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事件 令和 5年 (ワ) 20793号 損害賠償請求事件
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原告A
被告 株式会社ジャストプロ
同訴訟代理人弁護士 四宮隆史 10 秋山光
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2024/02/02
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
15 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨 被告は、原告に対し、160万円及びこれに対する令和5年10月19日か ら支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
2 請求の趣旨に対する答弁20 原告の請求をいずれも棄却する。
第2 当事者の主張 1 請求原因 ? 原告は、B(以下「B」という。)から、インターネットライブ配信サー ビスであるSHOWROOM(以下「SHOWROOM」という。)及びS25 NSで使用する写真画像を撮影してほしいとの依頼を受け、平成30年12 月16日、別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)を撮影し、
1 Bに対し、本件写真をもとにして作成した画像(以下「本件画像」という。) を提供した。
?ア 被告は、平成29年8月頃、被告の系列会社が製作するアニメに出演す る声優を選考するため、「ヤオヨロズ声優発掘オーディション」(以下「本 5 件オーディション」という。)を開催した。
イ Bは、本件オーディションに参加申込みをしたため、被告は、Bとの間 でSHOWROOMの配信に関する契約(以下「本件配信契約」という。) を締結し、Bに対し、SHOWROOMの公式アカウントを貸与し、Bは、
同アカウントから本件オーディションの選考のためのライブ配信をした。
10 ウ したがって、前記イの本件配信契約時以後、遅くとも後記?の時点まで の間、被告とBとの間に実質的な指揮監督関係が存在していたから、被告 は、ある事業のために他人であるBを使用する者であった。
?ア Bは、平成31年1月頃、前記?の被告の事業の執行について、Bのフ ァンである複数の第三者に対し、本件画像の一部を複製して作成した年賀15 状を配布した。
イ Bは、平成31年3月頃、前記?の被告の事業の執行について、短文投 稿サービスであるTwitter(以下「Twitter」という。)上 の「B’非公式応援アカウント」との名称のアカウント開設者に対し、本 件画像の一部を複製した画像を提供した。
20 ウ Bは、遅くとも令和4年頃までに、前記?の被告の事業の執行について、
原告はTwitter上でBのことを悪く言っているなどと虚偽の事実を 述べ、原告を名誉毀損で告訴した。
? Bには、前記?ア及びイの著作権侵害並びに同ウの虚偽告訴の各不法行為 (以下「本件各不法行為」という。)につき故意又は過失がある。
25 ? 原告は、Bによる本件各不法行為により、多大な精神的苦痛を受け、これ を金銭に換算すると160万円を下らない。
2 ? よって、原告は、被告に対し、Bによる本件各不法行為に係る使用者責任 (710条715条1項)に基づいて、合計160万円の慰謝料及びこれ に対する本件各不法行為の後の日である令和5年10月19日から支払済み まで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。
5 2 請求原因に対する認否 ? 請求原因?、?及び?の事実は不知。
? 請求原因?アの事実は認め、同イ及びウの事実は否認する。被告は、Bと の間で本件配信契約を締結したことはないし、Bに対しSHOWROOMの アカウントを貸与したこともない。
10 ? 請求原因?アないしウの各事実のうち、Bによる本件画像の複製及び虚偽 告訴が被告の事業の執行についてされたとの点は否認し、その余は不知。
理 由 1 請求原因?の事実について 証拠(甲6、7)及び弁論の全趣旨によれば、請求原因?の事実が認められ15 る。
2 請求原因?の事実について 原告は、本件各不法行為時に、被告とBとの間に実質的な指揮監督関係があ ったことを基礎付ける事実として、請求原因?イの事実を主張するが、同事実 を認めるに足りる証拠はない。
20 この点、原告は、BはSHOWROOMの公式アカウントからライブ配信を して本件オーディションに参加していたものであるところ、SHOWROOM の公式アカウントは、SHOWROOM株式会社と契約をした法人等であるオ ーガナイザーから貸与されない限り使用できないから、本件オーディションの 開催者である被告がオーガナイザーとなってBと本件配信契約を締結していた25 はずであるなどと主張する。
しかし、証拠(甲5)によれば、オーガナイザーとは、公式アカウントの発 3 行や管理をすることができる、SHOWROOM株式会社と契約をした法人企 業であると認められ、SHOWROOM株式会社と契約をした法人企業であり さえすればオーガナイザーになることができることに照らすと、被告が本件オ ーディションの開催者であるからといって当然にオーガナイザーとなりBにア 5 カウントを貸与していたと推認することはできない。
その他、原告が種々主張するところを検討しても、請求原因?イ及びウの事 実を認めることはできない。
3 請求原因?アないしウの事実について 原告は、Bが、被告とBとの間の本件配信契約に基づき、被告の事業の執行10 について、原告に対する本件各不法行為に及んだと主張する。
しかし、仮に、Bが本件各不法行為をした事実が認められるとしても、本件 各不法行為が被告の業務とどのように関連しているかは明らかではなく、本件 全証拠によっても、本件各不法行為が、被告の事業の執行についてされたとの 事実を認めることはできない。
15 よって、原告の上記主張は理由がない。
4 結論 以上の次第で、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求はいず れも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法6 1条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 國分隆文