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事件 昭和 44年 (ワ) 9353号
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裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1972/10/11
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告らは、各自、原告日本民主青年同盟に対し、金四六万一、二〇五円、原告【A】、同【B】に対しそれぞれ金一七万円、原告【C】に対し金八万円、原告【D】に対し金七万円、原告【E】、同【F】に対しそれぞれ金四万円およびこれらに対する昭和四二年一二月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払をせよ。
2 被告らは、原告日本民主青年同盟に対し、同原告発行の「民主青年新聞」「青年運動」に別紙四記載の内容の謝罪広告を同別紙記載の条件で各一回掲載し、原告【A】、同【B】に対し、前記「青年運動」に別紙二記載内容の謝罪広告を同別紙記載の条件で一回、原告【C】に対し、前記「民主青年新聞」に別紙三記載内容の謝罪広告を同別紙記載の条件で一回掲載せよ。
3 原告らのその余の請求は、いずれも棄却する。
4 訴訟費用は、被告らの連帯負担とする。
5 この判決は、第一項に限り仮りに執行することができる。
事実及び理由
当事者双方の申立
一 原告ら1 被告らは、各自、原告日本民主青年同盟に対して、金一七六万五、〇〇〇円、
原告【A】、同【B】に対し、各金三七万円、原告【C】、同【D】に対し、各金二七万円、原告【E】に対し、金一七万円、原告【F】に対し、金二二万円およびこれらに対する昭和四二年一二月一日から支払ずみまで各年五分の割合による金員の支払をせよ。
2 被告らは、原告らに対し、原告日本民主青年同盟中央機関紙「民主青年新聞」および同機関雑誌「青年運動」に、別紙一記載の謝罪広告を同別紙掲記の条件で掲載せよ。
との判決および第一項につき仮執行の宣言を求める。
二 被告ら(一) 本案前の申立1 原告日本民主青年同盟の訴を却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。
(二) 本案につき1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
との判決を求める。
原告らの請求の原因
一 原告、被告らの地位(一) 原告日本民主青年同盟(以下「原告民青同盟」という。)は、独立、民主、平和、中立の日本をつくり、青年の生活と社会的地位の向上のために広範な青年の要求を実現しながらたたかう自主的、大衆的な青年組織であつて、中央機関紙として週間新聞「民主青年新聞」及び機関雑誌として月刊雑誌「青年運動」を発行している。
(二) 原告【A】こと【A】、同【B】、同【C】、同【D】、同【E】、同【F】は、いずれも原告民青同盟の同盟員である。
(三) 被告株式会社全貌社は、本店を肩書地におき、雑誌「全貌」及び単行本の出版販売および右に関連する一切の業務を行う株式会社であり、被告【G】は、右会社の代表取締役であると同時に、単行本「民青の告白」の発行者として個人としても同単行本の発行に責任を負つているものである。
二 著作物と原告らの権利 原告民青同盟は、別表(一)のA―1 A―2 A―6 A―7 A―9 B―4 C―1 C―3 C―4 C―5 D―5 D―6の各下段掲記の各著作物につき同各欄掲記の著作者らから、また、同表のA―3 A―4 A―5 A―8 A―10 B―1 B―2 B―3 C―2 C―6 D―1 D―2 D―3 D―4 D―7 の著作物については、いずれもそれらが、無名または変名著作物であり、原告民青同盟の幹部、同盟員、通信員、記者らの著作にかかるものであるところ、それらの者から、以上いずれも各原稿の交付を受けると同時に、各著作物に関する著作物の譲渡を受け、これらを、いずれも同表記載の各日付または各号の前記新聞、雑誌に掲載したものである。
三 被告らの著作権侵害(一) 著作財産権の侵害 被告らは、昭和四二年一二月一日、単行本「民青の告白」(副題「職場の中から三〇人の手記」)第一刷を少くとも一万七、五〇〇部発行した。この「民青の告白」は、第一から第六までの節に分けられているが、その第一から第四までの部分に、原告民青同盟に無断で、別表(一)下段掲記の二七篇の手記、論文を文章そのまままたは、一部削除もしくは訂正して収録、複製して、その各著作財産権を侵害した。
(二) 著作者人格権の侵害1 原告【A】の著作物(別表(一)A―6)は、「青年運動」一九六七年九月号(一二二頁から一二六頁まで)に掲載されているが、被告らは、原告【A】の全く知らない間に、別紙(二)―一記載のように、その題号を変更し、内容を部分的に削除して適当につなぎ合せて文章を改ざんし、それを本件偽作物「民青の告白」に収録した。
2 原告【B】の著作物(別表(一)のA―7)は、「青年運動」一九六七年九月号(一一六頁から一二一頁まで)に掲載されたものであるが、被告らは、これにつき原告【B】の全く知らない間に別紙(二)―二記載のように題号を変更し、文章を部分的に削除し、つなぎ合せて変更を加えた。
3 原告【C】の著作物(別表(一)のB―4)は、「民主青年新聞」一九六五年一一月一二日付第五三七号に掲載されたものであるが、被告らは、これにつき原告【C】の全く知らない間に別紙(二)―三記載のように題号を変更し、文章を部分的に削除しつなぎあわせて変更を加えた。
4 原告【D】の著作物(別表(一)のC―1)は、「民主青年新聞」一九六七年五月一七日付第六一六号に掲載されたものであるが、被告らは、これにつき原告【D】の全く知らない間に別表(二)―四記載のとおり題号を変更し、末尾約九〇字を削除した。
5 原告【E】の著作物(別表(一)のD―5)は、「民主青年新聞」一九六七年三月二二日付第六〇八号に掲載されたものであるが、被告らは、これにつき原告【E】の全く知らぬ間に別表(二)―五記載のとおり題号を変更し、分節の番号を削除し、「民青の告白」に掲載した。
6 原告【F】の著作物(別表(一)のD―6)は、「青年運動」一九六七年九月号(八九頁から九四頁まで)に掲載されたものであるが、被告らは、これにつき原告【F】の同意を得ることなく、別表(二)―六記載のとおり題号を変更し、内容を一部削除した。
7 以上のように、原告【A】、同【B】、同【C】、同【D】、同【E】、同【F】は、被告らによつて著作者人格権を侵害された。
四 被告らの名誉毀損(一) 原告【A】がその著作物(「青年運動」第一九六七年九月号一二二頁〜一二六頁)で意図したことは、第一に、原告【A】が三洋電機株式会社の従業員として経験した事実に基いて、会社の「合理化」政策とこれに対する民青同盟労働組合の職場の民主化、労働条件の改善の要求のたたかいを目のあたりにして、会社側の労務管理や労使関係のあり方に矛盾を感じ悩みながらも、自主的に労働者の立場に立つたものの見方、考え方を学習し、その活動を通じて生き生きとした青年に成長していく過程を描き出そうとすることであり、第二に、自覚的な民青同盟員として職場の中で積極的に活やくする中で、自ら会社側の卑劣な配置転換攻撃、首切り攻撃に直面しながらも、多くの労働者青年の支援の下に果敢にたたかい、法廷闘争にも勝利して、なお、民青同盟員としての誇りと確信をたかめ、明るく活動している姿を描こうとしたものである。
しかるに、被告らは、「民青の告白」(五二頁〜五五頁)の中で、右のような最も重要な部分を勝手に削除・抹殺して書きかえたうえ、未尾に「編者解説」なる欄を設けて、原告【A】の意図を全く歪め、会社側の労働者に対するあくどい攻撃の実体をおおいかくし、原告【A】が仲間を煽動していたずらに社内秩序を混乱に導くための「いやがらせ」ないしは「反抗」に明け暮れているかのように描き出している。しかも、原告民青同盟があたかも日本共産党の青年行動隊組織であつて、同盟員の人間性をも無視した陰謀団体であるかのような説明をしたうえ、原告【A】が、その中で全く主体性も将来への展望も持たないで、ただたんにあやつり人形のように民青同盟=日共の方針を強制されるままに、会社側の正当な配置転換命令に対し何ら理由もなく、職場秩序を乱すことのみを目的として反抗闘争を続けているかのような事実を摘示し、よつて、原告【A】の名誉を著しく毀損したものである。
