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事件 平成 11年 (ワ) 7625号 著作権侵害差止等請求事件
原告 社団法人日本音楽著作権協会右代表者理事 A右訴訟代理人弁護士 北本修二
被告 日経商行株式会社右代表者代表取締役 B
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 1999/11/02
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告は、大阪市<以下略>「サンライトエコー境川店」、大阪市<以下略>「サンライトエコー大正店」、大阪市<以下略>「サンライトエコー住之江店」、神戸市<以下略>「サンライトエコー白川店」において、別添カラオケ楽曲リスト記載の音楽著作物を、次の方法により使用してはならない。
1 カラオケ装置を操作し、若しくは、客に操作させて、伴奏音楽を再生(演奏)すること。
2 カラオケ装置を操作し、若しくは、客に操作させて、伴奏音楽に合わせて客に歌唱させること。
二 被告は、別紙物件目録記載一のカラオケ関連機器を前記「サンライトエコー境川店」から、同目録記載二のカラオケ関連機器を前記「サンライトエコー大正店」から、同目録記載三のカラオケ関連機器を前記「サンライトエコー住之江店」から、同目録記載四のカラオケ関連機器を「サンライトエコー白川店」から、それぞれ撤去せよ。
三 被告は、原告に対し、金四五九五万八五七〇円及び別紙遅延損害金目録一記載の金員を支払え。
四 原告のその余の請求を棄却する。
五 訴訟費用はこれを二〇分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
六 この判決は、第一ないし第三項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
全容
一 原告は、別紙請求の趣旨記載の判決を求め、請求原因として次のとおり述べた。
1 当事者 (一) 原告は、「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」に基づく許可を受けた唯一の音楽著作権仲介団体であり、内外国の音楽著作物の著作権者からその著作権ないし支分権(演奏権、録音権、上映権等)の移転を受けるなどしてこれを管理し(内国著作物についてはその著作権者から著作権信託契約約款により、外国著作物については、著作権条約に加盟する諸外国の著作権仲介団体との相互管理契約による。)、国内のラジオ・テレビの放送事業者をはじめレコード、映画、出版、興業、社交場、有線放送等各種の分野における音楽の利用者に対して音楽著作物の利用を許諾し、利用者から著作物使用料を徴収するとともに、これを内外の著作権者に分配することを主たる目的とする社団法人である。
別添カラオケ楽曲リスト記載の音楽著作物は、いずれも原告が著作権を管理する音楽著作物(以下「管理著作物」という。)であって、カラオケ歌唱室(いわゆるカラオケボックス)において、日常的に反復使用されている楽曲である。
(二) 被告は、平成三年八月八日以降、大阪市<以下略>「サンライトエコー境川店」において、平成四年九月三〇日以降、大阪市<以下略>「サンライトエコー大正店」において、平成五年七月一二日以降、大阪市<以下略>「サンライトエコー住之江店」において、平成元年一二月一六日以降、神戸市<以下略>「サンライトエコー白川店」において、それぞれ、カラオケ歌唱室の営業を行っている(以下、これら四店舗を併せて「本件各店舗」という。)。
2 カラオケの使用状況等 (一) 前記「サンライトエコー境川店」には、カラオケ歌唱に使用される歌唱室が二七室設置されており、うち一部屋の定員が一〇名までの部屋は二一室、一部屋の定員が一〇名を超え三〇名までの部屋は六室あるが、いずれもビデオカラオケが用いられている。
そして、同店舗には、別紙物件目録記載一のカラオケ関連機器一式、すなわち、通信カラオケ機器一式(受信・再生・配信装置)、リモコン装置、アンプ、
コマンダー、モニターテレビ、マイク、スピーカー等が設置されている。
(二) 前記「サンライトエコー大正店」には、カラオケ歌唱に使用される歌唱室が一七室設置されており、いずれも一室の定員が一〇名までの部屋であって、ビデオカラオケが用いられている。
