する。
(被告の主張) 争う。
争点に対する判断
事案に鑑み,本件投稿による本件写真2に係る公衆送信権侵害の成否について10 判断する。
1 争点1(本件写真2の著作物性の有無) 写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャ ッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影 の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一15 つの表現であり,そこに撮影者等の個性が何らかの形で表れていれば創作性が 認められ,著作物に当たるというべきである。
これを本件についてみると,本件写真2は,別紙写真目録2記載のとおりで あるところ,フローリング上にスリッパを履いて真っすぐに伸ばした状態の両 脚とテーブルの一部を主たる被写体とし,大腿部の上方から足先に向けたアン20 グルで,右斜め前方からの光を取り入れることで陰影を作り出すとともに脚の 一部を白っぽく見せ,また,当該光線の白色と,テーブル,スリッパ及びショ ートパンツの白色とが組み合わさることで,脚全体が白っぽくきれいに映るよ うに撮影されたカラー写真であり,被写体の選択・組合せ,被写体と光線との 関係,陰影の付け方,色彩の配合等の総合的な表現において,撮影者の個性が25 表れているものといえる。
9 したがって,本件写真2は,創作的表現として,写真の著作物であると認め られる。これに反する被告の主張は採用できない。
2 争点2(公衆送信権侵害の成否) (1) 本質的特徴を感得できるかについて 5 著作物の公衆送信権侵害が成立するためには,これに接する者が既存の著 作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができることを要する。
これを本件についてみると,証拠(甲3の2,9)及び弁論の全趣旨によ れば,本件画像には,本件写真2の下側の一部がほんの僅かに切り落とされ ているほかは,本件写真2がそのまま用いられていることが認められる。そ10 して,本件画像は,解像度が低く,本件写真と比較して全体的にぼやけたも のとなっているものの,依然として,上記1で説示した,本件写真2の被写 体の選択・組合せ,被写体と光線との関係,陰影の付け方,色彩の配合等の 総合的な表現の同一性が維持されていると認められる。
したがって,本件画像は,これに接する者が,本件写真2の表現上の本質15 的な特徴を直接感得することができるものであると認められる。これに反す る被告の主張は採用できない。
(2) 本件画像アップロードと本件投稿の関係について ア 前記前提事実(3),証拠(甲3,5,6,11ないし13)及び弁論の 全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
20 (ア) 「たぬピク」は,「up@vpic(省略)」宛てに画像を添付したメール を送信すると,当該画像がインターネット上にアップロードされたUR Lが,送信元のメールアドレス宛てに返信され,当該URLを第三者に 送るなどして,当該画像を第三者と共有することができるサービスであ る。
25 (イ) 本件掲示板を含むたぬき掲示板(2ch2(省略))をスマートフォンで 表示する場合には,「たぬピク」により取得した,画像のURLが投稿 10 されると,当該URLが表示されるのではなく,当該URLにアップロ ードされている画像自体が表示される仕組みとなっている。これにより, 当該URLをクリックしなくても,たぬき掲示板上において,他の利用 者と画像を共有することが可能となっている。
5 (ウ) 本件画像は,平成30年3月22日午後11時53分41秒に,「up @vpic(省略)」宛てにメール送信され,本件画像URL上にアップロ ードされた(本件画像アップロード)。
(エ) 本件画像URLは,同日午後11時54分46秒に,被告の提供する インターネット接続サービスを利用して,本件掲示板に投稿された(本10 件投稿)。
イ 以上の事実関係を前提に,本件投稿によって公衆送信権の侵害が成立す るか検討する。
まず,本件画像は,前記ア(ウ)のとおり,本件投稿に先立って,インター ネット上にアップロードされているが,この段階では,本件画像URLは15 「up@vpic(省略)」にメールを送信した者しか知らない状態にあり,いま だ公衆によって受信され得るものとはなっていないため,本件画像を「up @vpic(省略)」宛てにメール送信してアップロードする行為(本件画像ア ップロード)のみでは,公衆送信権の侵害にはならないというべきである。
もっとも,本件においては,前記ア(ウ)及び(エ)のとおり,メール送信に20 よる本件画像のアップロード行為(本件画像アップロード)と,本件画像 URLを本件掲示板に投稿する行為(本件投稿)が1分05秒のうちに行 われているところ,本件画像URLは本件画像をメール送信によりアップ ロードした者にしか返信されないという仕組み(前記ア(ア))を前提とすれ ば,1分05秒というごく短時間のうちに無関係の第三者が当該URLを25 入手してこれを本件掲示板に書き込むといったことは想定し難いから,本 件画像アップロードを行った者と本件投稿を行った者は同一人物であると 11 認めるのが相当である。そして,前記ア(イ)のとおり,本件画像URLが本 件掲示板に投稿されることにより,本件掲示板をスマートフォンで閲覧し た者は,本件画像URL上にアップロードされている本件画像を本件掲示 板上で見ることができるようになる。そうすると,本件投稿自体は,UR 5 Lを書き込む行為にすぎないとしても,本件投稿をした者は,本件画像を アップロードし,そのURLを本件掲示板に書き込むことで,本件画像の データが公衆によって受信され得る状態にしたものであるから,これを全 体としてみれば,本件投稿により,原告の本件写真2に係る公衆送信権が 侵害されたものということができる。以上の認定に反する被告の主張は採10 用できない。
3 小括 以上からすれば,本件投稿により,原告の本件写真2に係る著作権(公衆送 信権)が侵害されたことが明らかであると認められる。また,原告がかかる著 作権侵害の不法行為による損害賠償請求権を行使するためには,被告が保有す15 る別紙発信者情報目録記載の情報が必要であると認められる。
結論
よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由があるか らこれを認容することとして,主文のとおり判決する。
追加
25裁判官奥俊彦12 裁判官櫻慎平513 (別紙)発信者情報目録別紙投稿記事目録記載のアイ・ピー・アドレスを,同目録記載の投稿日時に被告5から割り当てられていた契約者に関する以下の情報@氏名または名称A住所以上14 (別紙)投稿記事目録スレッドタイトル:(省略)5投稿記事番号:690閲覧用URL:(URLは省略)投稿日時:2018/03/2223:54:46アイ・ピー・アドレス:126.7.186.1031015 (別紙)写真目録116 (別紙)写真目録217 (別紙)投稿画像目録18
裁判長裁判官 沖中康人