(二)原告【B】がその著作物(「青年運動」一九六七年九月号一一六頁〜一二一頁)で意図したことは、第一に、松下電工という日本でも有数の独占企業の従業員として経験した事実に基いて、そこで行われている民主的労働者に対するあくどい反共攻撃の実体を徹底的に明らかにすることであり、第二には、原告【B】の職場内の文化サークル活動に加えられた不当な配置転換攻撃、首切り攻撃に対して、労働者の権利と民主主義を守るために家族や地域の民主団体の支援の下に、困難な状況の中にも将来への展望を持つて明るく果敢に戦い抜いていこうとする積極的で不屈の確信を示すことであつた。
しかるに、被告らは、「民青の告白」(五六頁〜六〇頁)の中で、右のような最も重要な部分を削除して書きかえ、「両親に懇願されて涙にくれる」という勝手な題号を付したうえ、末尾に「編者解説」なる欄を設けて、原告【B】の意図を故意にねじ曲げて松下電工の労働者に対する悪らつな反共攻撃の実体をひたすらにおおいかくし、原告【B】が、会社側の卑劣な攻撃に当初動揺し思い悩んだことのみを不当に強調して、あたかも会社側の攻撃の前に屈服し戦いを放棄したかのように描き出している。そのうえ、日本共産党ないし民青同盟が、正当な会社側の配置転換の措置に対し、何らの理由もなく反抗するような指示、強制をしたような文章を作りあげ、それに原告【B】が全く主体性を持たずに盲従しているかのように事実をねじ曲げて描き出し、同原告を、いつたん民青同盟に入つたばかりにそこから抜け出せずに苦しんでいる犠牲者であるかのように記載し、無根の事実を摘示している。さらに、原告【B】が、民青同盟員として、職場内に種々の文化サークルを作つて仲間とともに活発な文化活動を行つたことに対して、あたかも同原告が、日本共産党の革命家養成の指令を強制されるままに、無自覚的に、日本共産党青年行動隊なるものの一員としてその意図を秘して職場の中の青年男女をねらつて組織拡大の陰惨を裏工作をしていたかのように全く無根の印象を与える文章に改作したうえ、「編者解説」においてその旨を強く暗示している。
これによつて、原告【B】の名誉は著しく毀損されたのである。
(三) 原告【C】が、その著作物(「民主青年新聞」一九六五年一一月一二日付第五三七号に掲載)で意図したことは、劣悪な労働条件と家父長的封建的労使関係の圧倒的に支配する中小企業の労働者として、困難な諸条件の中に働くうちに、労働者は団結してたたかう組織を持たなければならないことを学び、労働者の要求をとり上げてたたかう中で、ついに組合結成を勝ちとるまでの経過と会社側より組合結成の準備活動をしたことを理由に解雇されながらも、民青同盟員として会社の圧迫にもめげず、家族をも説得し仲間達からも大きな期待と励ましを受けて、果敢に戦つている姿を生き生きと描き出そうとしたのである。
しかるに、被告らは、「民青の告白」(八八頁〜九二頁)のなかでこの事情を書いた最も重要な部分を勝手に削除して「ミシン組立工場を馘首されて」という題号を付したうえ、勝手につなぎ合わせ、末尾に「編者解説」なる欄を設けて、あたかも原告【C】が、外部の民青同盟や日本共産党に強制されるままにその方針に盲従して従業員の真の意図を無視し、会社の実情からかけはなれた無理な要求を非民主的なやり方で強引にひきまわしたかのような全く無根の断定を下し、原告【C】が、家族からも職場の仲間からも全く孤立しているかのように描き出して、その意図を全くゆがめてしまい、もつて、同原告の名誉を著しく毀損したのである。
(四) 原告【D】が、その著作物(「民主青年新聞」一九六七年五月一七日付第六一六号に掲載)で意図したことは、民青同盟員が、多くは地方から単身で上京し、個人経営の商店に住み込んで低賃金と長時間労働の下で働かされ、同じ地域に居ながら相互の交流の機会も持てないでいる未組織の青年労働者を中心にして、交流の機会を文化サークル活動の中に作つて、明るく健康な活動のなかで、未来への展望と確信を生み出し、更には、労働者としての物の見方、考え方を学習する活発な活動と、その拡大の運動に生き生きと活動している経験を紹介したものである。
しかるに、被告らは、「民青の告白」(九三頁〜一〇〇頁)のなかで、原告【D】の意図をゆがめ、「経営侵入の拠点居住班」(副題―商店員を狙いスケート大会)なる題号を勝手につけたうえ、「編者解説」なる末尾欄において、同原告の著作物を利用して、民青同盟が無自覚な未組織労働者をねらつて、陰惨な組織化工作を日本共産党の指令の下に行つているかのごとき無根の印象を故意に暗示し、それによつて、同原告が民青同盟員として、無自覚的に日本共産党に強制されるままに、商店員をねらい経営侵入を策謀しているかのような無根の印象を読者に与え、
その活動を誹謗し、もつて、原告【D】の名誉を著しく毀損したのである。
(五) 原告【E】が、著作物(「民主青年新聞」一九六七年三月二二日付第六〇八号に掲載)で意図したことは、民青同盟中央委員会教育部員として、民青同盟の活動の指針としての理論と実践を正しく学びとるために、マルクス・レーニン主義を今日の日本の現実に創造的に適用する必要性を強調し、その手段として「共産主義読本」の学習の有用性を、その紹介を兼ねて主張したものである。
しかるに、被告らは、「民青の告白」(一三八頁〜一四一頁)のなかで「編者解説」なる欄を設けて、日本共産党が、その青年行動隊である民青同盟に指令を下して、全同盟員に「共産主義読本」を読ませているなどという事実に反することを記述し、民青同盟が、自主的大衆的組織であることをねじ曲げる材料として、原告【E】の右著作物を利用し、その意図を全くゆがめて、同原告の名誉を著しく毀損したものである。
(六) 原告【F】が、その著作物(「青年運動」一九六七年九月号八九百〜九四頁)で意図したことは、民青同盟第一〇回大会を前にして、神奈川県同盟の教育学習の活動を総括し、これを通じて教育学習の指導体制の確立と、米日反動勢力による思想攻撃を排斥するための思想建設の重要性を訴えることであつた。
しかるに、被告らは、「民青の告白」(一四二頁〜一五二頁)のなかで、自主的大衆組織である民青同盟の教育学習活動の主要任務は、共産主義理論と日本共産党の政策をいかに学ばせ、身につけさせるかにあるなどと事実に反することを記述し、さらに、右著作物を神奈川県同盟の教育学習活動の実態を民青中央本部に報告している文書の全文であるなどと原告【F】の著作物を材料として事実をねじまげ、同原告の意図を全くゆがめて、同人の名誉を毀損したものである。
(七) 被告らは、「民青の告白」において、原告民青同盟が、前述のような目的の下に広範な青年の要求を実現しながらたたかう自主的・大衆的な青年組織であるにもかかわらず、青年同盟員の手記、論文等を前述のように無断で転載し、その文章を削除し、勝手につなぎあわせるなどの悪質な改作を行つたばかりでなく、それぞれ末尾に「編者解説」なるものを付して、各著作者の意図をねじ曲げて、あたかも同原告が日本共産党の下部組織ないし青年行動隊であるかのように事実に反することを摘示し、さらに、同原告が、日本共産党に指令されるままに無自覚的に同盟員に対してその意思を無視し、基本的人権をも否定するようなやり方で、社会の実情に反する方針を強制しているかのような無根の事実を摘示して、故意に、民青同盟をして、あたかも何かの陰謀組織であるかのような印象を読者に与えて、その名誉を著しく毀損したものである。
五 損害(一) 著作財産権の侵害による損害 被告らの発行した「民青の告白」の発行部数は少くとも一万七、五〇〇部以上である。
原告民青同盟は、この「民青の告白」に掲載された手記、論文等の原著作物を自ら単行本として発行した場合の印税相当額として、少なくとも一部について金三八円(印税一〇%として)の割合による合計金六六万五、〇〇〇円の得べかりし利益を喪失した。
