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事件 平成 14年 (ワ) 13194号 損害賠償請求事件
原告A
訴訟代理人弁護士 表久守
同 表昌子
同 西村良明
被告 大原種苗株式会社
訴訟代理人弁護士 石井教文
同 川上良
被告B
訴訟代理人弁護士 網本浩幸
同 安部将規
同 土田泰弘
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2004/02/12
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告大原種苗株式会社は、原告に対し、金300万円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告Bは、原告に対し、金100万円及びこれに対する平成14年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は、原告に生じた費用の10分の1と被告大原種苗株式会社に生じた費用の10分の1を被告大原種苗株式会社の負担とし、原告に生じた費用の20分の1と被告Bに生じた費用の15分の1を被告Bの負担とし、その余を原告の負担とする。
5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
1 被告大原種苗株式会社は、原告に対し、金1800万円及び内金1500万円に対する平成14年9月1日から、内金300万円に対する平成15年1月8日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告らは、原告に対し、連帯して、金1500万円及びこれに対する平成14年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は、写真家である原告が、「誕生花」としての花の選択並びにこれについて原告が撮影した花の写真及び花言葉の組合せ全体について著作権を有すると主張して、@ これを被告大原種苗株式会社(以下「被告大原種苗」という。)が原告に無断でパンフレットに掲載した行為が原告の著作権(複製権)を侵害するとして、その損害賠償を、A これを被告Bが原告に無断で自己の開設したインターネット上のホームページに掲載した行為が原告の著作権(公衆送信権)を侵害するとし、さらに被告大原種苗が被告Bの上記行為に許諾を与えた行為が原告に対する不法行為であるとして、被告両名に対してその損害賠償を請求した事案である。
1 前提となる事実(特に明示した部分以外は当事者間に争いがない。) (1) 原告は、写真家であり、平成10年ころに写真集「誕生花(わたしの花、
あの人の花)」を、平成12年にはこの写真集の花の写真の一部を差し替えた普及版となる写真集「誕生花366日-わたしの花・あの人の花」を、いずれも原告から出版した(以下これらを「本件写真集」という。)。これは、1月1日から12月31日まで、2月29日を含む366日に1日ごとに計366種の花を1つずつ「誕生花」と称して対応させた花の写真及びその花言葉の組合せからなる写真集であるところ、その写真は原告が撮影したものであり、それぞれの日に対応する「誕生花」としての花及びこれに対応する花言葉の選択(一部の花言葉の創作も含む。)も、最終的には原告が行ったものである(甲第13号証)。
(2) 平成11年、財団法人夢の架け橋記念事業協会(以下「協会」という。)は、平成12年に開催されるジャパンフローラ2000(いわゆる淡路花博。以下「淡路花博」という。)の広報用ポスターの制作を株式会社電通(以下「電通」という。)に発注した。
電通は、原告の了解を得て、上記の「誕生花」の写真及び花言葉を掲載したポスター(以下「本件ポスター」という。甲第4号証)を製作して協会に納入した(甲第4、第7号証、第13号証、乙第2号証の1ないし3)。
なお、淡路花博の公式ガイドブックにも、上記「誕生花」の写真及び花言葉が原告の経歴と共に掲載されている(甲第10号証)。
(3) 被告大原種苗は、平成12年から平成14年までの間の自社の総合カタログとして、「zipangu」と題する冊子(乙第1号証)を製作、発行し、その中に、上記の「誕生花」の写真及び花言葉全部を、本件ポスターから転載した。
上記転載について、被告大原種苗が、原告に許諾を求めたことはない。
(4) 被告Bは、平成12年(始期の詳細については争いがある。)から、自らが開設していた被告Bのインターネット上のホームページにおいて、上記の「誕生花」の写真及び花言葉全部を、上記「zipangu」から転載した。
上記転載について、被告Bが、原告に許諾を求めたことはない。