そして、同店舗には、別紙物件目録記載二のカラオケ関連機器一式、すなわち、通信カラオケ機器一式(受信・再生・配信装置)、リモコン装置、アンプ、
コマンダー、モニターテレビ、マイク、スピーカー等が設置されている。
(三) 前記「サンライトエコー住之江店」には、カラオケ歌唱に使用される歌唱室が一六室設置されており、いずれも一部屋の定員が一〇名までの部屋であって、ビデオカラオケが用いられている。
そして、同店舗には、別紙物件目録記載三のカラオケ関連機器一式、すなわち、通信カラオケ機器一式(受信・再生・配信装置)、リモコン装置、アンプ、
コマンダー、モニターテレビ、マイク、スピーカー等が設置されている。
(四) 前記「サンライトエコー白川店」には、カラオケ歌唱に使用される歌唱室が一七室設置されており、うち、一部屋の定員が一〇名までの部屋は一六室、一部屋の定員が一〇名を超え三〇名までの部屋は一室であるが、いずれも、ビデオカラオケが用いられている。
そして、同店舗には、別紙物件目録記載四のカラオケ関連機器一式、すなわち、通信カラオケ一式(受信・再生・配信装置)、リモコン装置、アンプ、コマンダー、モニターテレビ、マイク、スピーカー等が設置されている。
(五) そして、本件各店舗では、従業員らが来店した客をカラオケ関連機器を設置した各歌唱室に案内し、飲食を提供するとともに前記カラオケ関連機器を操作させ、管理著作物を再生し、また、伴奏音楽に合わせて客に歌唱させている。
3 著作権の侵害 (一) 原告の許諾を受けることなく、カラオケ関連機器を使用してカラオケ歌唱室において行う管理著作物の再生(演奏)・歌唱は、著作権の支分権の一つである演奏権を侵害する(著作権法22条)。
(二) 本件各店舗のようなカラオケ歌唱室において、管理著作物を再生(演奏)する場合はもちろん、客がカラオケ関連機器を使って歌唱する場合についても当該音楽著作物の利用主体は、その経営者である。最高裁判所第三小法廷昭和六三年三月一五日判決(クラブキャッツアイ事件、民集四二巻三号一九九頁)は、カラオケスナックにおける顧客の歌唱につき、当該スナックの経営者が管理著作物の利用主体であることを判示したが、この理は、カラオケ歌唱室の場合においても異なるものではない。
すなわち、被告は本件各店舗の各歌唱室内にカラオケ装置を設置して客がカラオケ装置を操作できるようにしており、来店した客を各歌唱室に案内し、求められればカラオケ装置の操作方法を説明する。
被告は、各歌唱室ごとにマイク及び歌詞付き楽曲を掲載した索引リストを備え付け、客の利用に供しており、客は被告が指定した特定の歌唱室において被告が許容した時間内でのみ歌唱することが認められ、また、客が歌唱する曲目は被告が用意した曲目の範囲内に限定されているのであるから、客は被告の管理の下に歌唱しているものである。
そして、被告は客に歌唱させること自体により、直接的に営業上の利益を得ている。
本件各店舗において、客は被告の管理の下に歌唱し、被告は客に歌唱させることにより営業上の利益を得ているのであって、客による歌唱について被告がその主体である。
(三) 本件各店舗における管理著作物の再生(演奏)及び客の歌唱について被告がその主体であり、本件各店舗に来店する個々の客は被告にとって不特定の者であるから、被告は公衆に直接聞かせることを目的として、管理著作物を利用している。
被告は、本件各店舗において、別紙物件目録記載一ないし四のカラオケ関連機器を使って、公に、管理著作物を再生(演奏)し、また、客に歌唱させているのである。
(四) カラオケ装置における適法録音物の再生(演奏)は、「営利を目的として音楽の著作物を使用する事業で政令で定めるもの」、すなわち、著作権法施行令附則3条各号に該当するものにおいて行われるものを除き、当分の間自由に行い得るとされている(著作権法附則14条。なお、平成一一年六月の国会において、附則14条の廃止を含む著作権法改正が成立しているが、施行は平成一二年の見込みである。)。
しかし、被告は、本件各店舗において飲食物を提供しているから、本件各店舗の営業は、著作権法施行令附則3条1号にいう「喫茶店その他客に飲食をさせる営業」に該当する。