(二) 著作者人格権の侵害による損害 被告らによる前述の著作者人格権侵害によつて、少なくとも、原告【A】・同【B】は、それぞれ金一五万円、原告【E】は金五万円、原告【C】・同【F】・同【D】は、それぞれ金一〇万円の各慰藉料相当の損害を豪つた。
(三) 名誉毀害による損害 被告らによる前記の各名誉毀損によつて、原告の民青同盟は少なくとも金一〇〇万円、原告【A】・同【B】は、それぞれ金二〇万円、原告【D】・同【C】はそれぞれ金一五万円、原告【E】・同【F】は、それぞれ金一〇万円の各慰藉料相当の損害を豪つた。
(四) 弁護士費用相当の損害 原告らは、被告らが前述の各損害賠償義務を任意に履行しないので、本訴に及んだ次第であるが、原告らが全国各地に分散しており、しかも原告らの主張・立証を一括して行なうことが権利実現のため便宜であること、訴訟追行に技術的困難さを伴うこと等によつて、弁護士による本件訴訟の追行を余儀なくされた。そして、原告らは、本件各原告代理人との間に、日弁連報酬規定に従い、本件訴訟追行のための費用、日当、報酬について原告民青同盟は、金一〇万円、その余の各原告らは各金二万円(合計金二二万円)を支払う旨を約した。原告らのこの金員の支払債務の負担は、被告らの前記不法行為に起因するものであるから被告らにおいて賠償すべきものである。
六 請求 よつて、被告ら各自に対し、原告民青同盟は、金一七六万五、〇〇〇円、原告【A】、同【B】は、それぞれ金三七万円、同【C】、同【D】は、それぞれ金二七万円、同【E】は金一七万円、同【F】は金二二万円およびこの各金員に対する不法行為の日である昭和四二年一二月一日から支払ずみまで各年五分の割合による金員の支払ならびに原告らは、被告らに対し、申立欄記載の謝罪広告の掲載を求める。
被告らの答弁
一 本案前 原告日本民主青年同盟は、社団としての代表の方法、総会の運営、財産の管理等重要な事項について明確な規定を有しないから、当事者能力を欠くものとして、同原告の訴は却下されるべきである。
二 本案について(一) 請求原因事実の認否1 請求原因第一項(一)の事実中原告民青同盟がその主張のような青年組織であることは否認する。その余の事実は認める。もつとも、原告民青同盟がその主張のような青年組織である旨同原告の規約前文にうたわれていることは認めるが、そのような実体のものではない。同(二)、(三)の事実は認める。
2 同第二項のうち、原告民青同盟が、「民主青年新聞」、「青年運動」に別表(一)下段掲記の各手記ないし論文を掲載したことは認めるが、原告主張の一五の手記が無名または変名の著作物であることは知らない。その余の事実は否認する。
3 同第三項(一)のうち、「民青の告白」の発行部数および著作権侵害の事実は否認する。その余の事実は認める。同(二)の1から6までの事実中、各原告ら主張の各手記等が「民主青年新聞」「青年運動」に掲載されたこと、被告らが「民青の告白」出版に際し、原告ら主張の手記等を収録するにつき原告民青同盟の同意を得なかつたことおよび「民青の告白」に原告ら主張の別表(二)の一から六までの各下段記載の題名、文章を掲記したことは認めるが、その余の事実は否認する。7の事実は否認する。
4 同第四項(一)から(六)までのうち、各原告らの意図した点は知らない。
「民青の告白」に編者解説欄を設けたことは認める。その余の事実は否認する。
5 同第五項(一)から(四)までの事実は否認する。
(二) 主張1 著作権法によつて保障されるべき著作物とは、文芸学術または美術の範囲に属し、独創性を有する精神的作品をいうところ、原告ら主張の各手記論文は、これにあたらない。
2 原告ら主張の各手記論文は、いずれも週刊新聞「民主青年新聞」、月刊雑誌「青年運動」に掲載されたもので、その内容は、情報の伝達にすぎないものであつて、旧著作権法第11条第2号の「新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事」に属する。したがつて、著作権の目的とはならないものである。
3 被告の出版した「民青の告白」は、原告民青同盟が、その掲げる目的とは相違し、日本共産党の青年行動隊的組織である実態を批判することを目的とするものであつて、同書の主体は、「編者解説」にある。「編者解説」を主体としたために、
同書中の題名は、その解説内容が一目でわかるように解説的な題名にしたものであり、編者解説において、原告民青同盟の活動とその実態を明らかにし、民青同盟の目的がその掲げる目的とは相違することの真相を明らかにするために、その立証の資料として、各手記等を引用したのである。もとより、手記を書いた者個人に対する批判、手記記載の内容の当該具体的事実に対する批判ではない。また、民青同盟員の手記そのものの出版、宣伝を目的としたものでもない。
被告は、「民青の告白」一二二頁の編者解説中に「民青本部に提出する報告書」と、同一二五頁の編者解説中に「この手記は、民主青年新聞の昭和四一年一月一日付の号外についたものである」と、同一二七頁の編者解説中に「民青の機関誌に発表するために書き送つているもの」と、同一五二頁の編者解説に「民青中央本部に報告している文書」と、それぞれ出所を明示している。そして、手記の一部を削除したのは、編者解説に直接関係のない部分、長文にわたる部分、感情的な部分を削除したのであり、一部つけ足したのは、削除した部分を締めくくつたり、文章をつなぐためにしたのである。
以上のように、被告が、原告ら主張の手記等を引用したのは、正当な範囲内の節録引用である(旧著作権法第30条第1項第2号)。
4 なお、引用した各手記等の筆者の名前、場所、勤務先等を一部変えたのは、筆者に迷惑を及ぼさないように配慮したことによるものである。
被告らの主張に対する原告らの反論
一 被告らの主張2について 旧著作権法第11条第2号にいわゆる「新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事」とは、日々のニユースおよびニユースの性質をもつた多種の報道記事をいうのであつて、これらの報道記事を著作権の目的から除外した趣旨は、日々社会に生起する事実は、できるだけ迅速かつ広汎に周知させることが社会公共の利益であるから、これを独占させるべきではないとか、時事に関する報道のように著作権を成立させることが不適当であると考えられたことによる。
「民主青年新聞」「青年運動」に掲載された本件各手記は、日々のニユースおよびニユースの性質をもつた報道記事でないことは、その内容を一読することによつて明らかである。
二 被告らの主張について 被告全貌社は、革新政党、なかんずく日本共産党およびその政策を支持する広汎な民主勢力を敵視し、その中傷、誹謗を専ら目的とする内容の出版物を執ように発行している反共、右翼出版社である。被告全貌社は、原告民青同盟を敵視し、それが日本共産党に操られている陰謀団体であるかのような中傷、誹謗を加える目的の下に、「民青の告白」をはじめ、「恐るべき民青」「続恐るべき民青」等の出版物を発行している。
「民青の告白」は、「編者解説」の題名が示すように、その主たる構成部分は、
掲載されている各手記、論文であることが明らかである。また、「民青の告白」に掲載された手記、論文は、これとこれに対する編者解説の体裁および各編者解説の内容から見ても、被告の主張するような立証資料として引用されたものでないことも明らかである。しかも、被告が引用する編者解説中の各文言は、被告の意図する目的に照らして適当に改鼠を加えた各手記について、その意図に添つた説明を加える便宜上記されたものにすぎず、被告主張のように被告の意図する目的の立証資料として引用したものとは、とうていいえない。
法が、自己の著作物中に、他人の著作物を引用することを認めた範囲は、正当な範囲内に限られるのである。すなわち、公正な慣行に合致するものであり、かつ、
報道、批判、研究その他引用の目的上正当な範囲内の引用に限つて、著作物の独占、排他的利用が制限されるのである。その正当な範囲かどうかは、著作権者の利益と著作物の自由利用によつてもたらされる公益との調整、均衡によつて決められるべきであるが、自己の著作目的に適合させるために、改題、改鼠、抜粋、省略などして利用することは、どのような観点に立つても、これを正当な引用の範囲内であるということはできない。
