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事件 平成 12年 (ラ) 134号 各著作権仮処分命令申立却下決定に対する抗告申立事件
抗告人(原審両事件債権者) 【A】 抗告人(原審両事件債権者) 【B】 抗告人(原審両事件債権者) 【C】 抗告人(原審両事件債権者) 【D】 抗告人(原審両事件債権者) 【E】こと 【F】 抗告人(原審両事件債権者) 【G】こと 【H】 抗告人(原審甲事件債権者) 【I】 抗告人(原審乙事件債権者) 【J】 抗告人(原審乙事件債権者) 【K】こと 【L】 右九名訴訟代理人弁護士 藤原宏高
同 井奈波 朋子
同 堀籠佳典
同訴訟復代理人弁護士 九石拓也
相手方(原審両事件債務者) 株式会社文溪堂 右代表者代表取締役 【M】 右訴訟代理人弁護士 石田英遠
相手方(原審両事件債務者) 青葉出版株式会社 右代表者代表取締役 【N】
相手方(原審両事件債務者) 株式会社日本標準 右代表者代表取締役 【O】
相手方(原審両事件債務者) 株式会社教育同人社 右代表者代表取締役 【P】
相手方(原審両事件債務者) 株式会社新学社 右代表者代表取締役 【Q】
相手方(原審両事件債務者) 株式会社光文書院 右代表者代表取締役 【R】 右五名訴訟代理人弁護士 岡邦俊
同 近藤夏
同 前田哲男株式会社日本標準訴訟代理人弁護士 斉藤義雄
同 朝倉正幸
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2000/09/11
権利種別 著作権
訴訟類型 民事仮処分
主文 一 原決定を次のとおり変更する。
1 各抗告人において、それぞれ、本決定告知の日から一〇日以内に、いずれかの相手方のために金一〇万円の保証を立てたときは、当該相手方は、別紙決定作品目録一、二の当該抗告人に係る欄に記載された各著作物の文章の全部又は一部を、上段枠内に抜粋して又は一部変更を加えて複製し、下段に上段枠内の文章を題材とした設問と解答欄を設ける(解答欄に模範解答を記入しているものも含む)形式により、平成一二年度二学期及び三学期小学校用国語副教材並びに平成一三年度一学期、二学期及び三学期用小学校用国語副教材として、小学校において配布することを目的として作成される文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
2 抗告人らのその余の申立てをいずれも却下する。
二 申立費用は、原審、抗告審を通じてこれを二分し、その一を抗告人らの、その余を相手方らの負担とする。
事実及び理由
申立て
一 抗告人ら 1 原決定を取り消す。
2(1) 相手方株式会社文溪堂は、原決定別紙副教材目録(以下、単に「別紙副教材目録」という。)二記載の各副教材中、「債務者」欄に「文溪堂」との記載のある各副教材並びに原決定別紙文書目録(以下、単に「別紙文書目録」という。)一、二記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(2) 相手方青葉出版株式会社は、別紙副教材目録二記載の各副教材中、「債務者」欄に「青葉出版」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録一、二記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(3) 相手方株式会社日本標準は、別紙副教材目録二記載の各副教材中、「債務者」欄に「日本標準」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録一、二記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(4) 相手方株式会社教育同人杜は、別紙副教材目録二記載の各副教材中、
「債務者」欄に「教育同人」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録一、二記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(5) 相手方株式会社新学杜は、別紙副教材目録二記載の各副教材中、「債務者」欄に「新学社」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録一、二記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(6) 相手方株式会社光文書院は、別紙副教材目録二記載の各副教材中、「債務者」欄に「光文書院」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録一、二記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
3(1) 相手方株式会社文溪堂の、別紙副教材目録二記載の各副教材中、「債務者」欄に「文溪堂」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