2 争点 (1) 「誕生花」の写真及び花言葉の組合せ全体について著作権が成立するか 〔原告の主張〕 1年の各日に一定の花を対応させ、あるいは一定の花に「花言葉」や「花占い」を対応させる手法自体は、主として西欧において古来から存在した。しかし、原告は、ギリシャ神話やキリスト教の伝統等によって成立した花言葉を無批判に踏襲するのではなく、「地球と共生、植物からのメッセージ」をテーマに、「人間にも個性があるように花たちにもすばらしい生命の個性が輝いている」、「自分の誕生花や大切なあの人の誕生花に、より一層の愛情を持って頂ければ、その花たちはより美しく人々に語りかけてくれる」、「誕生花は人生の応援花」とのコンセプトに基づき、誕生花、花言葉を選択し、あるいは創作した。したがって、他の選者により「誕生花」として選択されている花とは異なる「誕生花」を選択していることも多い。花言葉についても、一般に流布され、定着しており、問題がないと原告が判断したものはそのまま採用しているけれども、例えば、あるホームページ上で3月13日の誕生花とされている「タンポポ」の花言葉は「軽薄」とされているが、「人生の応援花」として「軽薄」はふさわしくないとの観点から、原告の「誕生花」では、「タンポポ」の花言葉を「また逢う日まで、楽しい思い出」としているように、花言葉を選択、創作している。
また、それぞれの花の写真は、ごく一部の園芸花を除き、日本各地に自生しているそれぞれの花につき、時期も選択して、前記花言葉に合致するイメージの表現として、原告が各自生地に赴いて5年かけて撮影したものである。
このように、「誕生花」としての花の選択及びこれに対応する花言葉の選択ないし創作は、原告独自の思想ないし感情の表現であり、花の写真も、そのような思想ないし感情の表現の一環として原告が撮影したものである。
したがって、これらの組合せ全体に、原告の著作権が成立する。
なお、C著作にかかる「花を贈る事典366日」(平成5年講談社発行)は、「誕生花を贈る366日」シリーズ(平成8年講談社発行)の製作にかかわる動機を与えたことは否定しないが、基本的には植物学者による花の解説書であり、
写真集でもない。原告は、これを基本に、各花の写真を組み合わせる企画を出版社に持ち込み、Cの賛同を得て、「誕生花を贈る366日」シリーズ(春・夏・秋・冬)4冊(平成8年発行)を製作した。しかしながら、その際、花言葉の選択については、最終的にはCが決定したため、原告の意見と異なる部分があった。また、
花の写真についても、原告が撮影したものだけでは出版時期に間に合うようにすべての花の写真が揃わなかったため、足りない分は友人の写真家2名から写真の提供を受けた。このように、これらには原告にとって不満が残る部分があったため、自分自身が納得できるものとして、原告自身の手で本件写真集を製作し、出版したものである。
〔被告らの主張〕 「誕生花」の選択については、単に花と日を表す言葉を組み合わせたにすぎず、その表現方法創作性はない。
花言葉についても、表現そのものについては何ら創作性はなく、花との組合せについても、表現方法創作性はない。しかも、花言葉の大半は、一般に流布され、または他の出版物中にも見られるものであり、この点でも創作性はない。
さらに、C監修にかかる「誕生花を贈る366日」シリーズ4冊(平成8年発行)や、同人著作にかかる「花を贈る事典366日」(平成5年発行)にも、
本件ポスターにおける「誕生花」としての花の選択と花言葉の組合せと重複するものが多数記載されており、この事実からしても、「誕生花」としての花の選択及び花言葉の組合せがすべて原告の発案によるものとはいいがたい。
(2) 原告は写真等の著作権を電通に譲渡したか 〔被告大原種苗の主張〕 原告は、本件ポスターの作成に当たって著作権を留保していたと主張するが、本件ポスターの企画製作に関しては、原告は電通の下請であり、「誕生花」も含めて、著作権等の権利は注文主である電通に帰属することになっていたものである。 協会と電通との間の本件ポスターの作成委託契約書の規定によれば、本件ポスターの著作権が協会に帰属していたことは明らかである。
仮に、本件ポスターの著作権が電通に帰属していなかったとしても、原告は、電通との間で本件ポスターに関する契約を締結するに当たり、著作権の使用契約が表に出ないように外観を整え、著作権に関して全く記載のない請求書を発行したことによって、対外的に電通に本件ポスターの著作権が帰属するかのような外観を作出し、かつ、その作出について認識していた。そして、この外観に基づいて、
電通は本件ポスターの著作権を協会に譲渡し、協会も、本件ポスターの著作権が協会に帰属していると信じていたものであるから、原告が、協会及び協会から転載の許諾を受けた被告大原種苗に対し、自己が著作権者であることを主張することは、
信義則上許されない。
〔原告の主張〕 本件ポスターは、淡路花博の広報用として、電通が企画し、原告に原稿作成を依頼し、原告が大きさ、色合い、レイアウトなどの内容を決定して原稿を完成させたものである。原告は、電通に対し、部数を限定して本件ポスターを製作することを許諾し、その対価を受けた。そして、電通が本件ポスターを製作して協会に納入したものである。なお、淡路花博の開催期間中、協会が、これを販売したいと考えたため、原告と電通は、本件ポスターの増刷に関し、第2次契約を締結した。
