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審判番号(事件番号) データベース 権利
昭和56ワ8371 判例 特許権
平成19ワ18724損害賠償請求事件 判例 特許権
平成13受952著作権侵害行為差止請求事件 判例 特許権
平成11ネ3484著作権侵害行為差止請求控訴事件 判例 特許権
平成11ネ3355著作権侵害差止請求権不存在確認請求控訴事件 判例 特許権
関連ワード 創作性 /  固定 /  アイデア /  表現物 /  映画の著作物 /  ゲーム /  複製物 /  再生 /  著作権侵害 /  差止 / 
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事件 昭和 57年 (ワ) 4419号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 1984/01/26
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告は、別紙目録(一)記載の「STRONG X」と題するテレビゲームの影像の表示をテレビ画面上に顕出する同目録(二)記載のプリンテツド・サーキツト基板(同目録(三)記載の印刷物を含む)を製造、使用、販売、頒布又は輸出してはならない。
二 被告は、原告に対し、金五〇〇〇万円及びこれに対する昭和五七年六月二五日から支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
三 訴訟費用は被告の負担とする。
四 この判決は仮に執行することができる。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨 主文と同旨。
二 請求の趣旨に対する答弁1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
当事者の主張
一 請求原因(著作権に基づく請求)1 原告はテレビ型ゲームマシン「STRATEGY X」を製造販売しているが、右ゲームマシンの受像機に映し出される影像及びその内容(以下あわせて「本件ゲームの内容」という)は、味方の戦車が、プレイヤーの走行指示、砲撃指示に従つて、敵陣内を進み、敵方の攻撃を避けながら、その砲台、地雷等を砲撃により破壊し、途中燃料補給を受けながら敵陣を突き進み、最後に敵本拠地を破壊することを目的とし、進入度合に応じてプレイヤーの得点表示がなされるというものである。また、原告は右ゲームマシンの販売にあたり、別紙目録(四)記載の印刷物(操作説明書)を購入者に交付している。右説明書はテレビブラウン管の横に貼付し、プレイヤーに操作方法を案内するものである。
2 ところでテレビゲームマシンは、(1)PRINTED CIRCUIT BOARD(印刷回路基板、以下「PC基板」という)、(2)影像音声表示装置、
(3)操作盤の三部門より構成され、右(1)PC基板はROM、CPU、IC、
コンデンサ、抵抗等が装置されており、右(2)表示装置は右(1)PC基板の組込内容をブラウン管画面上に影像として作出し同時に音声出力をさせるものであり、右(3)操作盤はプレイヤーが自己の意思に基づき画像を操作するものであり、ゲームの内容に応じたものを必要とする。以上(1)ないし(3)が組合わされて一個のテレビゲームマシンが構成されている。
そして、本件ゲームの内容は記号語(アツセンブリ言語)を用いて表示されたソフトウエア・プログラム(以下「本件プログラム」という)によつて表現されており、右(1)PC基板上のROM(記憶装置)には本件ゲームの内容がコンピユーターに理解し得る機械語に変換された上で収納されている(以下、「右機械語に変換されたプログラムを「本件オブジエクト・プログラム」という)。)3(一) 本件プログラムは著作物である。プログラムはコンピユーターに対する命令の組合わせであるが、プログラムの作成にあたり作成者の学術的な論理的思考を必要とし、殊に本件のようなテレビゲームのプログラムについてはプレイヤーを魅了するためにも新規な発想が必要であつて作成者によつて種々の相違を生じるものであつて、プログラムの作成は創作的な行為である。したがつて、本件テレビゲームのプログラムは、学術的思想の言語による、創作的な表現物であつて著作物といえるのである。