(2) 相手方青葉出版株式会社の、別紙副教材目録二記載の各副教材中、「債務者」欄に「青葉出版」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
(3) 相手方株式会社日本標準の、別紙副教材目録二記載の各副教材中、「債務者」欄に「日本標準」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
(4) 相手方株式会社教育同人杜の、別紙副教材目録二記載の各副教材中、
「債務者」欄に「教育同人」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京
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(5)相手方株式会社新学杜の、別紙副教材目録二記載の各副教材中、「債務者」欄に「新学社」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
(6)相手方株式会社光文書院の、別紙副教材目録二記載の各副教材中、「債務者」欄に「光文書院」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
4(1)相手方株式会社文溪堂は、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「文溪堂」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録三記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(2)相手方青葉出版株式会社は、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「青葉出版」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録三記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(3)相手方株式会社日本標準は、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「日本標準」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録三記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(4)相手方株式会社教育同人杜は、別紙副教材目録三記載の各副教材中、
「債務者」欄に「教育同人」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録三記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(5)相手方株式会社新学杜は、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「新学社」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録三記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
(6)相手方株式会社光文書院は、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「光文書院」との記載のある各副教材並びに別紙文書目録三記載の各文書の印刷、出版、販売又は頒布をしてはならない。
5(1)相手方株式会社文溪堂の、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「文溪堂」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
(2)相手方青葉出版株式会社の、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「青葉出版」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
(3)相手方株式会社日本標準の、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「日本標準」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
(4)相手方株式会社教育同人杜の、別紙副教材目録三記載の各副教材中、
「債務者」欄に「教育同人」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
(5)相手方株式会社新学杜の、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「新学社」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
(6)相手方株式会社光文書院の、別紙副教材目録三記載の各副教材中、「債務者」欄に「光文書院」との記載のある各副教材に対する占有を解いて、東京地方裁判所執行官にその保管を命ずる。