以上のとおりであるから、原告は、「誕生花」の著作権を電通に譲渡しておらず、また、協会との間で何らの取り決めもしていないし、協会に対して複製権を与えてもいない。
なお、本件ポスター製作についての原告から電通への請求書には、著作権使用料という名目はないが、これは、電通の希望によるものであり、原告が電通の下請のような形でポスターを企画、製作するという形式をとったものである。
(3) 協会は被告大原種苗に対して転載を許諾したか 〔被告大原種苗の主張〕 被告大原種苗は、「zipangu」への「誕生花」の掲載につき、平成11年7月ころから9月ころに、協会の入場券販売管理本部本部長であったDに、
本件ポスターの「zipangu」への転載について許諾を求めた。協会は、検討した結果、「zipangu」が無償配布であることから、複製を許諾することとして、被告大原種苗にDを通じて許諾することを伝えた。
なお、淡路花博の公式ガイドブックは、有償で販売するものであるから、
協会において、無償で配布する「zipangu」とは取扱いが異なったものである。
〔原告の主張〕 淡路花博の公式ガイドブックを作成した業者が、原告の「誕生花」を掲載するため、協会の指示で原告を訪れて許諾を得たという経緯や、Dの担当部署が入場券販売管理本部であったことに照らせば、Dを通じて協会が転載の許諾をしたとは考えがたい。
(4) 被告大原種苗は被告Bに対して転載を許諾したか 〔被告Bの主張〕 被告Bは、平成12年7月下旬、被告大原種苗のE専務から、「zipangu」に掲載されていた「誕生花」の写真等を、被告Bのホームページに転載することの許諾を受けた。
〔原告の主張〕 被告大原種苗は、被告Bが「zipangu」からホームページへ転載するにつき、これに先立って許諾を求められ、これに対して何ら権限なく許諾を与えた。
なお、被告大原種苗は、Eが、被告Bから転載の許諾を求められた際、協会から許諾を得ていることを説明した上で、営利目的でなければ許諾を受けられると思う旨の意見を述べた旨主張するが、そうであれば、被告Bは協会に許諾を求めるはずであるが、被告Bがそうしなかったことに照らせば、被告大原種苗が許諾を与えたことは明らかである。
〔被告大原種苗の主張〕 被告大原種苗が、被告Bに対し、「zipangu」から被告Bのホームページへ転載するについて許諾したことはない。
平成12年1月、被告Bから、Eが、酒席の雑談の中で相談を受けたことがあり、これに対し、被告大原種苗は、協会から許諾を得ていることを説明した上で、営利目的でなければ許諾を受けられると思う旨の意見を述べたことがあるにとどまる。
(5) 被告らの故意過失の有無 ア 被告大原種苗による侵害について 〔原告の主張〕 本件ポスターには、「誕生花」の著作権者が原告であることが明示されているし、ポスター写真等について著作権者が存在することは公知の事実であるから、被告大原種苗は著作権侵害について故意又は有過失であった。
なお、被告大原種苗は、Dを通じて協会から使用許諾を得たと主張するが、仮に、入場券販売管理本部本部長であったDが、本件ポスターの著作権について責任ある回答をすることができると信じたというのであれば、その点に過失がある。
〔被告大原種苗の主張〕 協会は、本件ポスターの著作権が協会に帰属していると信じていたし、
実際、被告大原種苗に対し、他に著作権者が存在することをうかがわせるような言動は一切なかった。
原告は、本件ポスターには、「誕生花」の著作権者が原告であることが明示されていると主張するが、本件ポスターでの著作権者表示は「KITA Shunkan Photo Library」となっており、原告が著作権者であることが明示されているとはいえないし、被告大原種苗が参考にした本件ポスター(第1刷分)には、そもそもそのような表示はなかった。
したがって、被告大原が「誕生花」の写真及び花言葉を掲載したことは、正当な利用行為であると信じるについて相当の理由があったのであるから、被告大原種苗に過失はない。
イ 被告Bによる侵害について 〔原告の主張〕 被告大原種苗は、種や苗、園芸用品の卸商であり、写真家ではないことからして、「誕生花」について著作権を有していないことは明らかであるから、被告Bとしては、「zipangu」に掲載された「誕生花」について、別途著作権者が存在することを容易に想定し得るところ、被告Bには「誕生花」の著作権者を確認してその者から許諾を得べき注意義務を怠った過失がある。
被告大原種苗は、「誕生花」について、自らが著作権を有していないことを知っていたのであるから、被告Bから「zipangu」からホームページへの転載についての許諾を求められた際、被告Bに対し、自らは著作権者でないことを告げ、著作権者に許諾を求めるよう助言すべきであったのにこれを怠り、あたかも自らが「誕生花」の利用許諾権を有しているかのごとく振る舞ったのであるから、これ自体が原告に対する不法行為である。