(二) また、本件テレビゲームを操作することによつて画面上に顕出される影像は映画の著作物に該当する。著作権法2条4項映画の著作物には「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする」と規定している。そして本件ゲームの影像は視覚的効果を生じさせる方法で表現されており、PC基板中のROMに内包され固定されている。もつともゲームの影像はプレイヤーの操作方法によつて若干異なつてくるが、その異なる態様はプログラムによつてあらかじめ制限され、この点映画の影像とは若干異なつているが、右相違は映画を著作物とし、本件ゲームの影像を著作物でないとするほどの差異ではない。
4 本件テレビゲームの影像及び本件プログラムは、原告の発意に基づき、かつその名義の下に公表する意図の下に、その業務に従事する技術者が職務上作成した著作物で、原告が著作権を有する。
5 被告は別紙目録(一)記載の「STRONG X」と題する別紙目録(二)記載のPC基板(以下「本件PC基板」という)を製造販売している。右販売にあたり被告はその製作にかかる別紙目録(三)記載の印刷物(以下「本件印刷物」という)を購入者に交付している。
6(一) 被告の「STRONG X」のROMに収納されたオブジエクト・プログラムのゲーム内容は別紙目録(一)記載のとおりであり、原告の「STRATEGY X」と酷似しており、同一物といつて差支えない程度のものである。即ち、
ゲームの内容は同一であるし、影像の面では、「STRATEGY X」が「STRONG X」と、「(C)KONAMI 1981」が「1982」と変更されているのみで他は同一であり、音声も操作方法も全く同一である。このことは「STRATEGY X」と「STRONG X」の各PC基板のプログラムを比較しても明らかである。
更に本件印刷物についても、「STRATEGY X」が「STRONG X」と変更され、「KONAMI (R)」の表示が取除かれていること、「あそびかた」との文字が加入されていること、色彩が多少変つていることの他は全く同じであり、特に説明文では「君の戦法は強行突破か? 慎重派か?」「1イモタリアン(IMMORTALIAN)をやつつけろ、それが君への指令だ」以下一〇項に至るまで同一である。また、商品名「STRONG X」は「STRATEGY X」と視覚上類似している。
(二) そうすると、被告は本件PC基板を製造するに際し、オブジエクト・プログラムが収納された原告のROMからロムライター等を使つてオブジエクト・プログラムを引き出し、そのオブジエクト・プログラム中のゲーム名、製造会社名等を加除訂正し、その余のゲーム内容に関する部分はそのままにして、別のROMに収納し、このROMを装着した基板を情を知りながら販売したものであるということができる。
(三) 被告の右行為はオブジエクト・プログラムの無断複製であり、右オブジエクト・プログラムは本件プログラムの単なる複製物にすぎないから、被告の行為は結局著作物である本件プログラムを無断複製し、更に無断複製物を情を知つて頒布する行為に該当する。
7 被告は原告オブジエクト・プログラム(影像を含む)を被告のROMに収納することが原告の著作権を侵害することを知り又は過失により知らないで、右行為をし本件PC基板を製造販売したものであるから原告に生じた損害を賠償すべき義務がある。
8 原告は従来の販売実績、「STRATEGY X」の人気等から、同製品を国内だけでも少くとも七〇〇〇台販売し得たところ、二〇〇〇台は販売できたもののその後は被告の侵害行為のために販売し得ず、左記のとおり二億二七六一万八六五〇円の得べかりし利益を喪失し、同額の損害を蒙つた。
記一台当りの販売価格 九万三〇〇〇円一台当りの材料費等 四万七四七六円二七銭一台当りの売上利益(販売価格-材料費等) 四万五五二三円七三銭五〇〇〇台の売上利益合計額 二億二七六一万八六五〇円9 被告は今後本件PC基板(本件印刷物を含む)を製造、使用、販売、頒布又は輸出するおそれがある。
(不正競争防止法に基づく請求)1 原告は電子回路を用いたテレビゲーム機の製造、販売を主たる業とし、これまで「FROGGER」、「SPACE WAR」、「SCRAMBLE」等のヒツトゲームを創作、開発し、その製品を国内はもちろん、北アメリカ、ヨーロツパ方面に販売輸出するとともに、国内外の展示会において、各種テレビゲーム機を出品し、その名はテレビゲーム業界において広くいきわたつているが、昭和五六年一一、一二月ころからテレビ型ゲームマシン「STRATEGY X」を販売し、その際別紙目録(四)記載の印刷物(操作説明書)を購入者に交付している。