そして、本件各店舗においては、各歌唱室ごとに防音構造となっていて音響効果が高められており、備え付けられたカラオケ装置は業務用の通信カラオケ装置であって高性能のものであるから、被告は著作権法施行令附則3条1号にいう「客に音楽を鑑賞させるための特別の設備を設けているもの」に該当する。
さらに、被告は、本件各店舗がカラオケ歌唱室の営業であることを広告しているから、「客に音楽を鑑賞させることを営業の内容とする旨を広告し」ているものに該当する。
したがって、本件各店舗の営業は、著作権法施行令附則3条1号所定の事業に該当するから著作権法附則14条の適用はない。
(五) ところが、被告は、平成三年八月八日以降前記「サンライトエコー境川店」において、平成四年九月三〇日以降前記「サンライトエコー大正店」において、平成五年七月一二日以降前記「サンライトエコー住之江店」において、平成元年一二月一六日以降前記「サンライトエコー白川店」において、それぞれ、原告の許諾を得ることなく、別紙物件目録記載一ないし四のカラオケ関連機器を使って管理著作物を再生(演奏)して客に歌唱させる営業を行い、管理著作物の著作権を侵害している。
(六) よって、原告は、被告に対し、著作権法112条1項に基づき、カラオケ関連機器を用いる管理著作物の再生(演奏)及び歌唱を差し止める請求権を有する。
また、別紙物件目録記載一ないし四のカラオケ関連機器は著作権法112条2号の「もっぱら侵害の行為に供された機械若しくは器具」に該当するので、原告は、同項の「廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置」として、被告に対し、別紙物件目録記載一ないし四のカラオケ関連機器一式を本件各店舗から撤去することを求める権利を有する。
4 損害賠償請求 (一) 原告は、被告が本件各店舗において原告の許諾を得ることなく別紙物件目録記載一ないし四のカラオケ関連機器を使って管理著作物を演奏し、原告の著作権をそれぞれ侵害したことにより、平成一一年六月三〇日までに少なくとも使用料相当額の損害を被った(著作権法114条2項)。
右損害額の算定は、以下の基準による。
(二) 平成九年八月一〇日までは、昭和五九年六月一日認可の著作物使用料規程第二章第二節演奏等3の「演奏会以外の催物における演奏(7)その他の演奏」の規定に基づき定められた「カラオケ歌唱室の使用料率表」により、カラオケ歌唱室の使用料は、
(1) オーディオカラオケによる使用のときは一部屋の定員が一〇名までの場合一部屋月額金三〇〇〇円、一部屋の定員が一〇名を超え三〇名までは一部屋月額金六〇〇〇円、
(2) ビデオカラオケによる使用のときは一部屋の定員が一〇名までの場合一部屋月額金四〇〇〇円、一部屋の定員が一〇名を超え三〇名までは一部屋月額金八〇〇〇円、
と定められており、消費税相当分(平成九年三月まで三パーセント、平成九年四月以降五パーセント)が加算される。
(三) 平成九年八月一一日、文化庁長官は、著作物使用料規程の一部変更を認可し、同日、施行された。
同規程第二章第二節演奏等4「カラオケ施設における演奏等(1)」により、
カラオケ歌唱室における同日以降の著作物使用料は、一部屋の定員が一〇名までの場合一部屋月額金九〇〇〇円、一部屋の定員が一〇名を超え三〇名までは一部屋月額金一万八〇〇〇円となり、これにより算定した金額に消費税相当額を加算した金額が使用料額となる。
なお、備考Dにより、当分の間、年間の包括的許諾契約を結ぶときは、旧の使用料率表と同額とされている。
(四) 前記「サンライトエコー境川店」には、一部屋の定員が一〇名までの歌唱室が二一室あり、一部屋の定員が一〇名を超え三〇名までの歌唱室が六室あって、いずれも、ビデオカラオケが利用できる。右「サンライトエコー境川店」の平成三年八月八日から平成一一年六月三〇日までの使用料相当損害金の算定は、別紙1のとおりである。
(五) 前記「サンライトエコー大正店」には、一部屋の定員が一〇名までの歌唱室が一七室あり、いずれも、ビデオカラオケが利用できる。右「サンライトエコー大正店」の平成四年九月三〇日から平成一一年六月三〇日までの使用料相当損害金の算定は、別紙2のとおりである。
(六) 前記「サンライトエコー住之江店」には、一部屋の定員が一〇名までの歌唱室が一六室あり、いずれも、ビデオカラオケが利用できる。右「サンライトエコー住之江店」の平成五年七月一二日から平成一一年六月三〇日までの使用料相当損害金の算定は、別紙3のとおりである。