〔被告Bの主張〕 被告大原種苗は、規模の大きい国内有数の種苗園芸資材卸業者であり、
一般の園芸用品店から厚い信頼を寄せられているところ、「zipangu」は被告大原種苗のカタログであり、そこに掲載されている写真のほとんどは、被告大原種苗が扱う種苗・園芸用品を撮影したものであり、被告大原種苗が当該写真を利用して本件カタログを作成するに当たっては、特別の事情がない限り被告大原種苗が当該写真の著作権を有していると考えるのが通常である。また、「zipangu」には、原告の氏名の記載は全くなく、他に権利者の存在を疑わせる記載も全くない。
しかも、被告Bは、本件訴訟に至るまで、本件ポスターを見たことはなく、平成14年8月に著作権侵害を指摘する原告からの電子メールを受けるまで、
「誕生花」について、被告大原種苗以外に著作権等の権利を有する者が存在すると想像することは不可能であった。
したがって、仮に被告Bが原告の著作権を侵害したとしても、被告大原種苗がその著作権を有するものと過失なく信じてその許諾を受けたものであるから、被告Bは無過失である。
〔被告大原種苗の主張〕 前記(4)の被告大原種苗の主張のとおりであり、被告Bの侵害について、
被告大原種苗が責任を負う理由はない。
(6) 損害 〔原告の主張〕 原告が「誕生花」の写真及び花言葉を使用させる場合において、「誕生花」自体を商品としない使用形態のときは、半年単位で300万円の使用料を徴している。
ア 被告大原種苗は、「zipangu」によって、平成12年1月1日から、少なくとも平成14年8月21日までは無断で使用していたのであるから、本来原告に支払うべき使用料は3年分1800万円である。
原告は、上記相当額の損害を被った。
イ 被告Bは、平成12年2月ころから、少なくとも平成14年8月ころまでは無断で使用していたのであるから、本来原告に支払うべき使用料は2年半分1500万円である。
原告は、上記相当額の損害を被った。
この損害については、被告らが連帯して損害を賠償する責任を負う。
〔被告大原種苗の主張〕 「zipangu」のように不特定多数の得意先に無償で配布することが予定されている出版物については、原告主張のように使用期間によって利用料を決定することには合理性がない。
また、原告が主張するような使用料による契約実績はない。
〔被告Bの主張〕 被告Bが「誕生花」の写真と花言葉を自己の開設するホームページに掲載していたのは、平成12年7月ころからである。
原告が主張する使用料金表の作成経緯自体不明であるし、現実の利用状況においても必ずしもその使用料によった契約はされていない。
また、原告が主張する使用料は、花言葉を含めた「誕生花」全体についての使用料とされており、かつ、その金額は同種写真の著作権使用料としてはあまりに高額に過ぎることからすれば、原告主張の金額が本件ポスターに関する著作権使用料の算定に当たって参考とはならない。
当裁判所の判断
1 争点(1)(著作権の成立する範囲)について 原告は、「誕生花」としての花の選択並びにこれに対応する写真及び花言葉の組合わせ全体に、原告の著作権が成立すると主張するので検討するに、前記第2の1の「前提となる事実」(1)によれば、本件写真集は、1年366日に1日ごとに計366種類の花を1つずつ「誕生花」として対応させ、写真家である原告が撮影したそれぞれの花の写真と花言葉を組み合わせて製作した写真集であり、それぞれの日に対応する「誕生花」としての花及びこれに対応する花言葉の選択は最終的に原告が行ったものであり、花言葉の一部は原告自らが創作したものである。この事実と証拠(甲第4、第9、第13号証)によれば、本件写真集に用いられた366枚の花の写真は、原告の構想する「誕生花」に合致する花を、主として自然の中で咲いている花の中から取材旅行で探し出し、毎年定点観測を行うことなどを繰り返して、約5年をかけて撮影したものの中から選択したものであることが認められ、
これらの写真は、その撮影対象・時期の選定、撮影の構図等において創作性があり、原告の思想又は感情を創作的に表現したものとして、著作物性を有するものであると認められる。そして、これらの写真のみならず、1年の各日ごとの「誕生花」の選択とこれに対応した写真及び花言葉の組み合わせとして表現されたものの全体は、1年366日の「誕生花」とその花言葉という統一的なまとまりのある意味を有しており、単なる花の写真の集合を超えて、原告の思想又は感情が創作的に表現されたものとして、著作権法上の著作物に該当するものと認めるのが相当である(以下、本件写真集における「誕生花」としての花の選択並びにこれに対応する写真及び花言葉の組合せ全体を「本件誕生花」という。)。
この点について、被告らは、「誕生花」の選択についても、花言葉の表現そのもの及び花との組合せについても、表現方法創作性はないと主張する。