6申立費用は、原審、抗告審を通じて相手方らの負担とする。
二相手方ら本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人らの負担とする。
第二事案の概要以下、本決定においては、抗告人のうち、【E】こと【F】を「【E】」と、【G】こと【H】を「【G】」と、【K】こと【L】を「【K】」と表示し、
【S】こと【T】を「【S】」と表示する。
また、原決定別紙著作物目録一の著作物番号5ー2に係る著作物名を「おてがみ」に、同目録二の著作物番号2ー5、4ー5、6ー4、9ー2に係る各著作物名を、順次「とうちゃんの凧」、「みすゞさがしの旅」、「わらぐつの中の神さま」、「くま一ぴきぶんはねずみ百ぴきぶんか」に改めたうえ、右各目録記載の各著作物を、各目録の著作物番号欄の番号に従って、「1ー1の著作物」等と表示する。
一本件は、小学校用国語教科書に掲載された各著作物の著作権者である抗告人らが、教科書に準拠した国語テストを制作、販売する相手方らに対し、相手方らが、その制作、販売に係る国語テストの問題として、右各著作物を採録していることが、抗告人らの複製権を侵害するものであるとして、
1平成一一年度二学期用の国語テストの頒布等の差止め及びその執行官保管2平成一一年度三学期用、平成一二年度一学期用、二学期用及び三学期用並びに平成一三年度一学期用、二学期用及び三学期用の国語テストの頒布等の差止めを求める事案である(以下、相手方らが制作、販売する教科書に準拠した国語テストを「本件国語テスト」という。)。
二争いのない事実等(疎明資料の摘記のない事実は当事者間に争いがない。)1抗告人【A】は1ー1、1ー2、1ー6、1ー7、1ー8、1ー9、1ー10、1ー11、1ー12の各著作物の、抗告人【B】は2ー1、2ー2、2ー3、2ー5の各著作物の、抗告人【C】は3ー1、3ー2、3ー3の各著作物の、抗告人【D】は4ー1、4ー2、4ー3、4ー5の各著作物の、抗告人【E】は5ー1、
5ー2、5ー3の各著作物の、抗告人【G】は6ー1、6ー2、6ー3、6ー4、
6ー5、6ー6の各著作物の、抗告人【J】は7ー2の著作物の、抗告人【K】は、9ー2、9ー3、9ー4、9ー5、9ー6の各著作物の著作者であり、その著作権者である。
抗告人【I】は、8ー1の著作物の著作者、かつ、著作権者であった【S】の相続人である。(同抗告人が【S】の相続人であることにつき原審甲事件甲第三号証の一、二)相手方らは、教科書に準拠したテスト等の副教材の制作、販売を行う会社である。
2右1に掲記した各著作物(以下「本件各著作物」という。)は、いずれも詩又は短編童話その他の児童文学作品であり、原決定別紙教科書目録(以下、単に「別紙教科書目録」という。)一ないし四記載のとおり、その全部又は一部(多くの場合、その全部)が、平成八年度版及び平成一二年度版小学校用国語教科書に掲載されている。
なお、平成八年度版教科書は、平成八年度から平成一一年度まで用いられ、また、平成一二年度版教科書は、平成一二年度及び平成一三年度に用いられる。
3相手方らは、その制作した平成一一年度二学期用の本件国語テストに、本件各著作物のうち、別紙副教材目録二記載のとおり、3ー2、5ー2の各著作物を、また、同目録三記載のとおり、3ー3、4ー2、4ー3、5ー1、5ー3、6ー3、6ー5、7ー2、9ー2、9ー3、9ー4の各著作物をそれぞれ採録し、これを販売した。
三争点1相手方らが、本件各著作物の全部又は一部を本件国語テストに採録することが、著作権法32条1項所定の引用に当たるか。
2相手方らが、本件各著作物を本件国語テストに複製することが、著作権法36条1項所定の試験又は検定の問題としての複製に当たるか。
3相手方らによる本件各著作物の全部若しくは一部の引用又は試験若しくは検定の問題としての複製が、抗告人らの著作者人格権を侵害するものであるか。
4本件申立てが権利の濫用に当たるか。
5本件申立てに保全の必要性があるか。
6(相手方株式会社文溪堂との間において)抗告人らと相手方株式会社文溪堂との間に、同相手方による本件国語テストの制作、販売につき、教科書出版会社を抗告人らの代理人として、利用許諾契約が成立したか。
教科書出版会社に右利用許諾契約締結の代理権がなかったとしても、表見代理によって、右利用許諾契約の効力が抗告人らに及ぶか。
第三当裁判所の判断一争点1について1申立ての全趣旨によれば、別紙副教材目録二、三記載の平成一一年度二学期用の本件国語テストについて、次の事実が一応認められる。
(一)別紙副教材目録二、三記載の平成一一年度二学期用の本件国語テストは、それぞれ、特定の教科書出版会社の制作した小学校用国語教科書のうちの、3ー2若しくは5ー2の各著作物(以上は副教材目録二記載の各国語テスト)又は3ー3、4ー2、4ー3、5ー1、5ー3、6ー3、6ー5、7ー2、9ー2、9ー3若しくは9ー4の各著作物(以上は同目録三記載の国語テスト)が掲載された部分(単元)に対応するものとして制作されたものであって、いずれも、一葉の用紙の表裏二面をもって構成されている。その表面の上段には、「次の文章を読んで、