証拠関係(省略)
理 由
本案前の申立について
まず、原告民青同盟が、権利能力のない社団として当事者能力を有するかどうかについて、検討するに、証人【H】の証言と本件記録編綴の「青年同盟のよびかけ・規約」と題する冊子の記載によれば、原告民青同盟は、独立、民主、平和、中立の日本をつくり、青年の生活と社会的地位の向上のために種々な青年の要求を実現しつつ、自主的、大衆的な青年組織となることを目的に掲げ(規約前文にこのような記載のあることは、後述のとおり当事者間に争いがない。)、その組織系統として、経営、農山漁村、学校、居住地における三人以上の同盟員から成る「班」とその上部機構である複数の班から成る地区組織、その上部機構としての同一都道府県内における複数の地区組織からなる都道府県組織、その上部機構としての全国大会と中央委員会の各組織から成るものであつて(規約第8条)、この各級の組織には、それぞれの最高機関として班総会、地区大会、都道府県大会および全国大会が設けられ、その閉会期間中は、大会で選ばれた班長または班委員会、地区委員会、
都道府県委員会、中央委員会がその最高機関となる旨定められ(規約第9条第1項)、全国大会が原告民青同盟の最高機関とされ(規約第11条)、中央委員は、
全国大会で選出され、これによつて構成される中央委員会が常任委員会と中央委員会委員長とを選出し、中央委員会委員長が原告民青同盟の代表者と定められている(規約第14条)。そして、各級大会は、原則として、各級委員会が招集し、各級大会は、各級委員会委員と各級の同盟員数に比例して選出された代議員および審議権のみを有する各級委員会の指名に基づく評議員で構成され、決議権は代議員だけがこれを有すること、各級委員会と各級大会とは、それぞれ委員の過半数の出席で成立し、採択される各決定は、各級大会においては出席代議員の過半数の賛成で、
各級委員会においては出席委員の過半数の賛成で有効となることが定められ(規約第9条第2項から六項まで)、財政に関しては、原告民青同盟の資金は、同盟費、
同盟の事業、正常な寄附金からの収入によるものとし、同盟費は月額金一五〇円、
この内金二〇円を中央、内金六〇円を都道府県、内金五〇円を地区、内金二〇円を班に各配分される旨規定され(規約第29条)ている組織であることが認められる。
このように、原告民青同盟は、その組織、総会の運営、代表の方法、財政に関する定めが規約によつて明定されているのであつて、いわゆる権利能力なき社団というに妨げはない。したがつて、原告民青同盟は、民事訴訟法第46条の規定によつて、訴訟の当事者能力を有することは明らかである。
本案について
一 原告民青同盟が、請求原因第一項(一)掲記のような青年組織である旨同原告の規約前文にうたわれていること、同原告がその主張のような週刊新聞、月刊雑誌を発行していることおよび請求原因第一項(二)、(三)の事実は、いずれも当事者間に争いがない。
二 原告民青同盟が、その主張の新聞、雑誌に、別表(一)下段掲記の各手配、論文を掲載したことは、当事者間に争いがない。
被告らは、この手記、論文は、文芸、学術若くは美術の範囲に属する独創性を有する精神的作品にはあたらないから、著作権法によつて保護される著作物とはいえない旨主張する。
著作権法によつて保護される著作物とは、文芸、学術、美術もしくは音楽の範囲に属する思想、感情の創作すなわち精神的知的創作と解され、これを言い換えれば、法律によつて保護の対象から除外されたもの(著作権法第10条第2項第13条、旧著作権法(昭和四五年法律第四八号による改正前の著作権法、以下同じ)第11条)以外の、真善美その他、人間社会における価値に関して表現されたすべての思想、感情の創作をいうのであつて、このような思想、感情の創作である限り、それは、文芸、学術、美術もしくは音楽のいずれかの範囲に属せしめて解することができ、この範囲は、その分類形態を示すものということができる。そして、
「創作」とは「模倣」でないことを意味するものと解すべきである。ところで、成立に争いのない甲第六号証から第二九号証までによれば、本件二七篇の手記、論文はいずれも単なる事実の列記ではなく、原告民青同盟に属する同盟員の労働者としての立場からする経験またはその利害関係あるいは生活要求に根ざした意識に基づく真・善・幸福追及に関して表現された思想、感情を内容とするものであることが認められ、これらが、模倣であるとする資料のない本件では、いずれも文芸、学術の範囲に属する思想、感情の創作といわなければならない。被告らの、著作物ではないとする主張は、採用できない。
被告らは、また、本件手記、論文は、いずれも、新聞紙または雑誌に掲載した雑報または時事を報道する記事にあたるから、著作権の目的にはならない旨主張する。
本件に適用のある著作権法第10条第2項にいわゆる「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」(著作権法附則第2条第1項第17条。なお、旧著作権法第11条第2号においては「新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事」)とは、単なる日々の社会事象そのままの報道記事をいうものと解すべきであるところ、前記のとおり、本件手記、論文は、作者が労働者としての立場から自己の経験またはその利害関係あるいは生活要求に根ざした意識に立脚して人間社会における価値に関して表現された思想、感情を内容とするものであるから、単なる日々の社会事象そのままの報道記事にあたらないことが明らかである。被告らの主張は採用できない。
そこで、証人【I】の証言により真正に成立したものと認めうる甲第一号証の一、証人【J】の証言により真正に成立したものと認めうる甲第一号証の二、同各証人の証言および原告【A】、【B】、【E】各本人尋問の結果を総合すると、原告民青同盟から依頼され、あるいは投稿された本件各手記、論文は、いずれも同盟員である原作者が、中央委員会新聞編集委員会、同雑誌編集委員会において定めた規約により、各著作物に関する著作財産権を中央委員会ひいて原告民青同盟に帰属させることを承知のうえで、これらを著作して、その原稿を原告民青同盟に交付しているものであることが認められ、この認定を左右する証拠はない。そうだとすると、本件各手記、論文についてはいずれも著作者から原告民青同盟に原稿が引き渡された時に、該各著作物に関する著作財産権は、原告民青同盟に移転し帰属したものといわなければならない。
なお、ここで、別表(一)のA―3 A―4 A―5 A―8 A―10 B―1 B―2 B―3 C―2 C―6 D―1 D―2 D―3 D―4 D―7の一五篇の手記が、無名または変名の著作物にあたるかどうかについて検討する。
無名著作物とは、著作物のいずれの場所にも著作者の実名、変名を問わず、社会通念上一切の著作者名を表示していない著作物をいい、変名著作物とは、著作者の実名またはこれと同視すべき名称以外のものが、実名に代えて用いられた著作物をいうものと解するのが相当であるところ、前掲甲第八号証と証人【J】の証言によれば、別表(一)下段(以下「別表(一)」という。)のA―3の著作物には、
「東京【K】代議員」と表示され、「東京」の文字は「【K】代議員」の文字より小さく表示されていることが認められるから、東京選出の代議員である【K】なる者の著作物であるというべく、実名の著作物とするのが相当であり、前掲甲第九号証、第一四号証、第一五号証、第二三号証と証人【J】の証言によれば、別表(一)のA―4の著作物は「東京横河電機」、同B―1の著作物は、「兵庫中央市場班」、同B―2は「大阪【L】」、同C―6は「I居住班」とそれぞれ民主青年新聞中の見出し部分に表示されているが、これらは、いずれも民主青年新聞の記者が取材したものであつて、前記各表示は、記者の取材対象を特定する意味を有するに過ぎず、取材記者の実名、変名の表示がないから、これらは、いずれも無名の著作物というべく、前掲甲第一〇号証、第一一号証、第二五号証から第二七号証までおよび証人【J】の証言によると、別表(一)のA―5は「福岡・【M】班」、同A―8は「東京・目黒・M班」、同D―2は「(【N】)」、同D―3は「岩見沢・青年学習会」、同D―4は「東京「社会学入門」学習会」とそれぞれ民主青年新聞の「見出し」欄に表示されているが、これらは、いずれも原告民青同盟の通信員または同盟員の投稿であつて、当該通信員または同盟員の表示がなく、それぞれの属する同盟組織についての取材報告であることが認められるから、前記各表示は、いずれも著作者の表示を欠く無名著作物とするのが相当であり、前掲甲第一六号証、第二四号証、第二九号証によれば、別表(一)のB―3、D―1、D―7の各著作物は、いずれも全くの無名であることが明らかであり、前掲甲第一三号証と証人【J】の証言によれば、別表(一)のA―10には、見出し欄に別表(一)記載の題名を掲記しているほかに「全金プリンス田口くんの日記から」と表示され、