(七) 前記「サンライトエコー白川店」には、一部屋の定員が一〇名までの歌唱室が一六室あり、一部屋の定員が一〇名を超え三〇名までの歌唱室が一室あって、いずれも、ビデオカラオケが利用できる。右「サンライトエコー白川店」の平成元年一二月一六日から平成一一年六月三〇日までの使用料相当損害金の算定は、
別紙4のとおりである。
(八) したがって、本件各店舗における無許諾営業により、原告が被った使用料相当損害金の各月ごとの合計は、次のとおりとなり、その合計は金四一九五万八五七〇円である。
平成元年一二月 三万八二七〇円 平成二年一月から平成三年七月まで 毎月各 七万四一六〇円 平成三年八月 一七万九四一〇円 平成三年九月から平成四年八月まで 毎月各二一万〇一二〇円 平成四年九月 二一万二四五〇円 平成四年一〇月から平成五年六月まで 毎月各二八万〇一六〇円 平成五年七月 三二万二六八〇円 平成五年八月から平成九年三月まで 毎月各三四万六〇八〇円 平成九年四月から平成九年七月まで 毎月各三五万二八〇〇円 平成九年八月 六五万一五二〇円 平成九年九月から平成一一年六月まで 毎月各七九万三八〇〇円 (九) そして、原告は本件訴訟提起を弁護士に依頼せざるを得なかった。
本請求は平成元年一二月一六日から平成一一年六月三〇日までの使用料相当損害金四一九五万八五七〇円及び演奏差止、カラオケ関連機器撤去等を含むものであり、そのための弁護士費用は金七〇〇万円を下らない。
5 結論 よって、原告は被告に対し、著作権法112条に基づき、別紙物件目録記載のカラオケ関連機器を用いる別添カラオケ楽曲リスト記載の音楽著作物の使用の差止めと右カラオケ関連機器を本件各店舗から撤去することを求めるとともに、損害賠償として、
(一) 本件各店舗における平成元年一二月一六日から平成一一年六月三〇日までの使用料相当損害金の合計四一九五万八五七〇円 (二) 右(一)の各月ごとの損害に対する各翌月一日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による別紙遅延損害金目録二記載の遅延損害金 (三) 弁護士費用七〇〇万円及び訴状送達の日の翌日である平成一一年七月二九日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金(別紙遅延損害金目録二記載) の各支払を請求する。
二 被告は、適式の呼出しを受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、
これを自白したものとみなす。
三 右事実によれば、被告の行為により原告が被った使用料相当損害金の合計額は、四一九五万八五七〇円であり、原告の本訴請求は、右金員の請求に加えて、演奏差止、カラオケ関連機器撤去等を求めるものであるところ、本件事案の内容、審理経過及び認容額等の諸事情に鑑み、原告の本訴追行に要した弁護士費用は、四〇〇万円をもって相当と認める。
四 よって、原告の本訴請求は、主文第一ないし第三項の限度で理由がある。
(平成一一年一〇月一九日口頭弁論終結)
追加
(別紙)請求の趣旨一被告は、大阪市<以下略>「サンライトエコー境川店」、大阪市<以下略>「サンライトエコー大正店」、大阪市<以下略>「サンライトエコー住之江店」、
神戸市<以下略>「サンライトエコー白川店」において、別添カラオケ楽曲リスト記載の音楽著作物を、次の方法により使用してはならない。
1カラオケ装置を操作し、若しくは、客に操作させて、伴奏音楽を再生(演奏)すること。
2カラオケ装置を操作し、若しくは、客に操作させて、伴奏音楽に合わせて客に歌唱させること。
二被告は、別紙物件目録記載一のカラオケ関連機器を前記「サンライトエコー境川店」から、同目録記載二のカラオケ関連機器を前記「サンライトエコー大正店」から、同目録記載三のカラオケ関連機器を前記「サンライトエコー住之江店」から、同目録記載四のカラオケ関連機器を「サンライトエコー白川店」から、それぞれ撤去せよ。
三被告は、原告に対し、金四八九五万八五七〇円及び別紙遅延損害金目録二記載の金員を支払え。
裁判長裁判官 小松一雄
裁判官 渡部勇次
裁判官 水上周
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