問題に答えなさい。」との文言、その他これと同旨の文言に続き、右各著作物のそれぞれ一部が収録掲載され(ただし、詩である4ー2の著作物についてはその全部が収録されている。また、これを除き、右各著作物のうちの右国語テストに収録された部分は、当該教科書に掲載された部分の一部でもある。)、その収録部分を、
四角の枠で囲んで他の部分と区分してある。表面下段には、当該著作物の収録部分に関する問題が記載され、その解答欄が設けてあり、裏面には、通常、当該著作物の内容と直接関係のない、漢字の読み書きや文法等に関する問題とその解答欄が設けられているが、当該著作物についての感想を記す欄、当該著作物の教科書に掲載された部分であって、当該表面に採録された部分以外の部分の読解等を問う問題文とその解答欄、当該著作物に関連した記事等の欄が含まれているものもある。
(二)表面上段の各著作物の収録部分は、前示のとおり、4ー2の著作物を除き、その一部であり、字数にして概ね二〇〇字前後ないし五〇〇字前後であって、その部分のみでは、各著作物である童話等の全体の構成や筋立てまでは把握しきれないが、当該収録部分のみで表現される情景や登場人物(擬人化された動物等を含む。以下同じ。)の言動、その気持ち・心理等を理解することは可能である。
表面下段の設問は、該収録部分に即した、いわゆる読解に係る問題が大部分であり、該収録部分中の語句を特定するなどして、情景や登場人物の言動等を正確に読み取ることができるか、登場人物がある言動に至った理由や、その気持ち・心理等を理解できるか等を問い、その解答を、直接記載させたり(該収録部分中の語句を用いて記載することを指示するものもある。)、いわゆる穴埋め式により、解答文に設けた空欄を埋めさせたり、選択肢から選ばせたりする形式の問題等で構成されている。その設問の数は、四問ないし九問程度である。
2ところで、公表された著作物を引用して利用することが許容されるためには、その引用が公正な慣行に合致し、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われなければならないとされている(著作権法32条1項)ところ、この規定の趣旨に照らし、ここでいう「引用」とは、一般に、報道、批評、
研究その他の目的で、自己の著作物中に、他人の著作物の原則として一部を採録するものであって、引用する著作物の表現形式上、引用する側の著作物と引用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができるとともに、両著作物間に、引用する側の著作物が主であり、引用される側の著作物が従である関係が存する場合をいうものと解すべきであって、本件国語テストと本件各著作物とに関しても、これと別異に解すべき理由はない。
しかるところ、前示認定のとおり、引用する著作物に当たる平成一一年度二学期用の本件国語テストにおいて、引用される著作物に当たる前示各著作物の一部又は全部は、四角の枠で囲んで他の部分と区分して収録されており、引用する著作物の表現形式上、引用する側の著作物と引用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができるものと一応認めることができる。
しかしながら、前示各著作物の収録部分(表面上段)と設問部分(表面下段)とについて見ると、該各著作物(教科書に掲載された部分)からの国語テストに収録する部分の選定、設問部分における問題の設定及び解答の形式の選択(穴埋め式の解答文や選択肢の設定を含む。)、その配列、問題数の選択等に、児童による教科書の理解及びその理解度の測定等を目的とした、相手方らの創意工夫があることは認められるものの、その場合における教科書の理解とは、具体的には、教科書に掲載された前示各著作物に表現された思想、感情等の理解ということに他ならず、したがって、右問題の設定、配列等における相手方らの創意工夫も、直接には、児童に該各著作物の収録部分を読解させること、すなわち、前示各著作物の一部又は全部に表現された内容それ自体をいかに正確に読み取らせ、また、それをいかに的確に理解させるかという点に収斂するものであって、該各著作物の創作性を度外視してはあり得ないものであると言わざるを得ない。そして、このことに、前示各国語テストにおける前示各著作物の収録部分とそれ以外の部分(表面下段の設問部分及び裏面の設問等の部分)との量的な割合等を併せ考慮した場合には、引用される著作物の部分を、前示各国語テストにおける、各著作物の収録部分(表面上段部分)に限ってみたとしても、引用する側の著作物が主であり、引用される側の著作物が従であるという関係が存するものとは到底認めることができない。
したがって、平成一一年度二学期用の本件国語テストに前示各著作物の一部又は全部を採録したことが、著作権法32条1項所定の引用に当たるとすることはできない。
3前示第二の二の争いのない事実及び申立ての全趣旨によれば、平成一一年度三学期用、平成一二年度一学期用、二学期用及び三学期用並びに平成一三年度一学期用、二学期用及び三学期用の本件国語テストのうち、相手方らが既に制作、販売したものの形式、構成、及び未だ制作、販売してないものについては、向後、制作、販売するとした場合におけるその形式、構成が、右の平成一一年度二学期用の本件国語テストとほぼ同じものであることが一応認められる。