2 右「STRATEGY X」はマイクロ・コンピユーター・システムを利用した影像再生装置によつて、その受像機に映し出される影像を主体として、遊戯者が一定の操作をすることによつて遊戯するテレビゲームマシンの一種であり、その影像及び内容は前記著作権に基づく請求の請求原因1に記載のとおりであつて、その遊戯方法及び影像とその変化の形態は不正競争防止法1条1項1号の他人の商品たることを示す表示にあたる。
3 原告は、ゲームの内容につき日常から多数のアイデアを考察し、常に新ゲームの商品化を目ざしているところ、昭和五六年二月職員の考案にかかる本件テレビゲームを商品化することを決し、以降技術陣、資本を投入してその研究、開発を進め、これに「STRATEGY X」の商品名を与え、同年一〇月商品として完成させた。そして、原告は、同月六日より開かれた東京アミユーズメント・マシーン・シヨーにおいて、「STRATEGY X」を展示公開した後、同年一一月より北アメリカ向け輸出を行い、同年一二月二〇日より国内販売を始めた。右販売直後、業界紙「ゲームマシン」(同年一二月一日号、同月一五日号)、日刊スポーツ新聞(一二月二八日、二九日号)、業界雑誌コインジヤーナル(昭和五七年一月号)等にその広告宣伝をなし、同時に、本件ゲームが原告のオリジナル商品であつて無断製造販売をしないよう求める警告をなした。本件ゲームは、ゲームセンターにおいて人気機種一番に掲げられるなど好評を博している。
これらの紹介、宣伝と原告商品の特殊性と新規性により原告商品の受像機に映し出される各種影像とその変化の形態及び遊戯方法は、原告商品の表示として日本国内において広く認識されるようになつた。
4 被告は別紙目録(一)記載の「STRONG X」と題する別紙目録(二)記載のPC基板(以下「本件PC基板」という)を製造販売している。右販売にあたり、被告はその製作にかかる別紙目録(三)記載の印刷物(以下「本件印刷物」という)を購入者に交付している。
5 本件PC基板と本件印刷物が原告のそれと類似していることは、著作権に基づく請求の請求原因6(一)記載のとおりである。
6 被告の「STRONG X」のテレビゲームマシンの影像、影像の変化及び遊戯方法は原告の「STRATEGY X」のテレビゲームマシンのそれらと類似しており商品の混同を生じせしめるものであり、被告がこれを販売することにより原告の商品の売れ行き不振、利益減少が生じ、原告の営業上の利益が著しく害されるおそれがあることは明らかである。
7 被告の故意又は過失に基づく前記不正競争行為により原告の営業上の利益が害されたものであるから、被告は、原告に対し、右行為により原告が蒙つた損害を賠償すべき義務がある。そして原告の損害額は著作権に基づく請求の請求原因8記載のとおりである。
8 被告は今後本件PC基板(本件印刷物を含む)を製造、使用、販売、頒布又は輸出するおそれがある。
(結語) よつて、原告は被告に対し、主位的に著作権及び著作権侵害に基づき、予備的に不正競争防止法1条1項1号1条の2・一項に基づき、本件PC基板(本件印刷物を含む)の製造、使用、販売、頒布又は輸出の差止を求めると共に損害金の内金として五〇〇〇万円及びこれに対する不法行為の日の後で本訴状送達の日の翌日である昭和五七年六月二五日から支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二 請求原因に対する認否(著作権に基づく請求に対する認否)1 請求原因1の事実のうち、「STRATEGY X」のゲーム内容は認め、その余の事実は不知。
2 同2の事実は認める。
3 同3、4の事実は否認する。
4 同5の事実は認める。
5 同6(一)の事実のうち被告の「STRONG X」のゲーム内容が、原告の「STRATEGY X」と同一であること及び本件印刷物が原告指摘の点を除き原告のそれと同一であることは認め、その余の事実は否認する。
同6(二)(三)の各事実は否認する。
6 同7ないし9は争う。
(不正競争防止法に基づく請求に対する認否)1 請求原因1の事実は不知。
2 同2の事実のうち「STRATEGY X」のゲーム内容は認め、その余は争う。
3 同3の事実は不知。
4 同4の事実は認める。
5 同5の事実のうち、被告の「STRONG X」のゲーム内容が原告の「STRATEGY X」と同一であること及び本件印刷物が原告指摘の点を除き原告のそれと同一であることは認め、その余の事実は否認する。
