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事件 平成 29年 (行ウ) 165号
平成29年10月11日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成29年(行ウ)第165号 是正処置命令義務付け請求事件及び法律構成の矛 盾等是正事件 口頭弁論終結日 平成29年8月30日 5判決
原告A@
被告国
同代表者法務大臣 上川陽子 10 同指定代理人梶原明日香
同 齋藤聡史
同 梅田麻里
同 榎本勤也
同 井上裕之 15 同黒江那津子
同 堀内威志
同 秋山卓也
同 澤田将史
同 増田雄護 20 同伊藤兼士
同 小川慶将
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2017/10/11
権利種別 著作権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 本件各訴えをいずれも却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
25 事 実 及 び 理 由第1 請求の趣旨及び原因1本件各訴えの請求の趣旨及び原因は,別紙訴状(平成29年4月14日受付)及び訴状訂正申立書(同年5月31日受付)の各写し記載のとおりであり,その趣旨は必ずしも明確でないが,いずれも行政事件訴訟法3条6項1号(同法37条の2)の義務付けの訴えとして提起されていること,補正の促し兼回答書(同月12日受5 付)において,請求の趣旨第1項及び同第2項記載の各是正処置命令を発令する主体は国の機関としての法務大臣及び法務省であるとされていることを踏まえて善解すると,原告は,放送事業者と一般社団法人日本音楽著作権協会(以下「JASRAC」という。)との間の包括的な許諾による利用許諾契約(以下「包括許諾契約」という。)に基づく音楽著作物の使用料の徴収方法に多大な誤りがあり,その誤り10 の要因が著作権法の条文の誤りにあるなどと主張して,被告に対し,法務大臣を処分行政庁として,法務省,文化庁,公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の是正処置命令を発することの義務付け(請求の趣旨第1項)を求めるとともに,法務省を処分行政庁として,公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の排除,除去,及び著作権法改正の15 是正処置命令を発することの義務付け(同第2項)を求めるものと解される(なお,原告が原告準備書面T(平成29年5月8日受付)以降に提出した準備書面の中には,「被告(乙)一般社団法人日本音楽著作権協会JASRAC」,「被告(丁)公正取引委員会」などと記載されているものがあるが,これらの者に対する請求の趣旨及び原因が具体的に明示されているとはいえず,これらの者が被告として表示20 されているとは認められない。)。
これに対し,被告は,本件各訴えは,行政庁に法的に権限のない処分を求めるものであり,また,原告適格及び救済の必要性に関する要件(行政事件訴訟法37条の2第1項)を欠き,不適法であるから,いずれも却下されるべきである旨主張する。
25 第2 当裁判所の判断本件各訴えは,いずれも行政事件訴訟法3条6項1号の義務付けの訴えとして提2起されているところ,同号の義務付けの訴えは,「行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき」に,「行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟」であるから,義務付けを求める行政庁の行為に処分性が認められることを当然の前提とするものと解される。
5 本件について見ると,法務大臣において,法務省,文化庁,公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の是正処置命令を発する法令上の根拠規定は認められず,また,法務省において,公正取引委員会及びJASRAC対する包括許諾契約に基づく徴収方法の排除,除去,著作権法改正の是正処置命令を発する法令上の根拠規定も認められないから,原告の10 主張するこれらの是正処置命令は,いずれも行政処分ということができず,処分性を欠くものであり,本件各訴えは 不適法である。
よって,その余の訴訟要件について検討するまでもなく,本件各訴えはいずれも不適法であるから,これらを却下することとし,主文のとおり判決する。
15 東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官嶋 末 和 秀20裁判官天 野 研 司253裁判官西 山 芳 樹4
事実及び理由
全容