そうすると、右に述べたと同様、平成一一年度三学期用、平成一二年度一学期用、二学期用及び三学期用並びに平成一三年度一学期用、二学期用及び三学期用の本件国語テストに、本件各著作物の全部又は一部を採録することが、著作権法32条1項所定の引用に当たり、又は当たることになるものと認めることはできない。
二争点2について1疎明資料(原審甲事件甲第五四号証、乙第二号証、第二一号証、第二二号証の一ないし五、第三〇号証、第三五号証、丙第五号証)及び申立ての全趣旨によれば、本件国語テストにつき、次の事実が一応認められる。
(一)本件国語テストは、小学校において、教科用図書(教科書)とともに使用することができるとされている「教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なもの」(学校教育21条2項、かかる教材を「図書教材」という。)として用いられているものの一つであり、各小学校ごとに設けられる教材採択委員会等において、特定の制作会社が制作したものが採択され、地方教育行政の組織及び運営に関する法律33条1項に基づいて制定された各教育委員会規則に従い、校長から教育委員会に届出がなされたうえ、購入、使用されるものである。その購入代金は、原則として児童の保護者が負担する。
本件国語テストは、国語教科書の各単元に対応して一回分が制作されており(それ以外に、各学期の「まとめのテスト」がある。)、通常、各学期に六、
七回、これを用いたテストが実施されるものであって、各回分ごとに、児童数に余部一、二部を加えた部数がまとめられ、学期の初めに、その学期で実施される分が各教師に届けられる。
(二)本件国語テストを用いたテストは、学習の進捗状況等に従い、通常は国語教科書の各単元を終了する際に、当該単元に係る分が実施される(学期末、学年末に実施されることもある。)ものであって、教師が、各学級の通常の授業時間内に、一回分を各児童に配布して行わせる。そのため、同一の本件国語テストを用いる同一の小学校の同一学年であっても、学級によって、その実施日、時間が異なることがむしろ通例である。
実施した国語テストは、教師が回収して採点をした後、学習上のコメント等を付すなどしたうえ、各児童に返還される。
(三)小学校において児童ごとに作成される指導要録(平成三年三月二〇日文初小第一二四号の各都道府県教育委員会宛て文部省初等中等局長通知による改訂後のもの)は、児童の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し、指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿としての性格を有するものである。そして、その「各教科の学習の記録」のうちの「観点別学習状況」欄には、小学校学習指導要領に示す各教科の目標に照らして、その実現の状況を観点ごとに評価し、A(十分満足できると判断されるもの)、B(おおむね満足できると判断されるもの)、C(努力を要すると判断されるもの)の記号により、各学年ごとに記入するものとされており、国語については、「国語への関心・意欲・態度」、「表現の能力」、「理解の能力」、「言語についての知識・理解・技能」の各観点が設定されている。また、「各教科の学習の記録」のうちの「評定」欄には、三学年以上の各教科の学習の状況について、教科別に小学校学習指導要領に示す目標に照らし、学級又は学年における位置付けを評価し、2(普通の程度のもの)、3(2より優れた程度のもの)、1(2よりはなはだしく劣る程度のもの)の三段階により、三学年以上の各学年ごとに記入するものとされている。
しかるところ、本件国語テストとともに教師に配布される各制作会社作成の「得点集計表」等の名称が付された一覧表は、児童ごとに、特定の回の国語テストの得点(又はそのうちのある部分の設問に対する得点)を集計することにより、その合計点数によって、「観点別学習状況」欄の各観点(少なくとも「国語への関心・意欲・態度」を除く各観点)のA、B、Cの評価に割り振る仕組みとなっており、また、総得点により「評定」欄の三段階の評価に割り振る基準が記載されたものもある。
(ただし、教師が、右の「観点別学習状況」欄及び「評定」欄に、各児童についての評価を実際に記入する際に、右「得点集計表」等が利用されているかどうか、あるいはどのように利用されているかを認定するに足りる的確な疎明資料はない。)2ところで、公表された著作物は、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製することができるとされ(著作権法36条1項)、また、営利を目的として、該複製を行うものは、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない(同条二項)とされているところ、これらの規定は、入学試験等の人の学識技能に関する試験又は検定にあっては、それを公正に実施するために、問題の内容等の事前の漏洩を防ぐ必要性があり、その問題として著作物を利用する場合には、具体的な設問のみならず、いかなる著作物を利用するかということについても漏洩を避ける必要があることが通常であるから、試験、検定の問題としての著作物の複製について、予め著作権者の許諾を受けることは困難であり、社会的実情にも沿わないこと、及び著作物を右のような試験、検定の問題として利用したとしても、一般にその利用は著作物の通常の利用と競合しないと考えられるから、その限度で著作権を制限しても不当ではないと認められることにより、試験、