6 同6ないし8は争う。
三 被告の主張1「STRATEGY X」と題するテレビゲームには創作性はない。
(一) わが国において、テレビゲームが一挙に盛んになつたのは、昭和五三年ころ製造販売された「インベーダー」ゲーム以来であるが、その後製造販売されたものは、「スペースもの」、「コミツクもの」、「迷路もの」、「戦車もの」等の基本型に分類でき、基本の型さえ心得ておれば多少の専門的知識により何人も容易にその変型は考え得るもので、変型されたものの表現には創作性がないといわなければならない。
(二) 「STRATEGY X」はいわゆる戦車ものに属するものであり、原告が右ゲームマシンを製造販売する以前に、原告以外のメーカーにより次のようなものが製造発売されている。
(1) 「戦国自衛隊」 これは昭和五五年五月一日ユニバーサル販売株式会社から発売され、プレイヤーが自分の戦車を駆動させ攻めてくる敵戦車を迎撃するもので、まず、敵戦車が上部に並んでゲームはスタートし、敵軍はプレイヤーの戦車に向つて直撃、包囲、奇襲などさまざまなパターンで攻撃してくる敵戦車を砲撃により破壊して得点を競うゲームである。
(2) 「マツドマツクス」 これは、昭和五五年一一月データーイースト株式会社から発売され、モーターバイクに乗つたライダーを面画中央にある曲りくねつた道路を前進させるもので、このバイクを順次前から或いは後からぶつかつてきたり、追いかけてくる数台の他のバイクを、左右に或いはバイクのスピードを調整して避けて目的物に致達することを内容とするものである。
(3)「スターレイカー」(別名ボーダーライン) これは昭和五六年五月株式会社セガエンタープライゼスから発売され、スペースタンクを画面中央にある道路を前進させ、この道路の脇から攻撃してくる敵機を打ち落とし、或いはこれをかわしながら、道路先端にある自軍陣地に致達することを内容とするものである。
(三) 以上(1)ないし(3)のゲームの内容と本件ゲームの内容を比較すると、(1)ないし(3)を参考にすれば、多少の専門的知識により容易に本件ゲームを作成でき、したがつて本件ゲームには著作権法にいう創作性はない。
ちなみにコンピユータープログラムのうちことゲーム機に関するかぎりは、これが僅か半年程度の寿命で、次々と新しいゲームを発売しなければならないために、
複雑な手順によらずキヤラクターパターン作成機で、ゲームに登場する戦車その他の動くものの図柄を確定、ロムシユミレーターにゲームの展開等その内容のデーターを打ち込み、これと連動されたデバツグマシン(虫取り機)に画像を表示させ、
これを見ながら必要な加除訂正を行い、短期間簡単な方法で作成されるのである。
2 本件テレビゲームの影像は、映画の著作物ではない。
著作権法2条3項によれば、映画の著作物というためには、それが物に固定されていなければならないとされる。ところでテレビゲームの影像はプレイヤーのレバー操作によつて顕出されるが、それはプレイヤーの操作技術の巧拙により、或いは瞬間的に、或いは多少の時間永続するか、いずれにせよプレイヤーによつてゲームごとに新しい影像が顕出され順次内容に応じた影像が創り出されるのであり、決して固定されたものではない。
したがつて、本件テレビゲームの影像は前記固定の要件を欠くので著作物ではない。
3 不正競争防止法1条1項1号に基づき保護されるものはわが国において広く認識された商品の表示である。
ところが、戦車を主体とする各種影像とゲームの進行に応じたこれら影像の変化は、まさにゲームの内容そのもので、それ自体は原告の商品たることを示すものではない。そればかりか、原告が本件テレビゲームを発売してから間なしにこれと同種の内容をもつた被告らの製品が販売され市場に出回つたものであるから、その後も原告の商品出所機能を備えることなく、現在に至つたものである。
仮に本件テレビゲームが原告の商品表示の機能を備えたとしても、原告がこれを販売しはじめた昭和五六年一二月二〇日から間なしに被告もこれと同様のテレビゲーム機を販売しはじめたのであるから、原告の本件テレビゲームがわが国において広く認識されたものとは到底考えられない。
四 原告の反論 原告はオリジナル・テレビゲームについてはすべて別紙目録(五)記載のような手順で開発しており、そのための労力、時間、資金は莫大なものであり、オリジナルゲームを開発しても本件の如くコピー製品がすぐ出回れば莫大な損害を受けるのである。