確かに、1年の各日に一定の花を対応させることや、一定の花に「花言葉」を対応させるという手法が古来から存在することは原告が自認するところであるし、甲第9号証及び弁論の全趣旨によれば、原告が本件写真集ないし本件ポスターにおける「誕生花」の花言葉として選択した言葉の多くは、一般に流布され、又は他の出版物中にも見られるものであることが認められる。また、本件写真集における各日に対応する「誕生花」の具体的な選択及びそれぞれの花言葉も、C著「花を贈る事典366日」(平成5年発行)(丙第2号証)と共通するところが多く見られる。原告は、「誕生花は人生の応援花」とのコンセプトから、一般に流布されている花言葉でもこのコンセプトにふさわしくないものについては、自ら創作したと主張するが、花言葉の一部に原告が創作したものがあるとしても、花言葉自体は、
一般的な言葉を選択したごく短い表現である(例えば、1月1日の「梅」は「忠実、気品」、1月2日の「シンビジューム」は「飾らない心、素朴」といったものであり、原告が自ら創作した花言葉がどれであるかは特定されていないが、甲第4号証(本件ポスター)によれば、どの花言葉も同程度の長さと表現態様である。)。
しかしながら、1年の各日に対応した花を「誕生花」として選定するというアイデアや個々の花言葉の表現自体は著作権法による保護の対象にならないということと、1年366日のそれぞれの日に対応した「誕生花」を具体的に選定し、その花言葉を選択ないし創作し、これと各花の写真とを組み合わせて表現することが全体として著作物に当たるかどうかということとは別個に考える必要がある。そして、本件写真集におけるこれらの組み合わせからなる表現(本件誕生花)は、前述のとおり、全体として統一的に原告の思想又は感情を創作的に表現したものと認めるに足りるものというべきである。したがって、本件誕生花について著作物性を肯定することができる。 2 争点(2)(著作権の譲渡の有無)について (1) 被告大原種苗は、本件ポスターの作成に当たって、著作権等の権利が注文主である電通に帰属することになっていたと主張するところ、確かに、協会と電通との間の本件ポスターの作成委託に関する「委託契約書」(乙第2号証の3)の第11条には、「著作権」との表題で、「淡路花博『ジャパンフローラ2000』PR紙面の著作権は、甲(協会を指す。)に帰属する。」と記載されていることが認められる。
しかしながら、上記契約書の文言自体、「淡路花博『ジャパンフローラ2000』PR紙面の著作権」とあって、本件誕生花の部分を含む本件ポスター全体についての著作権の帰属を定めたものとは文言からも解しがたいし、上記契約書(乙第2号証の3)の作成に原告が関与したことを認めるに足りる証拠もない。本件ポスターの作成経過を検討しても、電通が協会に提出した、淡路花博プロモーション計画案(甲第7号証)には、「『誕生花366日・A写真集』を起用した366日の誕生花プロモーション展開」と記載され、既に写真集として成立して刊行されている著作物を用いることが予定されていたにとどまり、期間を限定して開催される博覧会のプロモーションに用いるに当たって、その使用許諾にとどまらずに、
著作権の譲渡までを受けることまで予定されていたとは通常考えがたい。そして、
本件ポスターの製作に当たって原告が電通に交付した請求書の控え(甲第8号証の1ないし4)にも、原告が電通に著作権を譲渡したことをうかがわせる記載は存在しない。かえって、上記請求書の控えのうち、平成12年3月4日付のもの(甲第8号証の4)には、品名として「誕生花用写真データ使用料」、摘要として「(花博ポスター増刷)」との記載があり、これによれば、本件ポスターの増刷に当たって、原告が電通に写真データの使用料を請求したことが認められる。さらに、本件ポスターに掲載された本件誕生花の部分のすぐ下には「KITA Shunkan Photo Library」との表示がされており(甲第4号証)、このことは、電通においても当然に認識していたものと推認できる。これらの事実によれば、本件ポスターの作成に当たって、原告は本件誕生花についての著作権を電通に譲渡していなかったことを推認することができる。
他に、原告と電通の間で本件ポスターの作成にあたって本件誕生花の著作権を電通に譲渡したことを認め得る証拠はない。
(2) また、被告大原種苗は、原告は、対外的に電通に本件ポスターの著作権が帰属するかのような外観を作出し、かつ、その作出について認識しており、この外観に基づいて、電通は本件ポスターの著作権を協会に譲渡し、協会もこれを信じたものであるから、原告が、協会及び協会から転載の許諾を受けた被告大原種苗に対し、自己が著作権者であることを主張することは、信義則上許されないと主張する。
しかしながら、上記(1)で判示した本件ポスターの作成経過に照らすと、協会が本件ポスターの著作権が協会に帰属すると信じていたとは直ちに認めることはできない。
