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事件 平成 12年 (ワ) 9970号 コンパクトディスク販売差止等請求事件
原告 【A】
原告 【B】
原告 【C】右三名訴訟代理人弁護士 原口 健
同 野中信敬
同 久保田理子
同 土井智雄
同 設楽公晴
被告 ジー・エッグプロモーションこと【D】
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2000/09/14
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告は、別紙「CD目録」記載のコンパクトディスクを増製し、販売し又は頒布してはならない。
二 被告は、別紙「CD目録」記載のコンパクトディスクを廃棄せよ。
三 被告は、原告らに対し、別紙「楽曲目録」記載の楽曲に関する原盤を引き渡せ。
四 被告は、原告らに対し、金一〇〇万円及びこれに対する平成一二年六月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
五 原告らのその余の請求を棄却する。
六 訴訟費用は、これを二分し、その一を被告の負担とし、その余を原告らの負担とする。
事実及び理由
全容
一 原告らの請求1 主文第一項ないし第三項と同旨2 被告は、原告【B】に対し金三〇〇万円、同【A】に対し金二〇〇万円、同【C】に対し金二〇〇万円及びこれらに対する平成一一年七月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
3 被告は、原告らに対し、金三三七万四五〇〇円及びこれに対する平成一二年六月二五日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は、被告の負担とする。
二 原告らは、別紙「請求の原因」記載のとおり、請求の原因を述べた。
被告は、適式の呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭しない。したがって、被告において、原告らが主張した請求原因事実を争うことを明らかにしないものと認め、これを自白したものとみなす。
三1 右の事実によれば、原告らの請求は、主文第一項ないし第三項と同旨の裁判を求める部分について、いずれも理由がある。
2 前記一2の請求については、複製権及び録音権の侵害を理由とする慰謝料請求であるところ、複製権及び録音権は、財産上の権利であって、特別の事情のない限り、その侵害によって財産的損害のほかに精神的損害が生じたと認めることはできないものであって、原告らが主張した請求原因事実によっても、原告らに精神的損害が生じたと認めるに足りる特別の事情があるということはできないから、原告らの右請求部分は、理由がない。
3 前記一3の請求のうち、仮処分命令申立て及びその強制執行のための費用三七万四五〇〇円の損害賠償を求める部分については、これらの費用は、いずれも仮処分(執行官保管)の執行のために必要な費用であると認められ、最終的には主文第二項の本執行費用の一部として被告が負担すべきものであって(民事執行法42条1項)、その取立てについては、民事執行法42条4項22条4号の二所定の手続により行われるべきものであるから、右の費用を別途被告の不法行為によって生じた財産的損害として賠償請求することはできない。したがって、原告らの右請求部分は、理由がない。
4 前記一3の請求のうち、弁護士費用三〇〇万円の損害賠償を求める部分については、当庁平成一一年(ヨ)第二二一〇三号仮処分命令申立事件及び本件訴訟における原告らの請求の内容及び審理の経緯等に照らせば、原告らが被告に対しその不法行為と相当因果関係のある損害として賠償請求し得る弁護士費用は、金一〇〇万円と認めるのが相当であるから、原告らの右請求部分は、右の限度で理由がある。
四 よって、主文のとおり判決する。
(口頭弁論の終結の日 平成一二年八月三一日)
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CD目録「SomethingElse『ELEXITLINE』」と題する、別紙「楽曲目録」記載の少なくとも六曲を収録する定価二三八一円のアルバムコンパクトディスク楽曲目録一著作物の題号「風と行きたかった」(インディーズバージョン)二右同(ストリートバージョン)三右同(バッキングトラック)四著作物の題号「君の生まれた街」(インディーズバージョン)五右同(バッキングトラック)六右同(インスツルメンタル)請求の原因一原告らは、著名人気音楽バンド「サムシングエルス」の構成メンバーであり、
原告【B】は、楽曲「風と行きたかった」及び楽曲「君の生まれた街」(以下、これらを「本件楽曲」という。)の作詞、作曲を行った著作者兼著作権者である。
原告らは、平成六年ころ、「エクシットライン」という名称の音楽バンドを結成して、ライブ等の音楽活動を開始し、平成八年、バンド名を現在のものに改名して、同年一〇月二三日、シングル曲「悲しきノンフィクション」にてメジャーデビューをした。その後、シングルCD四枚、アルバムCD一枚を発売したが、ヒット曲を生むに至らず、平成一〇年九月以降、日本テレビ系番組「雷波少年」のシリーズ企画「ラストチャンス」(次に発売するシングルがオリコンの初登場二〇位以内に入らなければバンドを解散し、メンバーは音楽業界から去らなければならないという条件で、合宿生活を送るという内容のもの)に出演し、同番組が全国放送されることによって、一躍全国的な人気を博すところとなった。右企画から生まれた六曲目のシングル曲「ラストチャンス」は、平成一〇年一二月発売後オリコンチャート一位を獲得し、同曲のCDは、いわゆるミリオンセラーを達成した。