検定の目的上必要と認められる限度で、著作物を試験、検定の問題として複製するについては、一律に著作権者の許諾を要しないとするとともに、その複製が、これを行う者の営利の目的による場合には、著作権者に対する補償を要するものとして、利益の均衡を図ることにした趣旨であると解される。
そして、そうであれば、同条一項によって、著作権者の許諾を要せずに、
問題として著作物の複製をすることができる試験又は検定とは、公正な実施のために、試験、検定の問題として利用する著作物が何であるかということ自体を秘密にする必要性があり、その故に、該著作物の複製につき、予め著作権者の許諾を受けることが困難であるような試験、検定をいうものであって、そのような困難性のないものについては、複製につき著作権者の許諾を不要とする根拠を欠くものであり(前示の、試験等の問題として利用することが、著作物の通常の利用と競合しないという点は、同条一項の規定との関係では、試験問題の漏洩防止等、著作物の複製につき著作権者の許諾を不要としなければならない積極的な理由が存する場合に、
著作権者側の利益状況から見ても、そのような著作権の制限をすることが一般的に不当であるとは言えないとの消極的な根拠となるにすぎないものであり、そのことのみで、著作物の複製に著作権者の許諾を不要とするための根拠となり得るものではない。)、同条一項にいう「試験又は検定」に当たらないものと解するのが相当である。
しかるところ、前示1の認定事実及び一の1の各認定事実に、別紙副教材目録二、三記載の平成一一年度二学期用の本件国語テストの内容を併せ考えれば、
本件国語テストが、児童の学習の進捗状況に応じた適宜の段階において、教師が、
各児童ごとにその学力の到達度を把握するものとして利用するものであることが容易に推認される。また、前示指導要録の「観点別学習状況」欄及び「評定」欄に、
各児童についての評価を実際に記入する際に、前示「得点集計表」等が利用されているかどうか等を認定するに足りる的確な疎明資料がないとはいえ、本件国語テストの結果(得点)が、該各評価をする際の参考となり得るものであることも一応認めることができる。
しかしながら、前示のとおり、学級によって、本件国語テストを用いるテストの実施日、時間が異なることがむしろ通例であることに鑑みると、本件国語テストの問題の内容等の事前の漏洩を防ぐことには、全く意が払われていないと言わざるを得ず、また、教科書に掲載されている本件著作物が本件国語テストに利用されることは、当然のこととして予測されるものであるから、本件国語テストにつき、いかなる著作物を利用するかということについての秘密性も全く存在しない。
そうすると、そのような秘密性の故に、著作物の複製につき、予め著作権者の許諾を受けることが困難であるような事情が存在すると言うことはできない。
したがって、相手方らが、本件各著作物を本件国語テストに複製することが、著作権法36条1項所定の試験又は検定の問題としての複製に当たるとすることはできない。
三争点6について相手方株式会社文溪堂は、抗告人らと同相手方との間に、同相手方による本件国語テストの制作、販売につき、教科書出版会社を抗告人らの代理人として、利用許諾契約が成立したと主張するが、抗告人らが、いずれかの教科書出版会社に、
その旨の代理権を与えたことを認めるに足りる疎明資料は存在しない。
また、相手方株式会社文溪堂は、表見代理によって、右利用許諾契約の効力が抗告人らに及ぶとも主張するが、表見代理の類型に応じた、代理権授与の表示又は基本代理権の発生原因に該当する具体的事実の存在を認めるに足りる疎明資料は存在しない。
したがって、相手方株式会社文溪堂の右主張を採用することはできない。
四争点4について相手方らは、@日本ビジュアル著作権協会との名称の団体が、本件仮処分事件及び本案事件の提起前に、抗告人らとの著作権管理委託契約に基づき、相手方らに対し、出版差止等を求める訴訟の提起及び仮処分の申立てをした(請求の放棄及び取下げにより終了)うえ、同協会又はその理事長を名乗る【U】が、相手方らの本件国語テストの制作、出版を著作権侵害と決め付け、これを非難する文書を教育委員会、小学校長等に大量に配布する等して、円満な業界秩序の形成を妨げているところ、抗告人らは、なお、本件仮処分申立事件の追行を【U】に一任しており、
本件仮処分申立ては、【U】が右目的で行っていること、A相手方らを含む図書教材制作会社と教科書出版会社との間で、昭和四三年に、図書教材制作会社が、図書教材の制作に関し、教科書出版会社に謝金を支払う内容の合意が成立し、相手方らは、右謝金が著作者に対する謝金を含んだものと信じて、その支払をしてきたところ、その後約三〇年にわたり、教科書掲載の著作物の著作権者からこれに異論が唱えられたことはなかったこと、B相手方ら及びその業界団体である社団法人日本図書教材協会と、小学校国語教科書著作者の会、社団法人日本児童文学者協会及び社団法人日本児童文芸家協会との間で、平成一一年九月三〇日に、小学校国語教科書準拠教材における作品使用についての協定が締結されたこと、C小学校において教科用図書(教科書)を使用しなければならない(学校教育21条1項)とされている以上、図書教材である本件国語テストにおいて、教科書に掲載されている著作物を利用することは必要不可欠であり、また、各教師が、児童の学習成果を測定、