被告はゲーム機については短期間簡単な方法でプログラムが作成されると主張するが、被告の主張の方法(被告主張1(三)参照)はまさにコピー業者の方法である。即ち、コピー業者は原告が右に述べたような複雑な手順によらずオリジナルメーカーの開発したPC基板一台を入手し、デバツクマシンに画像を表示させこれを見ながらゲームのタイトル、製作者名等を変更、消去等加除訂正し、短期間(一ないし三週間)に複製するのである。被告がコピー業者であることは被告の右主張自体によつても明らかであるといわざるを得ない。
証拠(省略)
理 由(著作権に基づく請求について)一 請求原因1の事実のうち本件ゲームの内容が原告主張のとおりであること及び請求原因2の事実(テレビゲームマシンの構造、本件プログラムとROMの説明)は当事者間に争いがない。
成立に争いのない甲第三号証の一、証人【A】の証言により真正に成立したと認められる甲第八号証、同第一〇号証、同第一二号証、証人【B】の証言により真正に成立したと認められる甲第一一号証、証人【A】、同【B】の各証言によれば、
原告が「STRATEGY X」のテレビゲームマシンを製造販売し、その購入者に別紙目録(四)記載の印刷物を交付している事実が認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
二1 前記甲第八号証、同第一〇号証、同第一二号証、証人【A】の証言及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる。
(一) 本件プログラムは、本件ゲームの内容の原告商品の受像機面上に映し出すことを目的とするものであり、右ゲームの内容は味方の戦車が、敵方の攻撃を避けながら、順次砲台、地雷等の敵方攻撃手段防禦手段を味方戦車の砲撃により破壊し、途中味方戦車が燃料補給を受けつつ、敵陣を突き進み、敵本拠地破壊を最終目的としており、影像とその変化はこれまでのテレビゲームマシンには見られなかつたものであり独創性を有する(被告は当時被告主張1(二)(1)ないし(3)のテレビゲームが存在した旨主張するが右事実につき何ら立証しない)。
(二) 本件プログラムは、まず戦車が砲台を回して敵をつぶしてゆく、画面が上から下へ流れる、火薬庫やジープを配置するなどのアイデアを取捨選択して原案を作成し、右原案を基板の能力と突き合わせて企画案を作成し、フローチヤートに基づいてコンピユーターに対する各種の情報及び命令並びにその組合わせをアツセンブリ言語を用いて作成するといつた一連の手続を経て作成されたものであり、右のためには電子工学、数学等の知識を前提とする論理的思考を必要とし、右情報、命令及びその組合わせはプログラム作成者によつて個性的な相違を生ずる。
2 右の事実によれば、本件プログラムは、本件ゲームの内容を受像機面上に映し出すことを目的とするもので、右目的達成のためにゲームの内容を決定しこの決定された内容に従つてコンピユーターに仕事をさせるための各種の情報及び命令並びにその組合わせをアツセンブリ言語を用いて表現したものであるということができ、したがつて、本件プログラムにはその情報及び命令の組合わせ方にプログラムの作成者の学術的思想が表現され、かつ、その組合わせ方及びその表現はプログラムの作成者によつて個性的な相違があるので、本件プログラムは思想を創作的に表現したものであつて、学術の範囲に属するものであり著作物にあたると認められる。
三 証人【A】の証言及び弁論の全趣旨によれば、請求原因4の事実(原告が著作権を有すること)が認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
四 請求原因5の事実(被告が本件PC基板を製造販売し、本件印刷物を交付していること)は当事者間に争いがない。
五1 被告の本件PC基板のゲームの内容が原告のそれと同一であること及び本件印刷物が原告主張の点を除き原告のそれと同一であることは当事者間に争いがない。
2 右事実及び前記甲第三号証の一、成立に争いのない甲第三号証の二、前記甲第八ないし第一〇号証、同第一二号証、証人【A】、同【B】の各証言によれば次の事実が認められる。