本文の中に、その日記を紹介する前に、日記の作者は「田口行男くん(仮名)二〇才」と表示され、これを全体として記者が作つているものであることが認められるから、日記そのものは田口行男なる者の変名著作物であるが、この記事自体は無名著作物といわなければならない。そして、前掲甲第一九号証と証人【J】の証言によれば、別表(一)のC―2には、民主青年新聞中の見出し部分に「東京F居住班」と表示されているが、これは通信員または同盟員の投稿で、その著作物の内容は、東京F居住班の「班長Sさんに話してもらいました」と記述して、同人の話の内容を主体として構成されていることが認められるから、この作品の著作者は、東京F居住班の班長のSなる者と見るのが相当であつて、変名著作物といつてよい。
ほかに以上の認定を左右するに足りる証拠はない。
三 次に、被告【G】が発行者となり、被告会社を発行所とし、被告らは共同して、昭和四二年一二月一日、単行本「民青の告白(副題「職場の中から三〇人の手記」)」第一刷を発行し、同書中に別表(一)下段掲記の題名の文章二七篇を掲載したことは、当事者間に争いがない。
被告らは、「民青の告白」は、「編者解説」が主体であつて、前記別表(一)下段掲記の題名の文章を収録したのは、正当な範囲内の節録引用であるから著作権侵害にはならない旨主張する。成立に争いのない甲第五号証と本件口頭弁論の全趣旨によれば、「民青の告白」には、本件二七篇の手記、論文が、別表(一)上段および別表(二)の一から六まで掲記のとおり、そつくりそのまま、または一部削除あるいは一部削除とともに一部加入されて、他の八篇とともに、「第一、大経営のなかの民青」と題して一二篇、「第二、中小企業のなかの民青」と題して四篇、「第三、経営侵入の拠点・居住班」と題して七篇収録され、各篇の直後に「編者解説」と題して説明文が施され、次いで「第四、内部ではどんな教育が行なわれているか」と題し、この題の次に「編者解説」として説明文が施され、続いて七篇の手記、論文を掲記し、「第五、日共や民青幹部は民青をどうみているか」と題し、五篇が収録されて各篇の後に「編者解説」として説明文が掲げられ、次いで「第六、
新らしい行動指針について(文献と指令)」として九種の資料が登載されていることが明らかであつて、この本の構成態様からすると、本件二七篇の手記、論文をも含めて手記、論文、文献、指令を編集したものであることは明らかである。ところで、著作権法附則第17条により本件に適用のある旧著作権法(昭和四五年法律第四八号による改正前の著作権法をいう。)第30条第1項第2号にいわゆる「自己ノ著作物中ニ正当ノ範囲内ニ於テ節録引用スルコト」とは、自己の著作物中において従たる構成資料として、社会通念ないし公正な慣行上これを引用することが必要であると認められ、かつ、その必要とする範囲内で、公表された他人の著作物を自己の著作物の一部として利用することをいうものと解すべきであるから、前記「民青の告白」の構成態様からすれば、本件「民青の告白」に登録した二七篇の手記、
論文は、「民青の告白」の従たる資料とはいい難く、むしろ、その主要な構成資料であることは、その副題である「職場の中から三〇人の手記」が示すとおりであつて、とうてい正当な範囲の節録引用とはいいえない。ほかに、これを別異に解すべき資料はない。
被告は、被告の主張3の中段において、「民青の告白」では、引用した著作物の出所を明示しているとして、あたかも正当な引用にあたるかのように主張するが、
出所の明示は、正当な引用の場合でも当然要請される事柄であつて出所を明示したからといつて、不正当な引用が正当化されるものではないから、とうてい採用できない。
そうだとすると、被告らは、「民青の告白」の発行により、原告民青同盟の各著作財産権を侵害したものといわなければならず、この侵害行為につき、少くとも過失があつたものというべきことは、出版界の当時の状況に照らし容易に推認できるところである。したがつて、被告らは、この侵害行為によつて原告民青同盟の被つた損害を共同して賠償すべき義務がある。
よつて、進んで原告民青同盟の被つた損害について検討するに、証人【H】の証言と前掲甲第五号証によれば、被告らの「民青の告白」の発行部数は、少くとも五、五〇〇部で、その販売価格が一部金三八〇円であることが認められるが、この部数以上原告主張の部数まで発行されたことは、これを認めるに足りる証拠がない。そして、「民青の告白」には合計三五の手記、論文が収録されているほか、九篇の「文献と指令」が収録されていることは、前認定のとおりであるけれども、この文章と指令なるものは、弁論の全趣旨に徴し、関係者において一般に周知されることを期待こそすれ、かかる収録に特に異議があるものとは認められないから、著作財産権が問題とされるのは、結局三五の手記、論文についてであるとするのが相当である。原告民青同盟は、これら本件二七篇の手記、論文を他に出版の許諾をするとすれば、許諾による著作権の使用料、すなわち、印税相当額の金銭を得ることができるわけであるから、被告らの偽作行為により、この相当額の損害を被つたものということができる。そして、原告民青同盟が従来民主青年新聞等に掲載した手記、論文、その他の作品を編集して出版して来たことは、成立に争いのない甲第三二号証から第三五号証および証人【H】の証言によつて明らかであり、弁論の全趣旨によれば、原告民青同盟は、他にその出版を許諾するとすれば、販売価格の一〇パーセントの印税率を期待しているものであり、この率は、出版界の当時の状況から容易にこれを肯認しえられるところであるから、本件二七篇の著作物を利用した「民青の告白」一冊あたりの印税相当額は、前記販売価格の一〇パーセントである金三八円に三五分の二七を乗じて得られる金二九円三一銭、その五、五〇〇部についての印税相当額は合計金一六万一、二〇五円となることが計算上明らかであつて、これが、原告民青同盟の被告らの共同不法行為によつて被つた損害であるというべきものである。
四 次に、原告【A】ほか五名の著作者人格権が侵害されたかどうかについて検討するに、「民青の告白」に利用収録された原告【A】、【B】、【C】、【D】、
【E】、【F】の著作物に対する偽作の内容は、別表(二)の一から六までの各上欄の傍線部分が削除され、同各下欄の傍線部分が加入されたものであることは、当事者間に争いがないから、同原告らの各原題名、本文の同一性については、これが害され、同原告らの有する著作物に関する同一性(完全性)保持権を侵害されたことが明らかである。そして、この侵害によつて、同原告らが精神上苦痛を被つたことは容易に推認しえられるから、被告らは、これを慰謝するに相当な原告【A】、
【B】に対しては各金一〇万円、原告【C】、【D】に対しては各金五万円、原告【E】、【F】に対しては各金二万円を共同して支払うべき義務があるものとするほか、被告らに対し、原告【A】、同【B】のために別紙二掲記のうち、同【C】のために、別紙三掲記のうちいずれもこの項に関係ある部分相当の内容の謝罪広告を、原告【A】、同【B】に関しては原告民青同盟発行の雑誌「青年運動」に、原告【C】に関しては原告民青同盟発行の新聞「民主青年新聞」に、いずれも後記名誉毀損による謝罪広告とあわせてそれぞれ一回同別紙掲記の条件で掲載させるのが相当と認められるが、原告【D】、同【E】、同【F】に関しては、謝罪広告の必要はないものと認められる。