評価するために自らテストを作成するに際して、著作物を複製する場合には、著作権法35条によって、著作権者の許諾や対価の支払いが不要であるところ、本件国語テストは、このような教師の作成するテストと実質的な差異はなく、しかも、創意工夫と経験の集積により、教師が個別に作成するテストよりも、合理的、効率的な方法において国語教育に資するものとして、教育現場に浸透しており、その使用ができなくなれば、教育現場に混乱を引き起こすこと、D本件国語テストが、著作物の通常の利用(一般書籍における利用)に代替したり、これと競合したりするものではないこと、等を主張し、本件仮処分の申立てが権利の濫用に当たると主張する。
しかしながら、本件仮処分申立事件前の日本ビジュアル著作権協会ないし【U】の言動は格別、抗告人らが、それぞれ何らかの違法・不当な目的をもって、
本件仮処分申立事件の追行を同協会ないし【U】に一任していることを認めるに足りる疎明資料は存在しない。
また、仮に、相手方らが、教科書出版会社との合意に基づき、昭和四三年から、図書教材の制作に関し、教科書出版会社に対する謝金の支払いを継続し、約三〇年にわたって教科書掲載の著作物の著作権者からこれに異論が唱えられたことはなかったとの事実が存在するとしても、相手方らが、本件国語テストに本件各著作物を採録して出版することに係る、著作権者である抗告人らとの間の権利関係の処理を、該合意に基づいて、教科書出版会社が行うべき義務を負担したこと、あるいは相手方らにおいてそのように解することを相当とするような事情が存在することを認めるに足りる疎明資料はない。
さらに、疎明資料(原審甲事件乙第一四号証の二)によれば、相手方ら及び社団法人日本図書教材協会と、小学校国語教科書著作者の会、社団法人日本児童文学者協会及び社団法人日本児童文芸家協会との間で、平成一一年九月三〇日に、
「小学校国語教科書準拠教材における作品使用についての協定書」が作成され、該協定が締結されたこと、及び同年一〇月八日に、小学校国語教科書著作者の会と社団法人日本図書教材協会との間で、その運用細則が定められたことが一応認められるが、該協定の効力が抗告人らに及ぶものと認めるべき疎明資料はなく、また、抗告人らにおいて、該協定の効力が及ばないにもかかわらず、本件各著作物に係る著作権の行使をこれに従ってしなければ、権利濫用となると解すべき事情の存在を認めるに足りる疎明資料も存在しない。
それのみならず、該協定によれば、図書教材制作会社が所定の出版教材に著作物を使用する場合には、著作者及び著作権者の許諾を得なければならないとされているから(前示協定書第2)、仮に、該協定を前提としたとしても、相手方らが、著作権者である抗告人らの許諾を得ずに、本件各著作物を本件国語テストに採録して出版することは、右条項に反するものであり、これに対して、抗告人らが各著作権に基づきその差止めを求めることが権利濫用となるものとは解されない。
仮に、本件国語テストが、教師の作成するテストと国語教育上の意義や目的を同じくし、あるいは、著作物の通常の利用(一般書籍における利用)に代替したり、これと競合したりするものではないとしても、著作権法上、そのことに故に、
著作権者の許諾を要せずして、本件各著作物を本件国語テストに利用できるものではなく、相手方らが、本件国語テストを制作、出版するために、本件各著作物を利用することが必要であれば、その著作権者である抗告人らから右の利用許諾を得るための真摯な対応をすべきものと言うべきところ、相手方らが、そのような真摯な対応を経たことを認めるに足りる疎明資料はないから、右の事情の故に、本件仮処分の申立てが権利濫用になるものとは言えない。なお、申立ての全趣旨によれば、
相手方らは、抗告人らの著作物を、抗告人らの許諾なく本件国語テストに利用することが、抗告人らの該著作物に係る著作権を侵害するものでないとしていたことが明らかであるところ、相手方らがそのような立場に立脚することが、それ自体としては全く理由がないものとは言えないとしても、かかる立場に固執し、抗告人らとの何らかの合意を経ないまま、本件国語テストに本件各著作物を利用した以上、抗告人らからその差止めを求められるリスクを負担すべきものと言うべきである。
また、主文一項1掲記の本件国語テストを使用することができなくなったとしても、教育現場に混乱が生じることを認めるに足りる的確な疎明資料はない。
したがって、相手方らの権利濫用の主張を採用することはできない。