この点について、淡路花博を主宰していた協会の担当者であった証人Dは、本件ポスターは、協会で作成したものであるから、これについての権限はすべて協会にあると考えていた旨証言するが、同時に、著作権等については協会内ではあまり気にしていなかった旨も証言しており、これに、前示のとおり、本件ポスターに掲載された本件誕生花部分の下に「KITA Shunkan Photo Library」との表示がされていることも合わせ考慮すれば、協会は、単に著作権については十分に考慮していなかったにすぎないとみるのが合理的であり、本件ポスターの著作権が協会に帰属していると信じていたとまで認めることはできない。なお、被告大原種苗は、本件ポスターの第1刷には上記「KITA Shunkan Photo Library」の表示がされていなかったと主張し、証人Dも、協会の周囲の者に聞いたところ、この表示は第1刷にはなかったのではないかという者がいた旨証言するが、この証言自体が伝聞であり、何らの裏付けもない上、増刷分になって初めて上記のような表示を加える理由も乏しいから、この主張は採用することができない。また、協会が作成した「淡路花博の入場券販売の手引き」(乙第3号証)には、「標章等に関する一切の権利」が協会に属する旨の記載があるが、ここでいう「標章等」は淡路花博の「シンボルマーク、マスコットキャラクター、愛称及びロゴタイプ」をいうものと明示されており、本件ポスターに用いられた写真までもがこれに含まれるものとは考えがたく、しかも、証人Dの証言によれば、本件ポスターの完成は上記「淡路花博の入場券販売の手引き」の作成後であったことが認められるから、上記記載をもって、協会が本件ポスターの著作権が協会に帰属していると信じていたと認めることもできない。
さらに、原告が、電通との契約に当たって、著作権の使用契約が表に出ないように外観を整え、著作権に関して全く記載のない請求書を発行したからといって、対外的に電通に本件ポスターの著作権が帰属するかのような外観を作出したものということもできない。したがって、被告大原種苗の主張は、その前提を欠くものであり、採用することができない。
3 争点(3)(協会による被告大原種苗に対する許諾の有無)について 仮に協会の被告大原種苗に対する転載の許諾があったとしても、自己の有する権利以上のものを他人に与えることができない以上、被告大原種苗の不法行為の成立を直ちに否定することにはならないから、独立した争点たりうるものではない。ただし、争点(5)の被告大原種苗の過失の成否に影響し得るものであるから、この限度で検討する。
証人D及び同Eの各証言並びに乙第4号証(Dの陳述書)及び第5号証(Eの陳述書)によれば、協会の入場券販売管理本部の本部長であったDが、淡路花博の宣伝活動の打ち合わせのために被告大原種苗を訪れた際、被告大原種苗の担当者であったEから、本件ポスターを被告大原種苗の無償配布用のカタログ(この完成したものが「zipangu」である。)に転載してもよいかと尋ねられ、Dは、
協会の常務理事及び観客誘致部の部長と協議して、協会の回答として、無償で配布するものであれば転載しても構わない旨をEに伝えたことが認められる。
原告は、淡路花博の公式ガイドブックを作成した業者が、本件誕生花を掲載するため、協会の指示で原告を訪れて許諾を得たという経緯や、Dの担当部署が入場券販売管理本部であったことから、Dを通じて協会が転載の許諾をしたとは考えがたいと主張するが、上記のとおり、協会は、無償で配布するものであれば転載しても構わないと回答したものであり、有償で配布するガイドブック(甲第10号証)とは前提を異にするし、被告大原種苗に対して回答を伝えたのが入場券販売管理本部長であったDであったことについても、そもそも被告大原種苗からの転載許諾の申し入れが、淡路花博の宣伝活動の打ち合わせのために訪れたDを通じてされたものであることに照らせば、何ら不自然なところはない。そして、他に、上記認定を覆すに足りる証拠はない。
したがって、協会は、被告大原種苗に対し、本件ポスター中の本件誕生花を被告大原種苗が作成する無償配布用のカタログに転載するについて許諾をしたと認めることができる。
4 争点(4)(被告大原種苗による被告Bに対する許諾の有無)について 仮に被告大原種苗による被告Bに対する許諾があったとしても、被告Bの不法行為の成立を直ちに否定するものでないことは争点(3)の場合と同様である。しかし、争点(5)の被告Bの故意過失の成否に影響し得ることも争点(3)の場合と同様であるから、この限度で検討する。
