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事件 |
平成
28年
(ワ)
31972号
発信者情報開示請求事件
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原告株式会社カラー 同代表者代表取締役 同訴訟代理人弁護士 村瀬拓男 被告 エヌ・ティ・ティ・コミュ ニケーションズ株式会社 同代表者代表取締役 同訴訟代理人弁護士 五島丈裕 |
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裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2016/12/20 |
権利種別 | 著作権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
主文同旨 |
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事案の概要
本件は,原告が被告に対し,氏名不詳者が被告の提供するインターネット接 続サービスを経由してインターネット上の動画共有サイトに動画を掲載したこ とにより原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたと主張して,特 定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法 律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有 1 する発信者情報の開示を求めた事案である。 1 前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全 趣旨により容易に認められる事実) 当事者 ア 原告は,映像作品の企画・製作を行う株式会社である(甲1)。 イ 被告は,電気通信事業を営む株式会社である。 氏名不詳者による動画の投稿 氏名不詳者(以下「本件氏名不詳者」という。)は,平成28年(以下省 略),被告からインターネットプロトコルアドレス「(省略)」の割当てを 受けてインターネットに接続し,インターネット上の動画共有サイト「Yo uTube」に別紙投稿動画目録記載の動画(以下「本件動画」という。) を投稿し,本件動画を不特定多数の者が閲覧することができる状態に置いた。 (甲8,9,11,16) 被告の「開示関係役務提供者」該当性 被告は,本件氏名不詳者に対してインターネット接続サービスを提供して いたから,本件動画の投稿に関し,プロバイダ責任制限法4条1項の「開示 関係役務提供者」に当たる。 被告による情報の保有 被告は,本件氏名不詳者の氏名又は名称,住所及び電子メールアドレスの 各情報(以下「本件発信者情報」という。)を保有している。 2 争点及びこれに関する当事者の主張 争点1(権利侵害の明白性)について (原告の主張) 原告は,アニメーション映画である「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の DVD内に収録されている著作物である次回予定作品の予告映像(以下「本 件予告映像」という。)の著作権者である。 2 本件動画は本件予告映像を複製したものであるから,本件動画の投稿によ り本件予告映像に係る原告の複製権及び公衆送信権が侵害されたことは明ら かである。 (被告の主張) 本件予告映像が著作物であることは争わないが,その余は不知又は争う。 争点2(本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について (原告の主張) 原告は,本件氏名不詳者に対し,著作権侵害に基づく損害賠償等の請求を する予定であり,そのためには被告が保有する本件発信者情報の開示を受け る必要があるから,本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。 (被告の主張) 争う。 |
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当裁判所の判断
1 争点1(権利侵害の明白性)について 証拠(甲2〜5,11,18,19)及び弁論の全趣旨によれば,原告が本 件予告映像の著作権者であること,本件動画は本件予告映像を複製したもので あることが認められるから,本件氏名不詳者による本件動画の投稿は本件予告 映像に係る原告の複製権及び公衆送信権の侵害に当たると判断すべきものであ る。そして,本件の関係各証拠上,本件予告映像に係る複製権及び公衆送信権 を制限する事由が存在することはうかがわれない。したがって,本件動画の投 稿により本件予告映像に係る原告の複製権及び公衆送信権が侵害されたことは 明らかである。 2 争点2(本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について 原告は,本件氏名不詳者に対して本件予告映像の複製権及び公衆送信権侵害 を理由とする損害賠償請求権等を行使することができるところ,原告が本件氏 名不詳者の氏名や住所等を覚知することは困難であると考えられるから,原告 3 には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると認められる。 3 以上によれば,原告の請求は理由があるから,これを認容することとして, 主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 長谷川浩二 |
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裁判官 | 萩原孝基 |
裁判官 | 林雅子 |