二被告は、「G-EGGPROMOTION(ジーエッグプロモーション)」若しくは「ティーケー・エンターテイメント」の名称にて芸能音楽プロダクション、音楽出版等の事業を営む者である。
三原告らは、メジャーデビュー前の平成六年末ころからごく短期間、個人的にプロダクション活動等を行っていた被告の勧誘を受けて、被告にマネジメントを委託していたことがあり、この間、被告からデモテープに代わるプレゼンテーション用インディーズ盤CD製作の打診を受けてこれを応諾し、本件楽曲をスタジオで演奏して(以下、この演奏を「本件演奏」という。)、その音を固定した原盤を提供した。被告は、平成七年四月ころ、本件楽曲の演奏と他のアーティストの演奏をあわせて編集した「CPM/VOL.1」と題したアルバムCDを製作した。原告らは、平成七年四月ころまでに被告とのマネジメント契約を解消し、以後今日まで被告と何らの関係も有していなかった。
ところが、今般、被告は、突然、原告らの承諾を得ることなく、本件演奏に係る原盤を違法に利用して、楽曲「風と行きたかった」のインディーズバージョン、ストリートバージョン、バッキングトラック、楽曲「君の生まれた街」のインディーズバージョン、バッキングトラック、インスツルメンタルの合計六曲の演奏を少なくとも収録し、これ以外に他の複数のアーティストの演奏する楽曲をあわせて編集した別紙「CD目録」記載のコンパクトディスク(以下「本件CD」という。)を増製し、製作・発売者名として「G-EGGMEMORYS」なる名称を掲げ、
平成一一年七月二六日に限定一万枚を発売する旨の予告をして、その広告宣伝活動を行うに至った。
右にいう「インディーズバージョン」は、メジャーデビュー前のスタジオ収録であることを意味し、また、被告によると、「ストリートバージョン」とは、原告【A】のヴォーカルをメインにスタジオ収録した演奏のことであり、「バッキングトラック」とは、ヴォーカルを省略し、楽器演奏にコーラス部分をあわせて収録した演奏のことであり、「インスツルメンタル」とは、コーラスも省略した楽器演奏のみのことであるという。被告は、原告ら代理人の問い合わせに対し、これらはいずれも前記インディーズ盤CD製作に際して同一機会にスタジオにて録音されたものである旨を回答している。
被告は、本件CDの広告チラシにおいて、原告らのバンド名を含む本件CDの表題を大きく掲げ、原告らの写真を掲載するとともに、本件CDを「サムシングエルスのインディーズ盤」とし、「あの、NTV『雷波少年』で、ブレイクした『オリコンチャート1位』『100万枚』ミリオン・アーティストの‘SomethingElse'が、インディーズ時代に残した唯一のCD(音源)です。」、「一部のファンの間では、コレクターズ・アイテムとして、プレミアムが付いています。ファンの声に応え、過去に発表した『CPM/VOL.1』『SeeYOUAgain!!』からサムエルをメインに、1枚に編集」などと記載し、サムシングエルスの収録曲のみをポイントの大きな活字で強調掲載し、さらに、初回特典として「当時の写真を使ったメモリアルステッカーを封入」するなどとうたっていた。また、その販売活動は、「原楽器」とその関連物流センターを通じ、国内の小売レコード店から注文を受けるという態様のものであった。
四被告が本件CDを増製し、販売し又は頒布することは、原告【B】の本件楽曲についての複製権(著作権法21条)、原告らの本件演奏についての録音権(同法91条1項)を侵害するものである(原告らの承諾なくして原告らの実演の原盤を本件CDとして増製することは、原告らの録音権の侵害に当たる。)。被告は、これを知り又は過失によりこれを知らないで、本件CDの増製行為に及んだものである。
五原告らは、被告の前記行為に対して、東京地方裁判所にコンパクトディスク販売差止等仮処分命令の申立て(平成一一年(ヨ)第二二一〇三号)を行い、平成一一年七月二三日にその仮処分決定を得て、同年八月四日、同決定に基づき被告が販売のため占有していた本件CD九九九九枚につき、執行官保管の強制執行(平成一一年(執ハ)第七九四号)を行った。原告らは、その後も被告と話合いの機会を持ったが、被告は、一向に誠意ある対応を示さない。
六原告らは、被告の前記行為により、次の損害を被った。
1原告らは、前記仮処分命令申立て及びその強制執行のため、次の諸費用を支払い、同額の財産的損害を被った。
(1)執行予納金、郵券、印紙代合計金三万九九〇〇円(2)立会人費用等金三一万〇六〇〇円(3)保管費用金二万四〇〇〇円2原告らは、被告の前記行為によって精神的損害を被ったところ、これを慰謝するに足りる金額は、原告【B】について金三〇〇万円、同【A】、同【C】について各金二〇〇万円を下らない。
3原告らは、被告が誠意ある対応を示さないため、仮処分命令申立て及び本件訴え提起を余儀なくされ、原告ら代理人に訴訟遂行を委任し、弁護士報酬として金三〇〇万円を支払う旨を約した。
七よって、原告らは、被告に対し、著作権法第112条1項に基づき本件CDの増製、販売、頒布の差止めを、同条二項に基づき本件CDの廃棄を、所有権に基づき本件演奏に係る原盤の引渡をそれぞれ求めるとともに、損害賠償として前項記載の金額の支払を求める。
裁判長裁判官 三村量一
裁判官 村越啓悦
裁判官 中吉徹郎
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