(一) 原告及び被告の各オブジエクト・プログラムを対比するとその相違部分は別紙目録(六)記載のプログラム比較表記載のとおりであり、具体的には「STRATEGY X」が「STRONG X」に(同表A参照)、「(C)KONAMI 1981」が「1982」(同表@参照)と変更されているのみであり、本件ゲームの内容に関する部分は全く同一であること、印刷物も被告のそれは、「STRATEGY X」が「STRONG X」に変更され、「KONAMI(R)」の表示がなく、「あそびかた」の文字が加入され、色彩が多少変つているほかは全く同じである。
(二) 被告代表者は本件PC基板等の製造販売等の差止を求める仮処分の審尋の際原告のコピーと知つて本件PC基板を販売した旨述べている。
(三) ROMからロムライターを用いてオブジエクト・プログラムを取り出し、
ゲーム名、製造会社名を加除訂正しその余のゲーム内容に関する部分はそのままにして他のROMに収納することは容易であり機械的にできる。
右各事実及び弁論の全趣旨を総合すると、被告は原告のROMに収納されているオブジエクト・プログラムをロムライター等を用いて取り出し、その一部を改変して被告の本件PC基板のROMに収納した事実が推認され、右認定を左右するに足りる証拠はない。
3 そこで被告の右行為が本件プログラムを複製したものであるか否かにつき判断する。
証人【A】の証言によれば、本件オブジエクト・プログラムは本件プログラムに用いられているアツセンブリ言語を開発用コンピユーターを用いて機械語に変換し、ROMに収納したものであり、右変換は機械的に行われることが認められ、そうすると本件オブジエクト・プログラムは本件プログラムの複製物にあたるということができる。そして、前記認定の、被告が本件オブジエクト・プログラムを原告のROMから取り出し、その一部を改変して本件PC基板のROMに収納する行為は、結局本件プログラムの複製物を有形的に再製するものとして本件プログラムの複製に該当するというべきである。
4 ところで、オブジエクト・プログラムが収納されているROMはCPU、IC等と機能的に不可分一体となつて本件PC基板に装着されており(弁論の全趣旨)、本件印刷物は本件PC基板の付属物と認められるから(前記甲第三号証の二)、原告は本件印刷物を含めた本件PC基板について差止を求めることができる。
そして弁論の全趣旨によれば被告は本件PC基板(本件印刷物を含む)を今後製造、使用、販売、頒布、輸出するおそれがあるものと認めるのが相当である。
六 以上の事実と弁論の全趣旨によれば、被告代表者には、原告の本件プログラムについての著作権侵害につき少なくとも過失があつたものと推認できる。したがつて、被告はこの侵害行為によつて原告の蒙つた損害を賠償すべき義務がある。
七 成立に争いのない甲第四、五号証、同第六号証の一ないし三、同第七号証、前記甲第一一号証、証人【B】の証言によれば、原告は昭和五六年九、一〇月ころ開催された東京アミユーズメント・マシーン・シヨウに「STRATEGY X」を出品し、七〇〇〇台を販売予定し、同数の仮注文も受け、PC基板等の部材を購入し準備していたこと、しかし実際には二〇〇〇台しか販売できなかつたこと、本件PC基板は原告のROMの複製物であり、被告は本件PC基板を原告より安値で販売し、また本件PC基板を販売したのは被告のみであることが認められ、以上の事実を総合すると、被告の行為がなければ原告は七〇〇〇台の本件ゲームの基板を販売できたことが推認され、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
そうすると、原告は被告の行為により現実に販売した二〇〇〇台を差し引いた五〇〇〇台のテレビゲームのPC基板の販売利益を喪失したものということができ、
原告の基板一つにつき純利益は四万四〇〇〇円であるから(証人【B】の証言)、
その販売利益合計は二億二〇〇〇万円であり、これが原告の損害額となる。
(結論) よつて、原告の被告に対する本件PC基板(本件印刷物を含む)の製造、
使用、販売、頒布、輸出の差止並びに損害金五〇〇〇万円及びこれに対する不法行為の日の後である昭和五七年六月二五日から支払済に至るまで年五分の割合による金員の支払を求める請求はその余の点につき判断するまでもなく理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法89条を、仮執行宣言につき同法196条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。
裁判官 潮久郎
裁判官 鎌田義勝
裁判官 徳永幸藏
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