五 そこで、次に、原告らに対する名誉毀損の成否について審究する。
(一) 前掲甲第五号証、第七号証と原告【A】本人尋問の結果を総合すると、原告【A】の著作物(別表(一)のA―6)では、同原告が訴外三洋電機に入社して経験した、労働条件の改善、会社側の労務管理と労使関係のあり方に矛盾を感じて悩みながら、同原告に与えられた配置転換命令が、裁判所によつて不当なものとして取り消され、仲間の応援を通じて、民青同盟員として再度の配置転換にも負けずに、労働者として活動を続けている様子を描き出しているものと認められるのに対し、「民青の告白」では、同原告の配置転換が裁判所で不当なものとして認められるまでの重要な経過を削除し、「編者解説」において、同原告が、「日本共産党(以下「日共」という。)の青年行動隊組織―民青同盟に加入し、仲間を誘つて会社への反抗闘争に明け暮れる」と摘示している。以上の事実からすれば、原告民青同盟は、なんらかの陰謀団体であつて、原告【A】がその同盟員であることと相俟つて、同原告が、会社側の配置転換命令について裁判所における正当な救済手段を講じたことをかくし、単に、職場の秩序を乱す目的で反抗闘争を続けているような印象を世人に与えるおそれが十分であつて、前記認定の侵害の態様からすれば少なくとも被告らに過失があつたものというべく、これによつて、原告【A】の人格はそこなわれたものということができ、これを慰謝するには、被告らをして金五万円を支払うべきものとするほか、原告民青同盟発行の雑誌「青年運動」に、別紙二記載のうち、この項に関係ある部分相当の内容の謝罪広告を同別紙掲記の条件で、前記四の項の謝罪広告とあわせて一回掲載させるのが相当と認められる。
(二) 五の(一)項掲記の甲号各証と原告【B】本人尋問の結果を総合すると、
原告【B】の著作物(別紙(一)のA―7)では、訴外松下電工の従業員として、
同原告が、職場における会社側の反共活動の実態を明らかにし、同原告の働きかけた職場内における音楽会活動のため受けた配置転換命令、会社側の同原告の家族に対してまで及んだ同原告の思想転向の働きかけにも負けず、家族や地域団体の後援の下に、困難な状況の下でも将来への希望をもつて、民青同盟員の誇りを抱きながら働いている状況を描き出しているものと認められるのに対し、「民青の告白」では、別表(二)の二以上欄記載の傍線部分を削除し、題名の「許せない不当解雇―松下電工の民青攻撃とたたかう―」を「両親に懇願されて涙にくれる」と変更したうえ、「編者解説」において、原告【B】の表現したところをゆがめ会社側の同原告らにした働きかけをかくし、同原告が、会社側の活動によつて、当初動揺し思い悩んだことのみ強調して、あたかも同原告が、会社側の働きかけに屈服したかのように描き出し、「労音や、“うたごえ”サークルに加入し、それから民青に加入させられる―といつた、既定のコースをたどらされた犠牲者の一人である。」と記述し、さらに「老いた両親や兄弟を泣かせつつ、一たん加入した民青の組織からはなかなか離脱できず思い悩んでいるこのような青年が、全国には何万といるに相違ない。」と記述して、あたかも原告【B】が、全く主体性のない人間であつて、一たん民青同盟に加入したばかりに、そこから抜け出せないで苦しんでいる犠牲者であるかのような事実を摘示し、さらに「民青同盟は、日本共産党の青年行動隊組織であり、職業革命家養成の学校であるといわれている。その民青は、同盟員拡大の手段として、職場にさまざまな文化サークルを組織する。……これらの組織―サークルを操つているのは、大部分がいわゆる民青の活動家や日共党員である。」と摘示して、原告【B】が民青同盟員として職場内におけるサークル活動をしたことに対して、同原告が、日本共産党の革命家養成の指令を無自覚に受け、同党の青年行動隊員として、職場内の青年男女を組織に入れるため活動をしているような印象を与える解説を付し、本文をもそのように改作していることが認められる。以上の事実からすれば、原告【B】の人格は、甚だしく傷つけられ、名誉を侵害されたものといわなければならず、同原告が、これによつて、精神上多大の苦痛を被つたことは明らかであり、これら侵害の態様からすれば、被告らに少なくとも過失があつたものというべきであるから、これを慰謝するには、金五万円を被告らに支払わせるべきものとするほか、被告らに、同原告のため、原告民青同盟発行の雑誌「青年運動」に別紙二掲記のうち、この項に関係ある部分相当の内容の謝罪広告を同別紙掲記の条件で前記四の項の謝罪広告とあわせて一回掲載させるのが相当と認められる。
(三) 前掲甲第一七号証によれば、原告【C】が、その著作物(別紙(一)のB―4)で明らかにしたことは、劣悪な労働条件と家父長的労使関係にあつた中小企業の職場で、困難な諸条件の下で働くうちに、労働者は団結して労働条件を好転させる組織を持つべきことを知り、職場での要求を取り上げて行く中に、ついに組合の結成に成功した経過を記述し、会社側から同原告が組合結成の準備活動をしたことを理由に解雇されながらも、民青同盟員として会社の圧力にも負けずに家族を説得して、仲間からも期待と励ましを受けている姿を具体的に描き出していることが認められる。ところが、前掲甲第五号証によれば、「民青の告白」では、未尾の「編者解説」で、「問題はこの経営内での少年のやり方が正しかつたかどうか、だれでもが支持できるような良識にもとずいた民主的な方法によつて、それが行なわれたかというところにある。五十人ほどいるという従業員のうち(……)二人だけが馘首されたというのだが、そのことに対し、他の従業員らの間に二人を支持する何らの動きも表われていないのはどういうわけだろう。従業員の真の意思からでなく、外部から民青の班組織や日共細胞によつて持ちこまれた“要求”にはどうしても無理があり、その闘争方法にもムリが生まれてくる。会社の実情からかけ離れたムリな要求、ムリな闘争は、所詮、多数の従業員の支持は得られない。それを強引にすすめようとするものは、職場内で孤立する結果になるのである。……」としていることが認められる。これによれば、原告【C】が、あたかも外部の民青同盟や日共に強制されるままに、その方針に盲従して、従業員の真の意向を無視して会社の実情からかけ離れた無理な要求を強引に押し進めたかのような印象を与え、職場の仲間からも全く孤立しているかのような実情にありながら活動したもののように原告【C】の手記を強いて転用したものというべきであつて、前記解説の内容として掲記された事実関係が真実であれば、正当な解説として許されもしようが、その真実であることの証左のない本件では、違法のそしりを免れない。そして、前記作為によつて、原告【C】の労働者としての評価を減じることは否定しえないから、
同原告の名誉は毀損されたものということができ、これにつき被告らに過失があつたものとすべきは、前記侵害の態様から明らかである。原告【C】の精神的苦痛を慰謝するには、金一万円のほかに、別紙三掲記のうち、この項に関係ある部分相当の内容の謝罪広告を、同掲記の条件で、原告民青同盟発行の「民主青年新聞」に前記四の項の謝罪広告とあわせて一回掲載させるのが相当と認められる。
