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事件 平成 28年 (ワ) 35208号 発信者情報開示請求事件

原告 有限会社プレステージ
同訴訟代理人弁護士 提箸欣也 渡邉俊太郎 野口耕治 藤沢浩一 成豪哲 小椋優 鶴谷秀哲
被告 ビッグローブ株式会社
同訴訟代理人弁護士 平出晋一 橋利昌 太田絢子
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2017/06/22
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
請求
主文同旨
事案の概要
1 事案の要旨 本件は,映画の著作物につき著作権を有する原告が,一般利用者に対してイ ンターネット接続プロバイダ事業等を行っている被告に対し,被告の提供する インターネット接続サービスを経由して上記映画を何者かが動画共有サイトに アップロードした行為により原告の公衆送信権(著作権法23条1項)が侵害 されたと主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者 情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項 に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である。
2 請求原因(原告の主張) ? 原告は「素人AV体験撮影493」と題する映像作品(以下「本件動画」 という。)の製作に発意と責任を有し,原告の従業員は原告に対してその製 作に参加することを約束した上で本件動画を製作した。
? IPアドレス(インターネットプロトコルアドレス)「●(省略)●」(以 下「本件IPアドレス」という。)の割当てを受けてインターネットに接続 した何者か(以下「本件利用者」という。)は,本件動画を複製して動画フ ァイルを作成し,これを別紙動画目録記載の「投稿日時」欄記載の日時に, 「投稿先URL」欄記載の動画共有サイトにアップロードして,利用者から の求めに応じてインターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態に置 いた。
? 被告は,上記日時において,本件利用者に対し,本件IPアドレスを割り 当ててインターネット接続サービスを提供していた。したがって,被告はプ ロバイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当たる。
? 被告は,本件利用者についての住所,氏名及び電子メールアドレスの情報 (別紙発信者情報目録記載の情報。以下「本件発信者情報」という。)を保 有している。
? 原告は,本件利用者に対し,本件動画について有する公衆送信権の侵害に 基づく損害賠償等の請求を行う必要があるが,本件利用者の氏名,住所等が 不明であるため,本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。
3 請求原因に対する認否(被告の主張) 請求原因?及び?は不知,?及び?は認め,?は不知。
当裁判所の判断
1 請求原因について ? 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,@原告の従業員が原告の指揮監督 の下,原告に著作権が帰属するとの認識で監督として職務上本件動画を製作 したこと(甲12),A本件動画の出演者等を原告が手配したこと(甲13, 19〜24),以上の事実が認められる。
上記認定事実によれば,原告が本件動画の製作を企画すると共に製作に係 る負担を負ったことが明らかであるから,原告が本件動画の製作に発意と責 任を有していると認めることができる。また,職務上動画を製作する者は製 作に当たって所属先に対して製作に参加することを約束するのが通常であり, 上記従業員の上記認識に照らしても,上記従業員は原告に対して製作に参加 することを約束して本件動画を製作したということができる。したがって, 請求原因?の事実が認められる。
次に,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,@何者かが別紙動画目録記 載の「投稿日時」欄記載の日時に,「投稿先URL」欄記載の動画共有サイ トに長さ46分47秒の動画をアップロードしたこと(甲3,27),A上 記日時に上記動画をアップロードするために使用されたIPアドレスが本件 IPアドレスであること,B上記動画が本件動画と長さ及び内容において同 一であること(甲3,11,16,27),以上の事実が認められる。そう すると,本件利用者が別紙動画目録記載の「投稿日時」欄記載の日時に本件 IPアドレスを利用して本件動画を複製した動画をアップロードしたことが 明らかであるから,請求原因?の事実が認められる。
以上の事実関係によれば,別紙動画目録の「投稿日時」欄記載の日時に本 件IPアドレスを用いてインターネットに接続していた本件利用者は,原告 が著作権を有する本件動画を複製した動画を多数の者に対して送信可能な状 態にしていたものであるところ,本件において著作権法30条以下に定める 著作権の制限事由が存在することはうかがわれないから,本件利用者が原告 の本件動画に係る公衆送信権(同法23条1項)を侵害したことが明らかで ある。
? 以上に説示したところによれば原告は本件利用者に対して著作権侵害を理 由に損害賠償請求権等を行使し得るところ,本件利用者の氏名,住所等を覚 知する手段が他にあるとうかがわれないから,本件発信者情報を有し,この 情報に関しプロバイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当た る被告(請求原因?及び?。当事者間に争いがない。)に対し,その開示を 受けるべき正当な理由がある(請求原因?)ということができる。
2 結論 よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決 する。
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 萩原孝基
裁判官 大下良仁
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