被告Bは、平成12年7月下旬、E専務から、「zipangu」に掲載されていた本件誕生花の写真等を、被告Bのホームページに転載することの許諾を受けた旨主張し、その本人尋問の結果及び丙第1号証(被告Bの陳述書)中には、平成12年7月に行われた被告大原種苗の見本市の後にホテルで設けられた懇親会の席上で、Eが参加者にマイクロホンを回してスピーチを求めた際、被告Bの番になったときに、ホームページにカタログ(「zipangu」)の中の本件誕生花を使わせてもらいたい旨話し、他のテーブルのところにいたEが、「どうぞどうぞご自由にお使い下さい。」と答えた旨の供述があり、甲第5号証の1(被告Bから原告に宛てた電子メールの文面を印刷したもの)にも、本件誕生花の写真及び花言葉を被告大原種苗のカタログから転載する際には「大原種苗のE専務様のご承諾をいただきました」との記載がある。また、原告も、被告Bがそのホームページに本件誕生花を「zipangu」から転載するに先立ち、被告大原種苗が被告Bにその許諾を与えた旨主張する。
上記の、被告大原種苗が被告Bに転載の許諾をしたという事実及びその経過については、被告大原種苗は否認するところであるが、仮に、被告Bの本人尋問の結果及び丙第1号証の上記供述を採用するとしても、被告大原種苗が、被告Bに対し、「zipangu」中の誕生花の写真及び花言葉を転載することを許諾したと認めることはできない。
すなわち、被告Bの本人尋問の結果によれば、平成12年7月の被告大原種苗の見本市の後の懇親会とは、ホテルのパーティー会場で50ないし60人程度の参加者が幾つかのテーブルに分かれて座り、酒食が提供されるものであることが認められるところ、被告Bの上記スピーチが、懇親会の前半に行われ、それまでに被告B自身はほとんど酒を飲んでいなかったとはいえ、このような、衆座の中でのマイクを用いたスピーチにおいて、カタログの写真の転載許諾を求めるような発言がされたとしても、これを聞いた者において、真摯な転載許諾の申込みであるとは理解しがたいのが通常であるというべきである。したがって、上記供述のように、Eが「どうぞどうぞご自由にお使い下さい。」と答えたとしても、その趣旨を、儀礼的な挨拶を越えた転載の許諾であると解することはできない。
また、甲第5号証の1中の上記記載は、被告Bにおいて、被告大原種苗のEから転載の許諾を受けたと認識していることを示すにすぎず、上記被告Bの供述についての検討を合わせ考慮すれば、被告大原種苗が被告Bに対して転載を許諾したものと認めるには足りない。
そして、他に、被告大原種苗が被告Bに対し、「zipangu」中の本件誕生花をホームページに転載することについて、許諾したことを認めるに足りる証拠はない。
したがって、被告大原種苗が、被告Bに対し、上記の如き許諾をしたものと認めることはできない。
5 争点(5)(被告らの故意過失の有無)について (1) 被告大原種苗による侵害について 本件ポスターには、第1刷分から、本件誕生花の部分の下に「KITA Shunkan Photo Library」との表示がされていたと認められることは、前記2のとおりである。「KITA Shunkan Photo Library」が協会を示すものでないことは、一見して明らかであるから、被告大原種苗としては、本件誕生花に関する著作権の所在について、少なくとも協会に明示的に確認すべき注意義務があったというべきである。
しかしながら、被告大原種苗の担当者であったEは、本件ポスターの写真に別に著作権者がいるかもしれないという考えを持たず、協会から許諾を得ればよいだろうと考え、その結果、被告大原種苗は、著作権の所在について、協会に明示的に確認することすらしなかった(証人Eの証言)のであるから、被告大原種苗には、上記注意義務を怠るという過失があったというべきである。
もっとも、上記3で判示したとおり、協会が被告大原種苗に対し、本件ポスターを転載することについて、無償であれば構わない旨を伝えていたという経緯に照らせば、本件ポスターに上記表示がされていたことのみをもって、被告大原種苗に、上記過失を越えて、故意の存在まで認めることはできず、他に、被告大原種苗に故意があったことを認めるに足りる証拠はない。
(2) 被告Bによる侵害について 被告大原種苗が、被告Bに対し、「zipangu」の本件誕生花の写真及び花言葉を転載することを許諾したと認められないことは前記4のとおりである。
被告Bは、原告からも、被告大原種苗からも、転載について真摯な許諾を受けずに、これがあるものと軽信して本件誕生花の写真及び花言葉を転載したのであるから、被告Bには過失があったといわなければならない。
また、上記のとおり、被告大原種苗は、被告Bに対し、転載の許諾をしていないのであるから、被告Bによる侵害について、連帯して責任を負うべき根拠はない。
6 争点(6)(損害)について (1) 損害の算定方法について 一般に、著作権法114条2項の「受けるべき金銭の額に相当する額」を算定するに当たっては、侵害行為の対象となった著作物の性質、内容、価値、取引の実情のほか、侵害行為の性質、内容、侵害行為によって侵害者が得た利益、当事者の関係その他の当事者間の具体的な事情をも参酌して算定すべきものである。