(四) 前掲甲第一八号証によれば、原告【D】の著作物(別表(一)C―1)では、民青同盟員が、多くは地方から上京した単身者で、個人経営の商店に住み込んで、低賃金で長時間労働をし、同地域に居りながら相互の交流の機会も持てないでいる青年労働者を中心にして、サークル活動で交流の機会をもち、将来への期待を抱きながら、労働者としての物の見方、考え方を学び活動している経験を記述したものであることが認められる。他方、「民青の告白」では、前記のように、題名「要求をがつちりつかんで店員さんを組織した経験から」とした同原告の手記を「第三、経営侵入の拠点・居住班」の項に組み入れて、題名を「商店員を狙いスケート大会」と改題したことは、当事者間に争いがなく、未尾の「編者解説」の冒頭において、「社会党系の指導者が主導権をにぎる“総評”内で、依然として少数派的存在から抜けきれないでいる日共は、そのアセリから大経営内での民青や党細胞の拡大に必死になつているが、同時に未組織労働者の組織化に力を入れはじめ……。その中で、最近特に力を入れているのが、……工員や商店の店員などの組織化である。これらの工員や店員“攻略”戦の基地として活用されているのが民青の居住班である。」と記述し、その末尾で、「まず、いくつかの経営班や居住班を指導している地区委員会が『夜のスケート大会』なる催しを企画する。これに町内の店員たちを動員するために居住班は活動する。……もちろん、民青居住班の背後には日共の居住細胞がついていて指導している。……」と記述していることが認められる。しかし、これらの解説文でも、原告【D】が主張するように、民青同盟が無自覚な未組織労働者を狙つて、日共の指令の下に組織化活動を行なつているような印象を暗示していることにはならないし、原告【D】が、民青同盟員であることは前記のとおりであり、同原告が、日共に強制されるままに商店員を狙つて経営侵入を策謀しているかのような印象を読者に与える旨同原告は主張するけれども、前掲各甲号証および前記【H】の証言によれば、原告民青同盟が、マルクス・レーニン主義の実践を日共の指導の下に行うということが認められるから、「民青の告白」の前記解説記事のうち、商店などの経営面に原告民青同盟の組織を拡大することは、
むしろ予定されていることともいえよう。したがつて、「民青の告白」中の原告【D】の右手記に対応する部分が同原告の名誉を毀損したものとは認めえない。なお、改題の点については、すでに、同原告の著作者人格権の侵害として判断したところであり、重ねて名誉毀損の成立を認める余地はない。
(五) 前掲甲第二八号証と原告【E】本人尋問の結果によれば、原告【E】の原著作物(別表(一)のD―5)は、同原告が、原告民青同盟の中央委員会教育部員として、民青同盟の活動の指針としての理論と実践を正しく学ぶために、マルクス・レーニン主義を今日の日本の現実に創造的に適用する必要を強調し、その手段として、「共産主義読本」の学習が有用であることを、その紹介を兼ねて主張したものであることは、同原告主張のとおりである。そして、前掲甲第五号証によれば、その「編者解説」において、日本共産党が、その青年行動隊である民青同盟に指令を下して、全同盟員に読ませ“学習”させている旨記述していることが認められるが、原告民青同盟が、戦前の共産主義者青年同盟の伝統を受けついでいるものであつて、マルクス・レーニン主義の実践のために、日共の指導を受けているものであることは、証人【H】の証言で明らかであり、仮に、原告【E】の主張するように、前記解説文の内容が事実でないとしても、このことによりただちに同原告自身の名誉が毀損されたとすることはできない。ほかに、この認定を左右する資料はない。
(六) 原告【F】は、請求原因第四項(六)において、同原告の名誉が毀損されたとして主張するが、その主張する事実をもつては、にわかに同原告の名誉が毀損されたものと認めることはできない。
(七) 原告民青同盟の名誉毀損の主張について検討するに、「民青の告白」では、前記五の(一)原告【A】についての項において認定したとおり、同原告が「日本共産党の青年行動隊組織―民青同盟に加入し、仲間を誘つて会社への反抗闘争に明け暮れる」と、同五の(二)原告【B】についての項において認定したとおり「労音や“うたごえ”サークルに加入し、それから民青に加入させられる―といつた既定のコースをたどらされた犠牲者の一人である。」「民青同盟は日本共産党の青年行動隊組織であり、職業革命家養成の学校であるといわれている。その民青は、同盟員拡大の手段として、職場にさまざまな文化サークルを組織する。……これらの組織―サークルを操つているのは、大部分がいわゆる民青の活動家や日共党員である。」と、同五の(三)原告【C】についての項において認定したとおり「……外部から民青の班組織や日共細胞によつて持ち込まれた“要求”にはどうしても無理があり、その斗争方法にもムリが生まれてくる。……」と、さらに、同五の(五)原告【E】についての項において認定したとおり日本共産党が、「共産主義読本」をその青年行動隊である民青同盟に指令を下して全同盟員に読ませ“学習”させている旨それぞれ摘示しており、これによれば、特段の事情の認められない本件においては、原告民青同盟が、あたかも日共の下部組織が青年行動隊として、日共の指令のままに同盟員に対して、その意思にかかわらず社会の実情に反する方針を強制している陰謀組織であるかの印象を、読者に与えることは否定しえず、違法のそしりを免れない。したがつて、被告らは、原告民青同盟の名誉を毀損したものというべく、これにつき過失があつたたものとすべきは前認定の諸事情から明らかであつて、これを慰謝するために金二〇万円を支払い、かつ名誉回復の措置として、別紙四掲記の内容の謝罪広告を同別紙掲記の条件で、同原告発行の「民主青年新聞」「青年運動」に各一回掲載させるのが相当であると認められる。
六 終りに、弁護士費用相当額の損害の主張について検討するに、原告らは、いずれも、被告らが本件侵害行為による損害賠償債務等を任意に履行しないため本訴に及んだものであり、原告ら本人がみずからこの種訴訟を追行することは訴訟技術的に相当の困難を伴うことは明らかであり、弁護士による本件訴訟の追行を余儀なくされたことは、本件訴訟の進行経過から容易に肯認できるところであつて、いずれも成立に争いのない甲第三六号証から第四二号証までによれば、原告らと原告代理人らとの間に、本件訴訟追行の報酬として、原告民青同盟は金一〇万円、その余の原告らは、それぞれ金二万円を事件解決の時に支払う旨約したことが認められる。
そして、この事実と本件訴訟の難易さその他一切の事情を考慮すれば、結局、原告らの原告代理人らに支払うべき報酬は、原告民青同盟が金一〇万円、原告【A】、
【B】、【C】、【D】、【E】、【F】がそれぞれ金二万円とするのが相当と認められる。これらの金員は、被告らにおいて前記不法行為による損害として、原告らにそれぞれ連帯して支払うべき義務あるものである。
七 よつて、原告らの被告らに対する損害賠償請求は、原告民青同盟が、前記三の項、五の項(七)および六の項記載の合計四六万一、二〇五円、原告【A】、
【B】が、それぞれ前記四の項、五の項(一)、(二)および六の項の合計金一七万円、原告【C】が、四の項、五の項(三)および六の項記載の合計金八万円、原告【D】が四の項、六の項記載の合計金七万円、原告【E】、【F】がそれぞれ四の項、六の項記載の各合計金四万円およびこれらの金員に対する不法行為の日である昭和四二年一二月一日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分に限り理由があるから、これらを認容し、その余の部分は理由がないからいずれも棄却し、原告らの謝罪広告請求は、原告民青同盟、同【A】、
同【B】、同【C】の請求につき前記認定の限度で理由があるからこれらを認容し、同原告らのその余の部分は理由がないから棄却し、原告【D】、【E】、
【F】の各請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第89条第92条但書、第93条第1項但書を、仮執行の宣言につき同法第196条を各適用して、主文のとおり判決する。
追加
別表(一)<11736-001><11736-002><11736-003><11736-004><11736-005>別表(二)―一<11736-006><11736-007><11736-008><11736-009><11736-010><11736-011>別表(二)―二<11736-012><11736-013><11736-014><11736-015><11736-016>別表(二)―三<11736-017><11736-018><11736-019>別表(二)―四<11736-020><11736-021>別表(二)―五<11736-022>別表(二)―六<11736-023>別紙一謝罪広告私らは、全貌社より昭和四二年一二月一日に発刊した「民青の告白、職場の中から三〇人の手記」において、日本民主青年同盟中央機関紙「民主青年新聞」および同中央機関紙「青年運動」に掲載され、同同盟が著作権を有する左記の手記・小論を無断で転載し複製しましたが、これは同同盟の著作権を侵害した不法行為であることを認めます。又、右転載複製に当つて、【A】こと【A】氏、【B】氏、