五争点5について1平成一一年度二学期用、三学期用及び平成一二年度一学期用の本件国語テストについて現時点において、相手方らが、3ー2、5ー2の各著作物をそれぞれ採録した平成一一年度二学期用の本件国語テスト(別紙副教材目録二記載の各副教材)及び3ー3、4ー2、4ー3、5ー1、5ー3、6ー3、6ー5、7ー2、9ー2、9ー3、9ー4の各著作物をそれぞれ採録した同学期用の本件国語テスト(別紙副教材目録三記載の各副教材)を、向後、印刷、出版、販売又は頒布をするおそれがあることを認めるに足りる疎明資料はなく、したがって、右各国語テストにつき、右各行為の差止め及びその執行官保管の各仮処分を求める申立てについては、
保全の必要性の存在が認められない。
また、相手方らが、平成一一年度三学期用及び平成一二年度一学期用の本件国語テストに、本件各著作物を採録して販売したとしても、現時点において、相手方らが、向後、右各国語テストを印刷、出版、販売又は頒布をするおそれがあることを認めるに足りる疎明資料はなく、したがって、右各国語テストにつき、右各行為の差止めの各仮処分を求める申立てについても、保全の必要性の存在が認められない。
2平成一二年度二学期用、三学期用及び平成一三年度一学期用、二学期用、
三学期用の本件国語テストについて(一)相手方らが、平成一一年度二学期用の本件国語テストに、本件各著作物のうち、3ー2、5ー2の各著作物、及び3ー3、4ー2、4ー3、5ー1、5ー3、6ー3、6ー5、7ー2、9ー2、9ー3、9ー4の各著作物をそれぞれ採録し、販売したこと、別紙教科書目録三記載のとおり、1ー1、1ー2、2ー1、
2ー2、2ー3、3ー1、3ー2、4ー1、5ー2、6ー1、6ー2、8ー1の各著作物が、また、同目録四記載のとおり、1ー6、1ー7、1ー8、1ー9、1ー10、1ー11、1ー12、2ー5、3ー3、4ー2、4ー5、5ー3、6ー3、6ー4、6ー5、7ー2、9ー2、9ー3、9ー4、9ー5、9ー6の各著作物が、それぞれ平成一二年度版小学校用国語教科書に掲載されていること、平成一二年度版教科書は、平成一二年度及び平成一三年度に用いられることは当事者間に争いがない。
右事実と申立ての全趣旨とを併せ考えれば、相手方らが、前示平成一一年度二学期用の本件国語テストと同様の構成、形式により、平成一二年度版小学校用国語教科書に掲載されている1ー1、1ー2、2ー1、2ー2、2ー3、3ー1、3ー2、4ー1、5ー2、6ー1、6ー2、8ー1、1ー6、1ー7、1ー8、1ー9、1ー10、1ー11、1ー12、2ー5、3ー3、4ー2、4ー5、5ー3、6ー3、6ー4、6ー5、7ー2、9ー2、9ー3、9ー4、9ー5、9ー6の各著作物の全部又は一部を、その著作権者である抗告人らの許諾を受けずに複製した平成一二年度二学期用、三学期用又は平成一三年度一学期用、二学期用、三学期用の本件国語テストを制作、販売(印刷、出版、販売又は頒布)する蓋然性が存在することが一応認められ、そうであれば、右各国語テストにつき、印刷、出版、
販売又は頒布の差止めの仮処分を求める申立てについては、保全の必要性が認められると言うべきである。
なお、6ー6の著作物については、それが平成一二年度版小学校用国語教科書に掲載されていることの主張、疎明がないから、右仮処分を求める申立てにつき保全の必要性の存在が認められない。
(二)相手方らは、本件国語テストが、著作物の通常の利用(一般書籍における利用)に代替したり、これと競合したりするものではないから、抗告人らに、
前示各著作物を収録した一般書籍の売上減等による損害は生じないし、また、著作権法36条2項に基づく補償金の額が巨額となるわけではないから、本件仮処分が認められなくとも、抗告人らに著しい損害が生じるとはいえないのに対し、本件仮処分が認められた場合には、相手方らの事業活動に重大な影響を及ぼし、回復不能な著しい損害が生じるのみならず、本件国語テストの使用ができなくなれば、教育現場にも混乱が生じるとして、仮の地位を定める仮処分である本件仮処分の申立てにつき保全の必要性がないと主張するが、主文第一項1掲記の国語テストの頒布等の差止めが認められた場合に、相手方らの事業活動に重大な影響を及ぼし、回復不能な著しい損害が生じることを認めるに足りる的確、かつ、具体的な疎明資料は存在せず、また、前示のとおり、右国語テストを使用することができなくなったとしても、教育現場に混乱が生じることを認めるに足りる疎明資料もないから、相手方らの右主張を採用することもできない。
六以上によれば、その余の点につき判断するまでもなく、本件仮処分申立ては、別紙決定作品目録一、二に各抗告人ごとに記載された著作物を複製した平成一二年度二学期及び三学期用並びに平成一三年度一学期、二学期及び三学期用の本件国語テスト(小学校用国語副教材)の印刷、出版、販売又は頒布の差止めを求める限度で認容すべきところ、諸般の事情を考慮すると、各抗告人において、それぞれ、本決定告知の日から一〇日以内に、各相手方のため、いずれも金一〇万円の保証を立てることを、当該抗告人の当該相手方に対する申立てを認容するための条件とすることが相当である。
よって、これと異なる原決定を右のように変更することとして、主文のとおり決定する。
平成一二年九月一一日東京高等裁判所第一三民事部裁判長裁判官田中康久裁判官石原直樹裁判官長沢幸男別紙決定作品目録一決定作品目録二
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