上記損害に関し、原告は、本件誕生花の花の写真及び花言葉を使用させる場合において、本件誕生花自体を商品としない使用形態のときは、半年単位で300万円の使用料を徴しているから、本件においても、これを基準に損害を算定すべきであると主張する。なるほど、甲第3号証(原告の写真等の使用料金表)によれば、原告は、本件誕生花の写真及び花言葉の使用料について、半年単位で300万円と定めていることが認められる。
しかしながら、原告が実際に上記使用料を徴しているかについて検討するに、原告自身の認識として、ポジ使用料は、一般の商品と異なり「写真家が自分の作品についてどの程度の自信を持っているかということと、お客さんがどのように評価してくださるかの相関関係」で決まるものであり、作品を理解してくれた上で事情がある場合には価格も交渉次第の面があるというものであり、本件ポスターは正にそのような場合に該当するというものである(甲第13号証)。実際にも、本件ポスターの増刷分については、その部数は明らかではないものの、使用料は75万円とされており(甲第8号証の4)、また、別のポスター及びカレンダーについては、カレンダー3500冊について使用料200万円、ポスター1万7683枚について使用料200万円とした例(甲第12号証の1ないし6)があることが認められるところであり、原告は、これまで、必ずしも上記料金表どおりの使用料を徴していないということができる。なお、甲第11号証によれば、ホームページへの本件誕生花の掲載につき、1年間の使用料として600万円とした契約を締結した例があることが認められるが、その契約は無断使用を開始した後に行われたものであることは原告の自認するところであり、正常な形態での契約とはいい難いものであるし、原告から、他に上記料金表の使用料によった契約の事例は挙げられていない。
このように、原告が必ずしも上記料金表の使用料を徴していないことに鑑みれば、著作権法114条2項にいう権利者が受けるべき金銭の額として、上記料金表の使用料をそのまま基準として算定することはできないというべきである。
そして、他に、原告が被った損害の算定基準に関する特段の主張立証のない本件においては、著作権者である原告が受けるべき金銭の額に相当する額は、著作物の性質や内容、各被告の使用態様、被告大原種苗については使用したカタログの頒布部数、被告Bについては使用期間、各被告が使用により得た利益等の事情を総合的に考慮して、算定するより他はない。
以上を前提に、原告が各被告から被った損害について検討する。
(2) 被告大原種苗による侵害について 前記「前提となる事実」のとおり、被告大原種苗による本件誕生花の使用態様は、その平成12年から平成14年までのカタログとして作成した「zipangu」に転載したものである。そして、証人Eの証言及び乙第1号証によれば、
同カタログの製作部数は約9000部、配布部数は約6800部であり、被告大原種苗の取引先を中心に、無償で配布したものであること、同カタログは630頁余の大部のものであり、本件誕生花はそのうち末尾近くの6頁分に掲載されていることが認められる。したがって、被告大原種苗は、本件誕生花を使用したことで、直接に経済的利益を得たということはできない。また、被告大原種苗は、本件誕生花についての原告の複製権を侵害するについて、前記5(1)で認定したとおり、過失があったことは認められるものの、故意まで認めることはできない。
以上の事情を中心に、これまでに認定した諸事実を総合考慮すると、被告大原種苗による複製権侵害について原告が受けるべき金銭の額としては、300万円と認定するのが相当である。
(3) 被告Bによる侵害について 前記「前提となる事実」のとおり、被告Bによる本件誕生花の使用態様は、自らが開設していた被告Bのインターネット上のホームページに転載し、これを公開して、一般公衆から閲覧可能な状態に置いたものである。その期間は、被告Bの本人尋問の結果によれば、平成12年7月下旬ころから平成14年8月ころまでの約2年間であったと認めることができ、これを覆すに足りる証拠はない。そして、被告Bの本人尋問の結果によれば、本件誕生花を転載して公開したことで、被告Bのインターネット上のホームページの閲覧者数は増加したものの、被告Bでは切り花は取り扱っていないことから、これが直接に被告Bの販売につながるものではなかったことを認めることができる。したがって、被告Bは、本件誕生花を使用したことで、直接に経済的利益を得たとはいえない。また、前記4で認定した事情に照らすと、被告Bは、本件誕生花についての原告の公衆送信権を侵害するについて、過失があったことは認められるものの、故意まで認めることはできない。
以上の事情を中心に、これまでに認定した諸事実を総合考慮すると、被告Bによる公衆送信権侵害について原告が受けるべき金銭の額としては、100万円と認定するのが相当である。
7 結論 以上のとおりであるから、原告の請求は主文掲記の限度で理由がある。
よって、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 小松一雄
裁判官 田中秀幸
裁判官 守山修生