【C】氏、【D】氏、【E】氏、【F】氏の各手記小論等の著作物に対して、同氏らに無断で改さんを加え、あるいはその重要な部分を削除し、適当につなぎあわせる等の方法によつて修正・増減を加えて内容を勝手に変えて盗用したことをも認めます。更に右の小論・手記等の題号を変更し、末尾に「編者解説」なるものを付して、全体として原作のいずれとも異なるような作品に不法に改作して収録しましたことは、同氏らの著作人格権を侵害する重大な不法行為であることを認め、あわせて右各権利の侵害に対して謝罪の意を表明致します。
更に、右不法転載・複製・不法改作ならびにこれを材料として利用することによつて、独立・民主・平和・中立の日本を作るため又、青年の生活と社会的地位の向上のために広範な青年の要求を実現しながらたたかつている自主的・大衆的な青年組織である日本民主青年同盟をしてこれを読んだ読者に対して繰り返してあたかも同同盟が日本共産党の下部組織であつて同党と共に密かに暴力革命を画策している非民主主義的な陰謀組織であるかの如き無根の印象を与えて中傷・誹謗をなして、
その名誉を毀損したことを認めます。そして、そのことがひいては、同盟員として自覚的に、自主的大衆的青年運動をしている前記著作者等をして、あたかもその意に反して同盟員としての活動を強制され、主体的な人間としての自由をも奪われて悲惨な生活を余儀なくされているかの如き無根の印象を読者に与えることになつたため、その名誉を毀損しましたことは、重大な不法行為であることを認め、あわせてここに謝罪の意を表明すると共に、今後再びこの様なことを繰り返さないことを誓つて、該書籍を今後一切発売頒布しないことを慎んで声明致します。
記【O】作「初代班長分班誕生!だが道はけわしい」、【P】作「わたしは班長職場の中へ!と叫びたい」、【K】代議員作「全国活動者会議での発言から若い力が労組を変える労組民主化で活動も有利に学習・スポーツなど多彩な活動」、
東京横河電機作「職場に広がるスポーツソフト対抗もさかんに」、福岡・【M】班作「高まる青年の自覚団結の中心に民青が」、北海道・空知地区【A】作「おれは民青同盟員だ―ねばり強い闘いで復職かちとる―」、【B】作「許せない不当解雇―松下電工の民青攻撃とたたかう―」、東京目黒・M班作「拡大こそが職場の団結きずく要求とりあげ信頼される班に」、【Q】作「青春を・いのちを返せ!」、全金プリンス田口くんの日記から「不屈闘う労働者に闘魂不屈を合言葉に学習で身につけたド根性」、兵庫・中央市場班作「大胆に加盟よびかけ班金体にわく確信」、大阪・【L】作「木材屋にできた卓球部職場をかえ、夏服ださせる」、無名「頼りにされる民青渋谷・雑草班の活動“首切り”撤回させて前進」、埼玉・【C】作「団結の尊さを知る中小企業の労組作りで首切り」、
【D】作「要求をガツチリつかんで店員さんを組織した経験から」、東京・F居住班作「新しい仲間のわらい声、どんどん意見がでてくる班会議、要求取り上げて日常活動」、東京・大久保居住南班【R】通信員作「拡大で地域かえる自信卓球大会予想外の集りにびつくり」、真に生きる道を教えてくれた全国活動者会議での栃木県・北地区【S】君の発言から「わたしはなぜ民青に入つたか同盟は偉大だ!」、長野・【T】作「ぼく達は一七歳の同盟員みんなのためにつくす喜び、
はじめての選挙・選対は楽しい」、I居住班作「青年団中心に多彩な活動すでに同盟員の三倍の読者」、無名「私たちの学習会「学習の友」で月二回」、【N】作「わたしたちの学習会タンポポ学習会“学習の友”で仲間づくり進める」、岩見沢・青年学習会作「「社会のしくみ」で学習会、二十回以上も続く」、東京「社会学入門」学習会作「私たちの学習サークル主に情勢について学習サークルで九・一二集会にも参加」、【E】(同盟中央委員会教育部員)作「「共産主義読本」の学習を大々的に起そう」、【F】作「神奈川県同盟の教育学習活動」、無名「羽田での警官隊とトロツキスト「衝突」に関する六問六答」。以上東京都千代田区<以下略>株式会社全貌社右代表者代表取締役【G】右同所株式会社全貌社内【G】×掲戴の条件一「民青新聞」への掲載の条件(1)記事の位置大きさ一面下三段とおし。
(2)その他の条件全体を一倍ベタケイで囲む。題字活字六倍M。本文活字一・五倍M、二六字づめ六〇行。字間五倍。行間全角。但し末尾謝罪者名の表示は活字二倍M行間一・五倍。
二雑誌「青年運動」への掲載の条件(1)記事の位置、大きさ表紙四、全面。
(2)その他の条件題字二九Q、本文一三Q、五〇字づめ二四行。以上別紙二謝罪広告私らは、昭和四二年一二月一日株式会社全貌社発行の「民青の告白(副題職場の中から三〇人の手記)」において、【A】殿の著作物を、題名「おれは民青同盟員だ―ねばり強い闘いで復職かちとる」を「北海道に配転されて」に改題し、
【B】殿の著作物を、題名「許せない不当解雇―松下電工の民青攻撃とたたかう―」を「両親に懇願されて涙にくれる」と改題したうえ、いずれも、その文章を一部削除または一部削除して一部加入したりしてこれらを収録し、あなた方の著作者人格権を侵害し、また、前記文章の改変に加えて「編者解説」で誤解を受ける解説文を記述して、あなた方の名誉を毀損したことは、まことに申訳なく、ここに深くお詫び申し上げます。
昭和年月日東京都千代田区<以下略>株式会社全貌社右代表者代表取締役【G】同所株式会社全貌社内【G】【A】殿【B】殿掲載の条件「青年運動」紙の表紙の三に、活字は明朝で、題字は二〇級活字、本文と年月日、謝罪者の住所、代表取締役氏名は一二級活字、謝罪者と名宛人は一五級活字を使用すること。以上別紙三謝罪広告私らは、昭和四二年一二月一日株式会社全貌社発行の「民青の告白(副題職場の中から三〇人の手記)」において、あなたの著作物を、題名「団結のとうとさを知る―中小企業の労組づくりで首切り」を「ミシン組立会社を馘首されて」と改題したうえ、文章を一部削除または一部削除して一部加入したりして収録し、あなたの著作者人格権を侵害し、また、前記文章の改変に加えて「編者解説」で誤解を招く解説文を記述して、あなたの名誉を毀損したことは、まことに申訳なく、ここに深くお詫び申し上げます。
昭和年月日東京都千代田区<以下略>株式会社全貌社右代表者代表取締役【G】同所株式会社全貌社内【G】【C】殿掲載の条件「民主青年新聞」紙の一面下三段とおしで、全体を一倍ベタケイで囲み、活字は明朝で、題字は一・五倍活字、本文、年月日、謝罪者の住所、代表取締役氏名は、
いずれも一倍活字、謝罪名と名宛人はいずれも一・五倍活字を使用し、行間全角とすること。
以上別紙四謝罪広告私らは、昭和四二年一二月一日株式会社全貌社発行の「民青の告白(副題職場の中から三〇人の手記)」に収録した【A】著作名義の「北海道に配転されて」、
【B】著作名義の「両親に懇願されて涙にくれる」、【C】著作名義の「ミシン組立会社を馘首されて」、【E】著作名義の「『共産主義読本』の学習を広げよ」と願する各手記、論文の「編者解説」において、貴同盟があたかも日本共産党の下部組織か青年行動隊として、日本共産党の指令のままに、同盟員に対してその意思にかかわらず社会の実情に反する方針を強制している陰謀組織であるかの印象を読者に与えるような解説を記述して、貴同盟の名誉を毀損したことは、まことに申訳なく、ここに深くお詫び申し上げます。
昭和年月日東京都千代田区<以下略>株式会社全貌社右代表者代表取締役【G】同所株式会社全貌社内【G】日本民主青年同盟殿掲載の条件1「民主青年新聞」には、その一面下三段とおしで全体を一倍ベタケイで囲み、
活字は明朝で、題字は一・五倍活字、本文、年月日、謝罪者の住所、代表取締役氏名は各一倍活字、謝罪者と名宛人は各一・五倍を使用し、行間全角とすること2「青年運動」には、その表紙の三に、活字は明朝で、題字は二〇級活字、本文、年月日、謝罪者の住所、代表取締役氏名は各一二級活字、謝罪者と名宛人は一五級活字を使用すること以上
裁判官 荒木秀一
裁判官 高林克己
裁判官 野澤明
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